工房からの風

第17回工房からの風 千葉県市川市鬼高1-1-1ニッケコルトンプラザ(最寄り駅・本八幡…

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第17回工房からの風 千葉県市川市鬼高1-1-1ニッケコルトンプラザ(最寄り駅・本八幡) 2019年は10月19日(土)20日(日) 10時~16時30分

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風の音 kazenote

こちらからは、はじめまして! 千葉県市川市(最寄り駅・本八幡)ニッケコルトンプラザで開催している野外クラフト展「工房からの風」です。 2019年は10月19日(土)20日(日)に開催します。 2000年に立ち上がり、今回で17回目となります。 全国から出展作家を公募して(一次は12月、二次は3月)50名(組)の出展作家を決定します。 「工房からの風」で大切にしているのは、出展までの準備期間をいかに豊かにするかということ。 職業としてのものづくりとして立ち続けていくために必

    • Hacia el Sur ‐ いつもそこに、はじまりの旅 ‐

                                  長野麻紀子  12月の風が吹いている。草原のすみずみまでくまなく新鮮でとうめいな風が吹き渡り氷河国立公園帰りのバスはぼんやりするほど広大な景色をかたかたひた走っていた。はじめての長旅。浮かれすぎてパスポートを宿の相部屋のベッドに忘れてくるという大失敗と、どこまでもすきとおった空と氷河の青、風に吹かれて飲み干したオンザロックで、青くなったり赤くなったり忙しい一日だった。  なんだか今日の日が暮れてしまうのが惜しくて、近く

      • 月とコロッケ

                                     松塚裕子  網戸越しに見える紫陽花が、庭にこんもりと小さな森をつくっている。白い月がぼんやりと浮かぶ空は、夕方なのに東京よりもだいぶ明るい。子どもを連れて久方ぶりに帰ってきた実家では、父が晩ごはんの支度にいそしんでいた。テレビから聞こえる子供番組の歌にまじって、台所からぱちぱちと油のはぜる音がする。誰かが料理をする音を聞くなんて、いつぶりだろう。いつもは、作って食べさせて片付けて、と嵐のような慌ただしさで過ぎていくこ

        • 素材の学校

                                      森友見子  素材の学校の朝は、各授業を担当する先生たちのワークショップの準備から始まります。  受付や黒板の文字、2つのテントの日よけ布やモビールを下げ、机を黄色と緑の布で覆い椅子を並べる。バックヤードスペースでは、次々スムーズに前の時間と交代できるように道具や材料を準備しつつ、手を動かしながらの楽しいおしゃべりも。  普段は自分の作品制作で忙しい中、子どもたちに作る楽しさを伝えたい!そう惜しみなく準備する先生方、子ど

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          8本

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          庭とほうき  ~手仕事の庭にホウキモロコシを植えて見えたこと~

                                    フクシマアズサ    2018年から2019年にかけて、手仕事の庭にホウキモロコシの種をまきました。庭で育てた材料で、手仕事の庭のほうきを作るプロジェクトです。  普段畑で土に慣れ親しんだ生活をしているにもかかわらず、庭という場所は私にとってどこか遠い存在でした。ホウキモロコシは、普段は畑で育てている工芸作物です。畑は生産の場所であり、収量÷(時間+手間)=成果。その考え方は男性的。それに対して庭は、どこか女性的でやさしい感

          庭とほうき  ~手仕事の庭にホウキモロコシを植えて見えたこと~

          gentile

                                        土居祥子  6年前、私はフィレンツェにいた。  旅先で出逢った縫い目のない革のコインケース、その技を知りたい。そのまっすぐな想いだけを胸に、工房に飛び込み、師匠の手の技を食い入るように見つめた日々。師匠はその技を惜しみなく私に見せ、教えてくれた。  なぜ私に教えてくれたのか、不思議に思って聞いたことがある。 「君がgentile だからだよ」gentile は直訳すると親切な、という意味。その時は、この言葉の意味が

                                        片田 学  甲府盆地の端にある町の、川に沿って立つ倉庫を縁あって仕事場としている。山を近くに望みながらも、広がりを感じる環境に出会いを感じたのが四年前のこと。毎日この景色を見ながら仕事をとの当初の思惑に反し、いつの間にか扉を閉めて、籠るように手を動かすようになったのは、強い川風だけが理由ではないと思う。  閉めた扉の曇りガラスの大きな窓は、景色は見えねど、電灯がいらないほどの光が入ってくる。その光は変化しながら、一

          譲り受ける

                                       佐藤かれん  中学生の頃、生物の授業で「樹木観察」をしました。それぞれ観察する木が割り当てられて、月に何度かその木を観察し、気づいたことをレポートにしました。   私が観察したのは、ゆづり葉でした。厚みのある大きな葉が特徴の木で、観察を始めた春頃は、新しい葉がぐんぐん成長し生命力に溢れていました。晩夏に新しい葉が生え揃うと、あっと驚くことが起きました。古い葉が、新しい葉に命を譲るように次々と木から離れ落ちていったので

          風土を映すモノ

                                       片岡陽子   子供の頃に母から「ごはん一粒一粒にも神様が宿っているから、残さずきれいに食べなさい」と言われて育った。  そして大人になって家庭菜園を始めると、自分で育てた野菜が愛おしく味わい深く、その言葉の真意を悟った。食物だけでなく、時間と手間をかけて作られたモノにもまた、魂が宿っているのではないか。自分が作るモノだけでなく、毎日仕事につかう道具や暮らしまわりのアレコレも、敬い大切に使えば温もりが生まれ、やがて手に

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          マルテの手記

                                        稲垣早苗 「このレースを編んだ人たちはきっと天国へ行ったよね」 と僕は感嘆しつつ言った。 しばらくして、僕がもう忘れてしまった時、ママンはゆっくり言った。 「天国へ?その人たちはみんな、このレースの中にいると思うわ。そう思って見ると、これは本当に永遠の幸せかもしれないのよ。」 『マルテの手記 (光文社古典新訳文庫)』(リルケ, 松永 美穂 著) 上に引いた一文は、2018年10月に行った第16回「工房からの風」で

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          次のことを考える

                                        稲垣早苗歩く速度は考える速度葛の花   茂 十四歳の時、俳句と出会わせてくれた国語教諭で、俳句への導師となった先生の句を最近よく思い出します。有季定型の骨格確かな句を詠む師だったから、字余りのこの句は珍しいのですが。 句の上の部分は、吟行に連れられていった寺で、住職の説教に出てきたフレーズでした。 なるほどそうだなぁ。穏やかに歩いている時と、満員電車に揺られている時に考えることは違うだろうな。ゆっくり歩きながら考え

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          たとえば、あんぱん

                                        稲垣早苗 唐突ですが、あんぱんのことを考えていました。 世の中には、食パンも、クロワッサンも、クリームパンもあります。 別にどれが一番!と順番をつけるのではないけれど、 あんぱんってとってもおいしいんだよ。 って知ってほしいとします。 そして、おいしいあんぱんを作っている人が、人知れずいるんだよ。 それを、人々にもっと知ってほしいよ。 あるいは、おいしいあんぱんを探している人に伝えたいよ。 と。 あんぱんを工藝に

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          川上

                                        稲垣早苗 川上。 カワカミって、繊維業界の用語でもあるのですけれど、ご存知ですか? 工房からの風を企画している母体の日本毛織(株)は、今はコルトンプラザをはじめとして、さまざまな事業を営んでいますけれど、創業からの繊維事業では、「川上」の部分の仕事といわれています。 川上、とは、布そのものを作る仕事。 布はその後、服飾メーカーさんのもとで、洋服になったりしていきます。 使い手が知る名前は、最終のデザインを行ったブラ