少しずつ変化する彼への思い
彼と働くうちに、自然と仲間意識も出てきて
いいところも見えてくるようになった
要領良くて、上司の目を盗んでは
色んな部門に顔を出し、さぼっているのは相変わらずだが
社交的で彼の周りにはいつも人が集まっている
なんだか彼の生き方そのものが色んなものに縛られずに
自由な匂いがした
何も考えていないように見えていたけど
少し羨ましくもあったのだと思う
スポーツカーに乗っていた彼は
アルバイトを終えたあと、
同じく車好きな仲間と毎晩のようにたむろっていた
当時、車を持っていなかった私が
たまたま母に迎えに来てもらったことがあるのだが・・・
その様子を見た母は、何やら文句を言っていた
私が彼の第一印象で得た感覚と同じようなことを
呟いていたように思う
長い間、母の価値観が「全て」だと思って生きてきた私は
母と同じ感覚で物事を捉え、考えていたのだから
当然といえば当然なのかもしれないが
このとき母の言葉を聞いた私は、
なんだか少し反抗心のようなものが芽生えた
彼はそんなに悪い人ではないんだけどな・・・・と
なんだか苛立ちながら心の中でつぶやいた
そんなこんなで、母の彼への印象は
あまり変わることなく今に至る
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