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【割安度分析】メディアコングロマリットWarner Mediaのスピンオフの影響 Vol.1:スキームの概要

*本記事は三部構成です。
*本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
*本記事は2021-11-28に執筆されたものを再掲しています。

概要

2021年5月、米国通信大手のAT&Tと米国大手メディアのDiscoveryは、AT&T傘下のWarner Mediaを分社化し、Discoveryとの統合を発表しました。新会社の設立は2022年中頃に完了予定です。

今回は統合を見据えて、現時点でAT&TとDiscoveryのどちらに投資妙味があるのかを検討しました。

以下に今回の結論の要約をまとめます。

  • AT&Tはスピンオフに伴う配当減額の影響により投資妙味はない。

  • Discoveryは統合前の現時点で80%程度過小評価されている。

  • 今回の統合それ自体はDiscovery株主が恩恵を受けるものではない   (しかし、Warner Mediaが近年売上成長を続けているため、将来的にプラスに働く公算は高い)。

統合の目的

昨年度DisneyがNetflixに対抗すべくストリーミングサービスDisney+を立ち上げたように、動画配信業界の競争は更に激しさを増しています。
この事業において、映画やドラマなどのコンテンツの充実は顧客を引き付けるうえで最重要の要素になります。

DiscoveryとWarner Mediaはそれぞれ自社でコンテンツを制作し、Discovery+とHBO Maxというストリーミングサービスで配信していますが、DisneyやNetflixに比べるとどうしてもコンテンツの規模で見劣りします。そのため、それらに対抗することができる水準までコンテンツを増強しようという目論見です。

一方のAT&Tは、2018年にWarner Mediaを約$80Bで買収したばかりですが、本業である通信事業、こちらも激化する次世代の5G関連事業に向けて更なる資金調達すべく今回の分社化を決定しました。

統合のスキーム

Warner Mediaの分社化に伴い、AT&Tは$43Bを現金、社債の形でWarnerから受け取ります。更に、AT&T株主は新会社Discovery.Warnerの株式を71%受け取ることができます。対してDiscovery株主は現在のDiscovery株式の100%が新会社株式の29%に変換されます。合併後のCEOはDiscoveryの現CEO David Zaslav氏が務めます。


AT&TとDiscovery の銘柄分析は別記事にて行っています。
【株式分析】メディアコングロマリットWarner Mediaのスピンオフについて No.2:AT&T銘柄分析|かず|note

【株式分析】メディアコングロマリットWarner Mediaのスピンオフについて No.3:Discovery銘柄分析|かず|note


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