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回復のプロセスには「頼る」ことも「頼られる」ことも、どっちも大事。

企画編集を担当した「本当の頑張らない育児」という漫画で伝えたかったメッセージのひとつは「子育てもっと頼りあって行こうよ」というのもので頼ることは大切だと思っているけど、当のわたしは頼るのが苦手で、書籍化されたいまでもそれは変わらない。

あと少しだから。自分が頑張れば…。と思ってがんばってしまったり、頼ったら迷惑かけてしまうんじゃないかと先回りして心配してつかれてしまう。

そんなわけで今年は長めに夏休みをとって、息子を夫に託して前から気になっていたリトリート施設で数日間ひとりで過ごすことにした。(←今年の誕生日プレゼントとして)

そこは、山の近くというか最寄りの駅から片道1時間くらい山を登った山の中にあって道路を歩けば猿がいて、散歩がてら歩いた先の川辺や原生林に寝っ転がってぼーっと過ごせるくらい自然豊か。

晴れていればウッドデッキで山を眺めて野菜たっぷりのご飯を食べて、すこし挨拶を交わす以外はほとんど人と話すこともなく、ただただ静かな時間が流れていた。
食事は1日2回のマクロビご飯。スマホはオフにして、22時には消灯、朝はヨガや散歩のプログラムがあるような、超健康的な生活ができる場所だった。

いわゆる「ホテル」ではない。

食事を食べ終わったら「自分で食器を洗う」というルールがあった。

数日間、1日2回ゆっくりを味わってご飯を食べ、食べた食器を洗い、ふく。この積み重ねが、意外なほどわたしの心を回復させた。

当時のわたしは周りの人たちから心配されていた。

みんなに「むりしなくていいよ」「やらなくていいよ」と言われて、それはもちろん優しさや親切なのだけど、気遣われている状況が続いてどんどん自分が小さくなってしまうように感じていたときだった。

そんな中で、食器をひとつひとつ洗い、流し、ふきんできれいにふく。

それはとてもささやかだけど「できる」ことだったし、目に見えてきれいになることに「満足感」みたいなものが生まれる。

「できるでしょ」と信頼して任されているように感じられたし、実際に毎日食器を洗うことで「できる」「やれる」が小さな喜びになっていった。

回復にはプロセスがある。

誰かに頼って、重くなってしまっている荷物をいったん全部おろして身軽になることも大切だし、誰かに頼ってもらって誰かのために小さなできることを積み重ねることも回復につながるのだ。


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