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スタートアップ人事が2020年読んで面白かった本10冊まとめ-人事関連

AIスタートアップで採用責任者をやっておりまして、2020年は主に採用・組織開発、人事以外ではマーケティングあたりを担当しておりました。年間およそ年間2-300冊くらい目を通したかと思うのですが、その中で人事関連で10冊印象深かった本を紹介したいと思います。

毎年、年末年始は紅白を見ながら、おすすめ本をまとめており、今年は人事とそれ以外に分けることにしました。人事以外の方を早く書きたいのですが、こっちを書き始めてしまったので、紅白終わるまでには書き終えたいと思います。(あ、公開前に紅白終わった)

さて、前置きになりますが、日々勉強家のエンジニアと接しているせいか、今年は、自分の勉強不足を痛感する1年でした。

人事関連はもちろん、経営学、コンピューターサイエンス、心理学、社会心理学、脳科学、生物学、海外他社の事例などなど...勉強することは山のようにあるにもかかわらず、日々自分の勉強時間の少なさを憂う1年でした。

お酒を飲んだ次の日、「ああ、この二日酔いの時間を少しでも勉強にあてられてたなぁ」という後悔が今年100回くらいありました。その日の夜90回くらいは飲んだ気がします。アル中かと。

本題になかなか入らず恐縮ですが、人事って他の仕事に比べて「読書」のROIが高い仕事だと思ってます。

もちろん「知っている」だけでは業務では価値にならないのですが、幅広くいろいろなことを知ってることはプラスになります。どちらかというと、「知らない」ことでクリティカルにマイナスをくらうことが多い仕事かなと。

例えばエンジニアリング、ビジネスモデル、業界知識、文化・宗教、法律、社会情勢、偏見などなど。「単純に知らない」ことで、「ああ、この人事、話通じんわ...」と心のシャッターを降ろされることが割とあるんじゃないか。人の人生を扱う仕事だからこそ、一定のプロフェッショナリズムを持たねばと背筋を正して、2021年もモリモリ読めるといいなと思います。

前置きが長くなりました。

#1 NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘 

文句なしのここ数年でNo.1の一冊でした。メモだけだと良さが全く伝わららない自信があるので、ぜひポチってみてください。

・「最高の計画があれば勝てる」は嘘。変化の激しい状況だと情報はすぐに陳腐化するので、リアルタイムに全部共有し、情報の利用者、つまり判断は現場任せにすべき。マクリスタルがイラクで編み出した型破りな情報共有の方法はスタートアップでも生かせるし、非常に勉強になりました。

・「目標設定で信じられている嘘」は、その思想を評価に入れてしまうことで組織を壊してしまうリスクがある。この本のいいところは、批判ばかりではなく、どのようなステップで目標を作り込めばいいかのヒントをくれるところです。

・「最高の人材はオールラウンダー」という嘘。コンピテンシーを他人が正しく測ること自体が不可能。満遍なく伸ばすのではなく、個人としての卓越性にフォーカスすべき。「最高の人材はオールラウンダーではないが、チームとしてはオールラウンダーであるべき」。やたらと評価制度を入れたがる人事やこれまでの人事業界のベストプラクティスで弾かれてしまいがちな尖った人材を輝かせるヒントが隠されていると思います。

・面接で聞くべきは、個人の「モメンタム」。質量(変わりづらい部分)と速度(どこから来て、どこに行こうとしてるのか=実績)によってもたらされるモメンタムがが会社の方向に合致しているかが重要。

一冊目から、まとまりがなくなってしまいましたが、とにかくタイムスリップして今年一冊だけ読むとしたら、文句なしでこの一冊を推します。人事以外の人も、これまでの人事の常識が覆されて面白いと思います。

〔おすすめ〕全ての人事、経営者

#2 Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる


これも衝撃的な本でしたね。 HARD THINGSといい、ベン・ホロヴィッツが人生20年くらいかけて体験してきたことを2000円弱で一気に読めてしまうのなんて、なんて幸せなんでしょう。

直近スタートアップでもミッションやバリューなどについて語られることが増えていますが、その重要性と難易度を理解する本を一冊だけ選べと言われたら間違いなくこの一冊をあげます。

アップルの文化は、アマゾンでは絶対に通用しない。アップルでなにより優先されるのは、世界一美しいデザインを生み出すことだ。 50 億ドルもかけておしゃれな新本社ビルをつくったのも、デザインに対する彼らのこだわりをさらに強く打ち出すためだ。それとは対照的に、アマゾンのジェフ・ベゾスは「他社の利幅が大きなところに、自分たちの商売のタネがある」と言う。この主張をさらに強調するために、ベゾスはすべてに倹約を徹底し、社員には 10 ドルのデスクを使わせていた。どちらの文化もうまくいっている。アップルはアマゾンよりもはるかに美しいプロダクトを生み出し、アマゾンはアップルよりも圧倒的に安いプロダクトを提供している


企業文化は、会社のMissionや構成員、ビジネスモデルに依存するもので、「GoogleやNetFlixやメルカリ真似すればOK」というものではなく、経営者や人事やマネジメント・リーダー陣が頭に汗かきながら、泣けるほど複雑・抽象的なテーマにぶつかった結果として生まれるものです。

一見、緊急度が高くなく見えてかつ構築すべきタイミングの見極めが必要なのに、重要度めちゃ高いという困りもの。安易に他社事例を真似ても絶対にうまくいかない、常にオリジナルなものを模索しないといけないという胆力を問われているものだと思います。

文化とは理想を追いかけることだ。これまで何千という企業と仕事をしてきたが、文化が完璧に浸透している企業はなかった。ある程度の大きさの企業ではかならず、逸脱する人がいる。大切なのは、完璧にすることではなく昨日より良くすること
他社の文化から気づきを得るのはいいが、他社のやり方をそのままそっくりまねようとしないほうがいい。あなたの血と汗と魂から生まれた文化でなければ、文化に命が宿り、生き続けることはない

何より本書は読み物として、圧倒的に面白いです。武士道・マフィア・革命家・モンゴル帝国を築いたチンギス・ハン。様々なエピソードの組み合わせからのメタファーの連続は映画を見ているようでした。

余談ですが、「組織文化の構築」というテーマは鬼の抽象度と、実践でしか何も生まれない美辞麗句の一切許さない残酷さ、そして取り返しのつかないのものです。個人的には、人事としては一番難易度が高く、時間がかかる、だけどめちゃくちゃ意義深いテーマだと思いますし、そう何度も扱えるテーマではないと感じています。

まだまだ勉強中ですが、政治学、文化人類学、社会心理学、脳科学、幸福学あたりに精通していると良いのではないでしょうか。

〔おすすめ〕経営者、リーダー、組織開発担当、採用担当

#3 図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ

人事の教科書的な本。正直、もっと早く出会いたかった一冊です。

テーマごとに読むだけで、各ファンクションのつながりがわかります。大企業で構造上ファンクションの一部しか担当できない人事や、スタートアップにきたばかりで、各人事のファンクションの繋がりが腹落ちできていない人(つまり、スタートアップに転職したばかりの頃の自分)は一旦全チャプターを通しで読んでみるのをお勧めします。

何がいいって、ありがちな個人的な解釈や、経験ベースの主観ではなく学術論文ベースで書かれているので、一定の納得度があること。読者は自社にどう活かすべきか?を考えるいい材料になるのではないでしょうか。図解されているのも非常にわかりやすいです。

100テーマあるので、一気に読もうと挫折します。辞典的に読めるので、1日10-15分×10章×10日とかに細かく分けるのがお勧めです。「2021年は読書頑張るぞ!」という人事の方は、1月のテンションをそのままに一ヶ月で読んでしまえるのではないでしょうか。

知識が深いところに関しては「まぁそうだよね」という思う部分や、アクショナブルではないという点はあるとは思うのですが、役割・組織のフェーズに合わせて各テーマに関しては、関連テーマを読み漁る、専門家とディスカッション、実践あるのみな気はします

人事としての経験値に自信がなくて高速キャッチアップするぞ、となったときに年間10冊しか読まないとしてもこの一冊は読んでおくといいかと思います。さっと読んだだけのことはきっとすぐ忘れますが、頭の中にぶち込んでおくと、きっと何かの判断の際に頭の片隅に残ってくれると思いますし、辞典的に戻ってきてもいいのではないでしょうか。

〔おすすめ〕人事初心者、一部のファンクションしか経験していない人事

#4 1兆ドルコーチ――シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え

これ読んで何も感じない人事には血の色を問いたくなるほど示唆に飛んでいる名著ではないでしょうか。

1on1で笑顔度低すぎMgrの僕は語れることは特にないですが、月並みなことを言ってしまうと、メンターを持つことやチームとして強くあることの難しさと偉大さを感じました。偉大な経営者や、偉大な会社には常にこういったいいチームのバックアップがあり、個人戦ではないことが経営の面白さだったりするのではないでしょうか。

個人的にはスポーツ界では仇になったビルの性格がビジネスのコーチングでは強みになったというのが、場所を変えて輝く感じがしてすごく好きでした。

彼のような人間力、経験値で組織をスケールさせるコーチング・組織開発の要素は、AIやテクノロジーにとって変わられることないと思いますし、未来の人事はこういったスキルが必須になるんだろうなぁと日々の自分を猛省した本でした。

余談ですが、オーディブルで聴いてたのですが、ビルのセリフの声優の人がリアルすぎて、きっとこんなしゃがれ声だったんだろうなぁと脳内再生してました。

〔おすすめ〕組織開発、配置・タレマネ人事、マネージャー、経営者

#5 世界標準の経営理論 入山 章栄

とんでもなく分厚いため、枕としておすすめの一冊。しかも「世界標準の経営理論」語れる人事ってだけでちょっとドヤれるタイトルも非常に良い。冗談です。

騙されたと思って、一章だけでもいいので読んでみてください。「あ、経営学ってこんなわかりやすいんだ」となります。理論だけに止まらず、事例もふんだんに取り上げらていてわかりやすいです。GAFAはもちろん、クックパッドなど日本のベンチャーなども実例でてきて、非常にイメージが湧きやすいです。

12,13章の「両利きの経営」、26章の「ストラクチャル・ホール理論」などは、自社の人事戦略にも非常に役に立つ、実践可能な示唆深い内容です。また、30章の「組織エコロジー理論」などを読むと、どうしても近視眼的になりがちな人事戦略を短期・長期の視点で捉え直すきっかけになります。

紹介しておいて、恐縮ですが、全部読めてないので、ちょっとずつ読み進めていこうと思います。これは100%自戒なんですが、「世界を変える」とか「世界で勝つ」とか言うんだったらこれくらいの本はペロリと読んで、理解して、実践しないと、ダメですよね。

ここまで体系的にまとめてくれる知の巨人たちと同じ時代に生まれたことを感謝しつつ、試行錯誤、実践していくのが現代のHRの使命じゃないでしょうか。圧倒的な強さを手にいれて、誰よりも優しくなる、これが21年のテーマです。

※枕にする気がなければKindleでの購入をお勧めします。一章ごとに小分けにして読んでくといいのではないでしょうか。

〔おすすめ〕経営者、人事全般

#6 NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX

王道すぎて飽きていたらすみません。

今年人事界隈で話題になった本の一つではないでしょうか。個人的には、日本語訳前に一気に読んで、日本語化されたら人事界隈でどれくらい議論になるかを予想しながら待つというこれまでやったことにない読み方に挑戦したのが感慨深い一冊でした。思ったほど話題にならなかったですね。あまりに極端すぎて真似できなかったからでしょうか。

各章ごとにインサイトを書いていきたいですが(いつか書くかも)、個人的に一番のポイントは、「企業文化は各社オリジナルなものを作らなくてはいけない」ということでしたね。

また、読み方として、事前にネットフリックスに関する本3冊(勝手に白本黒本赤本と呼んでます)を読んでから、この本を読んだのですが、ビジネスモデルの変遷や、社内の人間の模様、競合との戦いを知った上で改めてこの本を読むと解釈がまた違うなと思います。

人事系の本を読むときに、表層的に人事のことだけ理解すると、大体上滑りするので、ビジネスをきちんと理解してから読みたいのですが、4冊読むとビジネス→人事視点→研究者視点と、非常に複合的に理解できて、勉強になりました。

また、人事目線の本ではありますが、弊社では社内で、「こんな文化どう思うか」という勉強会を実施したのが印象に残ってます。4-50人参加してくれたのですが、人事系の本は社員がどう感じるのか?という意見を踏まえながら読むと、また違う捉え方ができると思いました。

最高の人材=人物密度を高める、最高の給与を払うなどキャッチーな話が注目されてますが、FBの受け取り方、情報の開示の仕方など、現場のマネジメント・リーダー層も非常に勉強になることが多いと思います。

総じて言うと、採用とイグジットマネジメントの重要性を認識させられる一冊でした。

〔おすすめ〕人事全般、経営企画、現場リーダー

#7 作るもの・作る人・作り方から学ぶ 採用・人事担当者のためのITエンジニアリングの基本がわかる本

エンジニア採用に特化した採用担当の本はこれまでありませんでしたが、体系的に学べるエントリーモデルの決定版とも言える一冊。非エンジニアのエンジニア採用1年生はとにかくこの1冊を読み込むことから始めるのをお勧めしたいです。自分がエンジニア採用始めた時にぜひ読みたかったです。

1.この本を穴があくまで読む
2.1日3つアプリをDLし、100個使ってみて、面白いなと思った機能をメモし、どんな技術が使われてるのか考えてみる
3.テッククランチの記事の気になった記事を3つピックアップしてツイート
4.エンジニアと週1回ランチする
5.エンジニアマネージャーや、エンジニア採用に慣れたメンターを見つけ、実務を通じてFBをもらう
6.担当領域に応じて、Deep Learning G検定や基本情報処理資格を取得

1-6を3ヶ月でやり切れば、戦力になるエンジニア採用担当になると思います。軽い知り合いの中島さんや千田さんに忖度してるわけではなく、Laprasさんに値引きして欲しいわけでもなく、本当にいい本でした。いつかこんな本を書いて日本の人事の役に立てるといいなと思った本でした。

〔おすすめ〕エンジニア採用担当/エンジニア組織のHRBP

#8 OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める 


「職場の空気は、将来の財務指標に強い影響を与える」「職場の空気に応じて投資した結果、ファンドのリターンが平均値より高かった」

というファクトをもとに

・組織の文化の急激な悪化は、将来の財務的リスク悪化(負債比率)に強い有意差がある 
・組織文化の悪化は、売上変化率の悪化に、強い有意差があった

大事なのはあくまで「事業」であるという前提で書かれており、組織より事業。というスタンスが非常に共感できます。

その上で、事業の移り変わりが激しくなった現代は想定的に、組織へのコミットが重要性が増していると主張しています。

グーグルやネットフリックスといったソフトウェアの会社の人事戦略が世界的に注目を浴びるようになった構造的な理由だ。
今の時代、多くの企業が時価総額を連続的に伸ばすためには、事業を拡大・買収・展開させていく必要が出てきた。その際、「組織」へのコミットメントが強い企業は相対的に強くなった。事業がピボットしやすいからだ。

コロナを受けe-NPSの導入を検討されてる人事担当者、経営者はぜひ一読しておくことをお勧めします。e-NPSを2年ほど前に導入し、モニタリングをしてきました。担当をされてる方は共感いただけると思うのですが、単純にe-NPSスコアを追いかけるだけではビジネスインパクトは出せない、と感じるのがほとんどの人事担当者ではないでしょうか。

その際の分析に切り口や使い道などこの本を読むと少しヒントが掴めるのではないかと思います。

もう少し技術革新が進んで、従業員のサーベイベース、つまり主観ではないデータが取られ始めると、より説明能力を増すものになると思います。データ取得の整備を今のうちに進め、アジャイルに手が打てる人事体制の構築は非常に重要なテーマになるのではないかと思います。

〔おすすめ〕組織開発担当、経営者

#9 エンプロイー・エクスペリエンス

なぜ、日本語訳が絶版になっているのか...と思うくらい非常にいい本でした。従業員の期待値と整合性を取っていくことに重要性が終始一貫して解かれています。

所属している企業では、組織の急拡大やコロナを受けてのリモート化での働き方の変化を受け、10月から現場社員+人事でEmployee Experience (EX)チームというのを立ち上げ従業員体験をテーマに活動していきたのですが、その一環で4回にわたりこの本の輪読会を行いました。

すごくシンプルにいうと、従業員と会社の関係性として、「蓄積された期待値と、入社後に触れ合うすべてに全くギャップが無い状態を目指そう、それが企業成長に繋がる」という書籍です。

従業員の期待値の解像度を上げると、以下の三つに分類され、放っておくとどんどんギャップは高まります。

1.ブランド契約
マーケティング上のメッセージやその会社の評判、その他メディアでの露出など対外的明示的に発信されるものから構築されていくContract
特に従業員が入社前に蓄積していく期待値によるところが大きい
2.取引可能契約
採用における募集要項や、就業規則、福利厚生にあるような意図的で明示的な会社発信の要件3つのContractの最もコントローラブル。3つの中で最もコントローラブル。従業員満足度には寄与するが、本質的な意味でのエンゲージメントに寄与するものではない
3.心理的契約
一番重要。明文化されていない、その職場におけるあらゆるリレーションシップを通じて構築される暗黙的な期待値や義務全般。明示的に発信されるもの以外全部で、1や2に比べて暗黙的で実態が最も掴みづらい。可視化し、ギャップを埋める努力をし続けないと放っておくとどんどん広がっていく

どういった瞬間にギャップが高まるのか、それをどう防ぐのか、などが論じられていますが、印象残ったのは、「ギャップを埋める駆動ドライバーはミドルマネジメント」ということでした。もちろんトップのコミットメントや、人事できることもありますが、それをやり切った前提で鍵になるのは現場のリーダー層。

エンゲージメントを可能にし最適化する5つの鍵である「意義」、「自主性」、「成長」、「社会的影響力」、「愛着」をどうメッセージング・体現していくのかは現場の巻き込み無くしては実現不可能だろうなぁと改めて十っ関する一冊でした。

〔おすすめ〕人事全般、現場のマネージャーリーダー陣

#10 Scaling Teams 開発チーム 組織と人の成長戦略 

エンジニア組織の組織開発に携わるのであれば、必読の本ですね。

目新しさがあるわけではないのですが、ベンチャーが組織をスケールしていく過程での落とし穴やボトルネックになる要素が採用、組織設計、文化、コミュニケーションなど網羅的・体系的に整理されており、非常に参考になります。

スタートアップは、いろいろな会社出身の人間が構成され、同じWeb系の人間でも組織に対する考え方は千差万別だったりします。ビジネスモデルや業界構造的にエンジニアの声が強い会社出身の人もいれば、ビジネスサイドの声が強い会社出身の人もいる。企業規模も、数名のガチスタートアップからメガベンチャー、大企業などによって、考え方は違う。ハード系、Sler系などのエンジニアが入ってると、さらにアラインメントの難易度は上がります。

また、どベンチャー→メガベンチャーの全てのフェーズを体験してる人はそういないため、どのタイミングで何をすべきか、は人によって考えが違うます。当然そういった場合は対話が前提となりますが、必要になるのは、前提知識の体系的なすり合わせや、考え方が違うということをまず認識しすること。この本は一定の規模の会社に成長していく過程で抑えるべき観点が抑えられており、非常に役に立つのではないでしょうか。

この本では、採用・人事管理・組織・文化・コミュニケーションの観点で、スケールの落とし穴が網羅されており、スケールの経験がある/ない、または異なるバックグラウンドからきたEnginieering Manager や人事、EM/人事の間で目線が揃いそうな印象を受けました。

この本に書かれていることが全て正ではない前提ですが、議論する上での叩きにはなると思いました。プラクティカルなチェックリストや実例があり、応用に生かしやすいです。

また、Amzaonで[アクハイヤリング]と調べると、キラキラとした"イヤリング"がたくさん出てきてしまいまだまとまった書籍がないのですが、この本に一定書かれており、参考になります。

〔おすすめ〕メガベンチャー手前のテックカンパニーのエンジニア採用担当/組織開発担当

時間も無くなってきてしまいましたが、次点として下記2冊も面白かったですね。あー福山雅治が歌ってます。ましゃ兄はいつまで経っても老けないですね。

最強の戦略人事―経営にとっての最高のCAO/HRBPになる 

やや大企業・レガシー産業向けの印象を受けましたが、「アラインメントリーダー」というのは改めて人事のあるべき姿を言語化していると感じました。

理論的にはしっくりくるので、あとは実践できるか、このために人事の戦闘力(ビジネスセンス/プロマネ力などの総合スキル)が必要とされてる時代にきてるなぁという実感でした。

ハーバード・ビジネス・レビュー HR論文ベスト11 人材育成・人事の教科書 

説明不要。もっと出してほしいっす。

一冊一冊で、それぞれ議論したいくらい語り尽くせないことがありますが、先人の知恵があって、それを実践できる場があるって最高ですね。2021年もたくさん本を読みたいです。おススメの本があったらぜひ、DMください。

人事の本は紹介してても、あまりテンション上がりませんね。笑

明日は、人事関係ない本について書きたいと思います。


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