5分で理解!「ゲーム理論」の簡単な説明と代表例
ゲーム理論とは
利害が対立する複数の主体(プレイヤー)の意思決定や行動を分析する理論です。複雑な現実世界を単純化したモデルを用いて分析するため、すべての状況に完全に適用できるわけではありませんが、戦略的思考と意思決定の基盤として重要な役割を果たしています。
以下のような分野に応用できます。
ビジネス戦略
社会問題の解決
人間関係の理解
意思決定プロセスの改善
主な特徴
1. 問題を俯瞰的にみる
複数の人や組織間に起こる状況の全体像を客観的に俯瞰します。
全体像を捉えるためには、相手の立場で考えることも重要です。
2. 問題を単純化する
プレイヤー、戦略、利得の3要素だけを取り出し、問題を単純化します。
プレイヤー: ゲーム理論における意思決定主体。個人、企業、組織、国家などがプレイヤーとなり得ます。
戦略と利得: 各プレイヤーの選択可能な行動と、その結果として得られる利益や満足度を表します。
利得表: ゲームの構造を可視化します。
ゲーム理論の代表的な概念
ナッシュ均衡
非協力的なプレイヤー間で、各プレイヤーが最適な戦略を取り、均衡を保っている状態です。誰かが一方的に戦略を変更すると、高い利得を得ることができなくなるため、安定状態となります。
囚人のジレンマ
個人の利益追求が全体の不利益につながる状況を示す代表的な例です。2人の囚人が別々に尋問を受け、以下のような状況に直面します。
両方が黙秘すれば、軽い罪で済む
一方が自白し、もう一方が黙秘すれば、自白した方は釈放され、黙秘した方は重罪
両方が自白すれば、両方とも中程度の罪
このジレンマは、個人の利益追求が必ずしも全体の最適解をもたらさないことを示しています。
チキンゲーム
プレイヤーが互いに譲らず、最後まで行動を変えない場合に最悪の結果になるモデルです。ビジネスでは、市場シェア獲得のための価格競争などに例えられます。両社が値下げを続けると、最終的に利益が出なくなるまで価格が下がってしまう可能性があります。
コーディネーションゲーム
このモデルでは、プレイヤーが同じ行動を取ることで利益が得られたり、リスクを回避できたりします。ビジネスにおいては、過度な競争を避けて協調行動を取ることや、規格を統一し利益の最大化を目指します。
オークション理論
オークション理論は、財やサービスの取引において価格が競われるオークション形式の市場を研究するゲーム理論の一分野です。入札者は自分の利益を最大化するために戦略を立てますが、オークションの設計や参加者の情報の有無などが結果に影響を与えます。
バトル・オブ・ザ・セックス
このゲームは、個人の好みと共同の利益のバランスを取る必要性を示しています。例として、夫は野球の試合を見たい、妻はオペラを見たい、両者とも一緒にいることを望んでいる、という状況があるとします。この場合には2つのナッシュ均衡が存在し、両方がオペラ、または両方が野球に行くことです。
最後のケーキ
2人でケーキを分ける際の公平性を考えるゲームです。
1人がケーキを2つに切る
もう1人が先に好きな方を選ぶ
このルールにより、公平な分配を促す仕組みを示しています。
公共の牧場
複数の農家が共同で利用する牧場の管理を考えるゲームです。各農家は多くの牛を放牧すれば収益が増えますが、全員が多くの牛を放牧しすぎると環境破壊が起こり、長期的には全員が損をします。個人の利益と共有資源の持続可能な利用のバランスを考える上で重要です。