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「現代レトリック事典」通読の旅 0週目(企画説明)

筆者「レトリック事典」を知る。


 皆様は「レトリック」というものをご存知だろうか。

 と、書き出したは良いものの、著者もあまり詳しくはない。
なんとなく単語として聞き馴染みがある程度。文章で使われるテクニック、くらいの理解度だった。

 以下の動画を見るまでは……。

 こちら、Youtube・Podcastにて配信されている、「ゆる言語学ラジオ」というコンテンツのとある回である。
 「ゆる言語学ラジオ」とは、大学時代に学部で言語学を学んだ水野さんが、社会人となった今改めて「大人の自由研究」として言語学を勉強し、相方である堀元さんに向けて対話形式で成果発表をする番組だ。とはいえ堅苦しい番組ではなく、知識量に裏付けられた高度な(時に低度な)冗談を織り交ぜながら小気味好いテンポで進んでいく、聞いていて時間の流れが一瞬に感じるラジオ番組である。

 上記の回は案件動画となっており、題材は「[例解]現代レトリック事典」
 話し手である水野さんは、「辞書を頭から最後まで読む」という非常にマニアックな趣味をお持ちであり、ゆる言語学ラジオリスナー(通称 用例)にとっては周知の事実となっている。この回も、事典をペラペラめくりながら面白いと思ったことを語り合おうぜ! というスタイルで、1時間12分41秒という長尺の「事典読む動画」となった。

 まあ、これが面白かったんだなぁ。
 他の回では多いときには十数冊、下手すれば20冊に迫るような文献をリサーチ・内容を選別して台本に落とし込み、そこに自身の思ったことを乗せて、言語学に触れたことのない相方へ分かりやすく伝える。こんなことをやっているラジオである。なお相方である堀元さんも、話し手・聞き手を交換し、題材を「コンピュータ科学」に変えて同じことをやっておられる。
 そんなお二人が、面白い事典から面白いと思った項目をピッキングして、面白おかしく語っていく。そんな1時間、面白くないことがあろうか。(いや、無い。)

 事典の内容としても、今まで見たことのあるこの言い回しには「〇〇法」という名前があるのか、など、学びがたくさん。どうやら「比喩」や「対句」など、文章の内容を伝える時に効果的な物を「レトリック」と呼ぶようだ。
 筆者は趣味でキャッチコピーを書き公募に応募しているのだが、なんと広告コピーにおけるレトリックについてのコラムもあるらしい。動画内では、堀元さんが広告にすぐに影響を受けてしまう話が展開され、よいアクセントになっていた。

 さて、もちろん案件動画ですんで、動画の締めでは「お手元にお求めいただければ」という話になる。まぁ、1冊8,800円(税込)もするお高い本になりますし、そうほいほい買えるもんじゃないですよね……。










 買っちゃった……!

(「買ってないとタイトル詐欺やん」
というツッコミは、置いておくことにする)


 さあ、堀元さんと同じように広告に流されやすい男がここに1人。まんまと高い本に手を出してしまったわけである。
 先日の宣伝会議賞の賞金から、捻出したことにしよう……。


(受賞について書いた記事はこちら)



筆者「レトリック事典」を読み始める。


 ということで、手元に事典が届きました。

 事典という名前の印象からも、かなり分厚い本が届くのだろうと思っていた。が、どうやら人生で国語辞書くらいしか事典・辞書というものに触れたことがない弊害があったようだ。想像よりは手に収まりやすいサイズの物が、届いたダンボールの中に収められていた。
 それでも厚い本であることに変わりはなく、1番最後に振られているページ数は597。この数字に含まれていない「はじめに」「目次」らを含めると600ページを超す代物である。

 さっそく、箱から取り出してパラパラめくってみると、
 これがまあ、面白いのなんの……!

 レトリックの技法として、「72のことばのあや」に分類された各技法が収録されているこの事典。いくつか例を上げると、

・よく見知ったもの
倒置法、擬人法

・それも解説があるんですか?
ジョーク、ユーモア

・あ、ゆる言語学ラジオででてきたやつだ
音象徴、オノマトペ

・なんそれ……?
形容転置法、迂言法

などなど。それぞれについて、解説と例の引用がなされている。

 身近に使っている言語にもかかわらず、1つ1つの手法について細かに見てみると知らないことがたくさんある。

「定義を定めるとこうなるんだ!」
「この現象ってこういう名前がついてるんだ!」
「こういう手法が存在するって、意識したことなかった……」

 こんな感想を持てそうな書籍ということで、筆者がいかに面白そうと思っているかが伝わるだろうか。



 さあ、面白そうな事典が前にある。
 ゆる言語学ラジオリスナーなら、やることは1つ。


 そう。「通読」だよなァ!

 

 勢いで言っているように見えるだろう。しかし、あながち強迫観念的に実行しようとしているわけでもない。
 筆者が趣味で行なっている「キャッチコピー」制作において、レトリックはかなり重要な項目と言ってよいだろう。

・何を言うか
・どう言うか

 以上2つは、キャッチコピーを要素分解した際に重要とされることの多い要素である。元となる商品・サービス等について、

どんな魅力があるかを考え、選別すること
=何を言うか

その魅力を、どんな言い方でコピーとしてまとめるか
=どう言うか

だと筆者は考える。この2点について重み付けをするならば、個人的には「何を言うか」の方に比重を乗せるべきと思う。新しい切り口を見つけられれば、それだけで魅力的なコピー足りうるからだ。
 しかし、「どう言うか」をないがしろにして良いわけではない。

 次に引用するのは、献血についての有名なキャッチコピーである。
 

  ち、
 のち、
いのち。

日本赤十字社(2014年)

 「何を言うか」の視点で見ると、「献血は他の人の命を救う」という献血の基礎になる部分を扱っているにすぎない。それでもこのコピーには、目に止まり記憶に残る力がある。なぜか。「どう言うか」が秀逸すぎるからである。
 いかに基礎的・普通・当たり前なことであろうとも、「どう言うか」が機能すれば、忘れられないキャッチコピーになり得るのだ。


 どう言うか。
 そう、どんなレトリックを使うか、だ。


 キャッチコピーを分析すれば、いくつものレトリックが折り重なってできている、ということが分かるだろう。

 キャッチコピー作りをうまくなりたい筆者にとって、「どう言うか」上達の基礎になってくれるといいなぁ。レトリック事典を面白そうと感じる心の中には、そんな下心も存在しているのです。



筆者、通読の旅に踏み出す。

 

 下心があるとは言ったものの、レトリックそのものを面白いと感じる心もしっかり存在しているわけで。

 通読しようと心に決めたままに、頭40ページほど一気に読んでしまいました。

 内容としては、「はじめに」とコラム3つ。この冒頭のコラムの中には、広告コピーについて語っているものも含まれている。(なお、先ほど献血のコピーを引き合いに出したのは、このコラムでも取り扱いがあるからだったりする。)

 そして、次のページからは、72の技法の解説がスタートする……!


 ……ここで筆者はこう考えた。

「知識を自分の血肉とするには、他人に教えるつもりで勉強すると良いと聞く。そうだ、興味深いと思った技法について、noteにまとめていくのはどうだろう!



ということで、やっとこさ企画説明でございます。

・事典通読の足跡として、毎週更新で学んだことをまとめていく。
・できるかぎり1日1技法を学習。6日(6技法)学んで、7日目に執筆。
・特に面白いと思った技法について、2つ程度紹介。

という形で進めようと思う。
 72の技法を1週間に6つだと、単純計算で12週。約3ヶ月の旅だ。進み具合によっては、さらに長くなってしまうことも考えられる。
(時間を取れるのが木曜日になりそうなので、基本は木曜更新の予定)

 さあ、完走できるのだろうか。見守っていただけると幸いです。



最後に

 この事典に出会えたのは、「ゆる言語学ラジオ」のお二人のおかげである。改めて感謝の意を示したい。話し手である水野さんとは同い年なので、同世代としても応援しております。
 事典を通読するという挑戦を通じて、どんな景色が見れるのか。わくわくしながら、今日は寝ることとする。(深夜3時前)

  



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