ワンピース初見者が今さら最初からワンピースを読んで総括してみた。(62巻~71巻まで)

各位

マーシャル・D・ちらかわです。

さて皆様、コロナ渦におけるこの年末年始をいかがお過ごしでしょうか。
私はというと、暇すぎてまたもやこのタイミングで無料公開されたワンピースを62巻~71巻まで読破した上に、総括記事まで書いてしまいました。

~71巻まではドレスローザ編の途中までですが、中途半端なので今回は魚人島編とパンクハザード編のみを総括いたしました。
「最高:★5つ/最低:★無し」で評価させていただきます。もちろん、全ての感想において異論は認めます。

例によってネタバレには一切配慮していませんのでご注意ください。


以前投稿した1巻~61巻までの総括記事はこちら。よろしければ併せてお楽しみください。

■魚人島編(評:★★★☆☆)

ついに第二部に突入。舞台は物語の割と初期から設定としては登場していた魚人島です。
これまで登場した魚人族といえば、やはり連想するのはイーストブルー編で登場したアーロン。
以前投稿したイーストブルー編の総括ではドン・クリークについて長々と語ってしまい、尺の関係で割愛せざるを得ませんでしたが、実はココヤシ村とアーロン一味の話はワンピースの中でもお気に入りのエピソードです。
そこから直結する続編とも位置づけることができる魚人島編はまさに俺得。

今回のメインボスはホーディ・ジョーンズ率いる新魚人海賊団とバンダー・デッケン九世の一味。とはいえこの方々、ESという強化薬で身体強化を図るものの、デッケン以外は悪魔の実の能力者というわけでもなく、イマイチ強さと華に欠けているわけですが、今回は第二部に突入して最初のエピソード。2年間の修業を経てパワーアップした麦わら一味の強さのお披露目会という側面もあるため、敵がそれなりに弱く設定されているのもある程度は仕方ないかなと思う次第です。過去に手こずったアーロンたちよりも強い魚人族をサンドバッグにできるほどに成長した麦わらの一味を見るのは、爽快感もありサラサラと読めました。

おなじみ、ロビンの歴史探訪シリーズにおいては、古代兵器ポセイドンの正体、そしてジョイボーイという謎の存在が明るみなりました。新たに発見されたポーネグリフに記されていたのは、ジョイボーイから当時の人魚姫に宛てられた、ある約束を果たせなかったことに対する謝罪文とのこと。その約束が何だったのかは明らかでないですが、個人的には魚人族も人間と共に太陽の下で暮らせるよう、島民をノアの方舟に乗せて移動させることができるようにするという約束だったが、世界貴族に負けてしまいそうなので叶いそうもないという謝罪文かなと推測しました。真相はいかに。
いずれにせよ、空白の100年の間に何が起きたかについても依然謎のままですが、ジョイボーイという存在がキーパーソンであることには
間違いなさそうです。(ジョイボーイが個人なのか、組織なのかも不明ですが。)

さて本題ですが、魚人島編でのメインテーマはまさかの人種差別問題でした。確かにアーロンは初登場時から人間は下等種族だなんだと穏やかではない雰囲気を醸し出していましたが、その背景には魚人族の長年の不遇の歴史があったことが、
ジンベエの口から明かされました。
これは、これまでのエピソードと比べても一段と根深く暗い問題です。
今回はバトル要素のあれこれにあまり重きが置かれていない分、この脈々と続く後ろ暗い分断の歴史が長尺に渡って描かれているため、これ対してルフィたちはいかなる答えを出してくれるのか、と一層の期待が高まったものです。

まあただ、率直にいうと、最後まで読んだ感想としては消化不良でフィニッシュかなという感じでした。そもそも一朝一夕で解決できるはずもない大きすぎる問題提起だったことが災いして、本質的な問題解決には至るはずもなく、友達だからな!俺が守る!ドン!みたいに雑に終わっているような印象を受けました。まあワンピースっぽいといえばワンピースっぽいんですが…。

特にホーディに対しては、「環境が生んだバケモノ」みたいなレッテル貼りはかわいそうだな…改心の余地を与えたエンディングにしてあげてよかったんじゃないかな…なんて思ってしまいました。
投獄されてもなお、悪態をつき続けるホーディ一味に対して「子供に聞こえるから黙ってくれ」なんて言って冷酷に黙殺するのは、これまでネプチューン王国が魚人街に対して接してきた際の
臭い物に蓋をするような態度となんら変わりはないんではないかな…とか。
強さ的にも本編での再登場があまり期待できない分、名誉挽回の機会が与えられることもなさそうで、そういう意味でもこれまでのボスキャラに
比べても不憫だなと。

幼少の頃から魚人島での人間たちの横暴を目の当たりにし、尊敬する人物を死に追いやった人間たちに対するアーロンの恨みつらみのエピソードを聞かされ続けてきたことで、ねじ曲がった正義感を植え付けられて育ったホーディたちもまた、
ある意味で不遇の歴史が生んだ被害者には変わりないはず。
フカボシ王子はホーディをして「直接差別された体験がないから実体がない」のように言っていましたが、そういう問題ではない。自分が何もされていなくても同じ人種がひどい差別を受けていたら義憤にかられるのはしばしば当然だし、同胞意識の強い魚人街の住民であれば尚更です。

最終的にこの一連の騒動も黙殺され、今後について明確な言及もなかった以上、このエピソードでは、「ルフィたちは差別しない側の人間だった」ということが魚人島に認識されただけで、根本的な原因解決には至っていませんし、解決に向けて舵を切られてすらいないと思います。
つまり、これからも多くの人間は魚人を差別し続けるだろうし、そうである以上、それに反発する魚人も生まれる可能性はあるし、「イカレるのも人間がそうさせた」「全ての災いは人間に起因している」というアーロンやホーディの行動原理はある面では正論であり続けるわけです。
それに、王子がルフィに過去をゼロにしてくれと頼んだところで、都合よく過去はゼロになんかなりません。タイガーフィッシャーやアラディンのように酷い差別を受けた過去を持つ魚人が人間にまた反発し始めたら同じように「子供に聞こえるから黙れ」と言うつもりなのでしょうか。

現実においてもそうだと思いますが、人種差別は感情由来の問題。また、誰かが止めろといったところでそう簡単には止まらないのが感情です。
まさに「頭ではわかっていても心では拒絶してしまう」というタイガーフィッシャーが最期に遺した言葉のとおり。ゆえに解決が難しかったりするんだと思いますが、この核心の部分に対して
ルフィたちがなんの回答も示さずに去ってしまったことについては残念でした。そもそも感情先行型のルフィには荷が重すぎる問題かもしれませんし、ルフィは居眠りでジンベエの話をほとんど聞いていなかったわけなので別に真摯に向き合うつもりもないのでしょうが。

あと個人的にはルフィがずっとしらほし姫を「弱虫」「よわほし」と呼び続けていたのがなんとなく嫌でした。これ、しらほし本人が許しているから成立しているだけで、そうでなければイジメですからね?ルフィは少年のような悪意のない心から言っているだけとは思いますが、そういうところが差別とかの温床になったりするのでは!?!?

…とまあ、主人公の悪口はこれくらいにしておいて、感動的なシーンももちろんありました。アーロンを解き放ってしまい、結果的にナミに不幸をもたらしてしまった罪についてナミに許しを請うジンベエに
「全部繋がって私ができているんだから私の人生に勝手に謝らないでもいいんだよ」
みたいにナミが声をかけるシーンは素敵だなと思いました。母親を目の前で殺され、人生の大半をアーロンに台無しにされるというこれまでの苦渋の人生を受け入れたナミだからこそ重みのある言葉。素敵やん…。

今回は心を動かされるテーマであっただけに
クライマックスがお粗末な点が余計に気になってしまったので★3つです。

■パンクハザード編(評:★★★☆☆)

アイランドクジラの群れに巻き込まれていたら偶然たどり着いた小島、パンクハザード。島の半分は灼熱、半分は吹雪という異常気象で覆われているのは、赤犬と青雉が決闘した名残でそうなってしまったのだそう。インペルダウン編のレビューでロギア系能力者も覚醒するのだとしたら、
自然現象そのものにでもなってしまうんでは?みたいなことを冗談めかして書きましたが、あながち間違いでもないのだろうか。

また、決闘以前は閉鎖された島で、さらにその前はベガパンクの科学実験の拠点だったらしく、巨大な頭骸骨、巨人族の氷漬け、人工的に生成された竜などのおぞましい遺留物がされています。
いやー、生体実験はよくないですね?

今回のボスはパンクハザードでこっそりとドフラミンゴのために独自研究を続けていたガスガスの実の能力者、シーザー・クラウン。
酸素を奪う攻撃技カラクニは効果範囲内で発動できれば即勝負ありという、あながちバカにできない強さです。
シーザーは、世界政府の科学班の中でベガパンクに次ぐ優秀な科学者であったが、科学班の中ではマッドサイエンティスト扱いで大量殺戮兵器を製造した罪でその地位を追われていたとのこと。
ただ科学班自体が、捕えた海賊や巨人族を用いて生体実験を行ったり、実用的な破壊兵器であるパシフィスタを製造したり、非人道的な行為を行っている組織なのでなんだかダブルスタンダードって感じです。このわかりやすい二面性についても、分派があるとかの理由があるのでしょうか。

今回のキーアイテムはシーザーが開発した科学兵器シノクニ。登場した当初の視覚的なインパクトはかなり恐ろしいものでしたが、案の定といいますか、対象を仮死状態にするだけの"平和的"大量殺戮兵器でした。被爆者を覆った殻を半日以内に壊せば無事生還できる模様。こんなの売り付けられたら闇の仲介人としては即クーリングオフなのでは…。それならば即効性があり確実に死に至らしめることができる我らがドン・クリークの「猛毒ガス弾M・H・5」のほうがよっぽど脅威ですね。
しかも弾頭1発で町を一つ沈めることができるほどの広範囲攻撃ゆえに高コスパ(しつこい)

シノクニが発動した瞬間、近くに意図的に設置したと思われるリンゴがひとつ悪魔の実と化していましたが、これはシノクニの副次的効果でしょうか。
能力者が死んだら世界のどこかで悪魔の実が再生するという設定が少し後ろのほうで明かされていたので、それを踏まえると能力者のスマイリーが死んだことがトリガーとも考えられますが、近くにあるリンゴに偶然宿るのはご都合主義なので、さすがに考えにくい。おそらくシノクニの効果なのでしょう。
黒ひげたちは能力者狩りという上級者っぽいことをやっているそうですが、このシノクニの応用技術かなんかで悪魔の実を大量に収集してたりするのでしょうか。

パンクハザードでは錦えもんやローなど、懐かしい顔やら新顔やらがたくさん登場しましたが、今回改めて私のお気に入りキャラと化したのは「スモやん」です。強キャラっぽい立ち回りをしておきながらかわいい側面が隠し切れない感じがクロコダイルたんをほうふつとさせます。彼は初登場時こそ勢いがよかったものの、その後はいまいちパッとせず、以前の総括記事で書いたとおり心配していたものですが、この2年できちんと萌えキャラとしての地位を確立してくれたようで、大変うれしく思います。
たしぎは部下であるG-5の連中に「たしぎちゃん」と呼ばれることに上官として抵抗感を示していますが、スモやんは「スモやん」と呼ばれることに特に反応してないので、案外まんざらでもないことがわかります。
また、「日に2度敗れるバカがいるか」とは範馬勇次郎の言葉ですがスモやんは1日に計4回やられてます。(ロー、シーザー、ヴェルゴ、ドフラミンゴ)
んー。萌え。

あと物語の目玉はローと麦わらの一味との同盟発足でしょうか。彼は2年でかっこよく成長しましたね。
会話から察するにドフラミンゴとの間には何かしらの因縁があるところをみると、過去にドフラミンゴにレイプとかされてそうで、二次創作で大変活躍されてそうだなと思いました。

全体を通してそこまで盛り上がりポイントはなかったものの、新たな仲間の合流などで物語が大きく進んだ感がありますので、★3つです。

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いやーワンピースは面白いですね。
ドレスローザ編も10話ほどしか読めませんでしたが、初期のほうから登場していながらも得体のしれない強キャラ感を放っていたドフラミンゴがついにボスとして登場ということで、わくわくします。

早速登場したCP0なんかは道を歩いているだけでスパイだと即バレしてる点ではCP9をも凌ぐなんちゃって具合を発揮しており、早くも期待できます。ロブルッチも再登場しそうですね。

ローはドフラミンゴをなんらかの策で出し抜こうとしていましたが果たして功を奏すのか。ヴェルゴ曰く、ドフラミンゴの過去を知らないことが
ローにとっての命取りになるそうですが…。

先に予想しておくと、ドフラミンゴは執事っぽい爺やに若様と呼ばれていたり、秘書ハーピィちゃんがパンクハザードでドフラミンゴのために自死することをさも当然のように受け入れていたりしたことから、こいつは聖地マリージョアのボンボンだったりするんじゃないかなとか思いました。ただ天竜人の割には任務失敗した部下に対してかなり優しく、絆も感じていそうなので、その性格から聖地マリージョアでは浮いた存在で追放された身だったりするのかなと。
もし彼が天竜人であれば大人の事情的に敵うはずのない男。しかしそこはルフィが諸々の事情をわかったうえであえてボコボコにしてくれるというGTOみたいな展開を予想しておきます。

それでは。

以上


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