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なのに雨 みんなこちらを見ているな

シリーズ・現代川柳と短文NEO/040

 天気予報はずっと前からその日は雨になると知らせていた。まるで、その日に雨が降ることをこの世の全員が望んでいるように。百年が経ち、二百年が経ち、その日が来る。天気予報は変わらず雨になると知らせていた。じっさいには雨は降らなかった。でも、もう降ったようなものだ。だれもが黙って傘の内側を見ていた。

【きょうの現代川柳】
なのに雨 みんなこちらを見ているな
/今田健太郎


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