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民主主義の終焉:SNSが引き起こす政治の破滅


民主主義とSNSの影響


民主主義はSNSによって終わりを迎えた。というのは、SNSはポピュリズムに拍車をかける格好の道具だったからだ。
そして、SNSは人々のルサンチマンを噴水のように噴出させるマシーンとして、政治に圧倒的な損額をもたらした。今行われている議会制政治において全ての一票の重りに差はない。だから、システム全体のことを考えた候補者に対しての一票であろうと、衆愚から取り上げるようにしてゲットして入手した一票であろうとも、全く同じ価値を持つ。
これは、ある意味ではよかった。なぜかというと、身分の違いがあっても票の重みが同じであるため、民衆全体の意見を統括することができるようにな
ったからだ。

投票権の変遷と公平性


日本も昔、江戸時代には納税額が一定以上の男性にしか投票の権利というのは存在しなかったり、近代になっても、男性のみに投票権があったりした時期もしばらく続いた。
ところが、それがうまくいったのは、有権者にある程度の全体を俯瞰した候補者選びができる能力があることと、候補者にはシステム全体を考えて当選することができる能力を有しているという条件が必要である。これらのどちらかが破綻するとたちまちうまく回らなくなる。
前述したようにSNSには誰にでも投票できるのがいい点ではある、ところがそれを裏返せば、一定上の知識を有さない人に対してもある程度以上の力を持ち合わせることを意味する。
しかし、ほとんどの人にとっては選挙制度や政党の実態の理解はコストのかかることになる。その上、一票自体の重さはとても軽いので適当に決めるという選択肢を取ることになる。
結果的に、わかりやすくて自分に都合にいいことを言ってくれる候補者や政党を支持するということになる。
これは日本でも海外でもみられるポピュリズム政治が跋扈している一部のメカニズムである。

識字率とポピュリズム

ところがなぜ識字率がMAXに近い日本ですら、こんなポピュリズムが跋扈している様な状況になっているのだろうかと疑問を持った。
そこで私は、ある一冊を思い出した。それは、「文字の読めない子供達」という本だ。この本では文章を丁寧にロジックで、読める事ができることができる人は、実は本当に数が少ないということを示唆している。
この本について、少し深ぼって解説する。この本では、東大に受かるためのロボットを作成しようというプログラムを行なっていた。この話の流れで持ってこれる要素としては、東ロボくんには言語を理解する能力はないので、大量のテキスト等の情報を食わせたパターン認識によってしか、東ロボくんに問題を解く手がかりはなかったという事である。
しかし、そんな東ロボくんは偏差値58という大学受験の半分以上の人を上回る結果を出した。(一般的な全国模試の結果ではあるが、)
つまり、これは大学受験者の半分以上は、東ロボくん以下の読解力しか持ち合わせてないといことである。確かに、大学受験と一般有権者は、完全に一致しているというわけではないにしろ、大学受験者は現在の日本において、概ね上位の過半数は受験するので、ある程度は両方の要素を合わせ持つということになるだろう。
つまり、これはおおむね上位の過半数を超える人ですらパターン認識によってしか、政治に参加できていないということである。
こうなると、候補者はロジックで理解できる半分以下の有権者を、なんとか説得して投票を獲得することよりも、半数以上を占めるパターン認識で政治に参加する人を説得した方が、当選するのにかかるコストが少なくて済む。そして、発信される情報も彼ら向けの方針が多くなる。中身がどれだけ陳腐であろうと関係ない。私は考えた。
そもそも、こうなってしまう原因は、
「全ての一票が同じ価値を持っているからだ。 」
ではないのだろうか。
今の選挙制度では、全ての一票は誰が入れたということに関わらず、一票の格差は無い。
これでは、ポピュリズム政治家が跋扈して、民主主義がぶっ壊れるのも必然だ。

現行民主主義の限界

ここから現存する民主主義の仕組みがインターネット社会に追いつけてないのではないかということであると結論づけた。
民主主義のシステム上、一票の差がないのはある意味で、公平性を保つフィードバック機構を有してはいたが、このままでいると、もはや悪い方向にしか進む未来は見えない。
そして、それを裏付けるように、民主主義度が高い国ほどGDP成長率は低いというデータまである。
例えば、アメリカや日本といった民主主義の国に対し、もはや独裁の共産主義の中国や貴族主義のエジプトといった国々の方がGDP成長率は高い。民主主義は一票の格差がないことによって、誰の一票でも同じ価値を持つということがこれらの原因だと思う。
そして、これらのオルタナティブなりうる新たなシステムの条件としては、多くの人の意見を反映しつつも、全体の方向性を長期スパンで良い方向に進むような、全体をマネジメントする機構を生み出すことである。これに希望を託して、新たな改良を付け加えた形のシステムを作るしかない。
この機構について、考察を次回は行う。







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