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F91プリクエルは新たなガンダムTHE ORIGINになれるかも

 去年のクリスマスイブにF91を見て思ったより面白かったのに気付いたので、電子書籍で小説版を買うかコミック版のプリクエルを買うか、どちらにするか迷ったんですが、結局プリクエルの既刊分を一気買いしちゃいました。
 なにかに興味を持つと、てんぐはこういう買い物をしちゃうんですよねえ。

 プリクエルは絵柄が安彦良和に寄せてるのもありますし、辺境に雌伏して作業用機材の名目で戦闘用MSを開発していたり、集めた人材を連邦軍に送り込んで軍事ノウハウを吸収させたりして反連邦運動の牙を静かに研いでいた決起前夜のクロスボーンバンガードの姿を見てると、オリジンで描かれた一年戦争開戦前のジオン軍が重なります。

 さて、クロスボーン・バンガードの理念はコスモ貴族主義という、極めて特異な思想です。

 これが封建的なものであるのは明白ですが、これは「大衆を政治に参加させるな」という愚民論、民主主義に対する全否定とも言えます。

 しかし、これに対する絶対民主制と揶揄される地球連邦の方も、自分の利権やリベートしか頭にない軍の士官や重税と相反する生活環境の劣化に対する暴動寸前の抗議デモを引き起こした市長、改革派議員を暗殺してでも地球環境へしがみつく特権階級を見てると、真の民主主義とは言えない地球貴族による寡頭制とでも呼ぶべき代物です。
 そんなわけで、F91の世界観って、「政治を民衆から奪い取ったものたちによる闘争と癒着」とも言えます。
 ではその傲慢な世界観に対して、一般市民のひとりであるシーブック、そしてコスモ貴族主義の当事者であるセシリーことベラ・ロナはどう抗っていくのか。

 F91は「新たな宇宙世紀ガンダムのスタート地点」となり得る可能性がありました。
 これから先、運命の日以後の映画本編の展開、そしてその後に起こったとされるクロスボーン・バンガードを崩壊させたベラ・ロナ自身によるコスモ貴族主義の否定まで、きっちり描き切ってほしいです。
 これができれば、F91プリクエルは新たなガンダム THE ORIGINになれるでしょう。
 是非とも、そうなってほしいものです。

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