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映画『ザ・バットマン』のこと

 マット・リーヴス版のバットマンは言ってみれば映画館で観る2時間ドラマ。金と権力と怨嗟。それらをセリフだけで強引に語るのを厭わぬやり口。いかにもな「骨肉の争い」もあり、2時間ドラマはこうこなくっちゃ!という味わいで……あれ?

 3時間ある(2時間55分)。

 長い。画面も暗い。それはそれとして、ペンギンを抑えてメインヴィランの座をゲットしたのはリドラー。彼の出番は上映開始から(たぶん)2時間以上が経過してからだった。たいていの映画ならとっくに終わっている時間にようやく顔を出す悪役。たしかにそれまでのドラマ(枠組み)から抜け出したような、なにか超越した佇まいではあった。

 なるほど、これからの時代のヴィランは、ひとりのキャラクターのディテールや他者との関係性を描き込むだけでは描けないのだ。もっとよくわからないもこもこした悪。2時間ではおさまらない、というか、2時間という映画の枠の外にいる者、みたいなイメージ。だから3時間あった。あらかじめ余白を用意するように。

 という、既成のフォームからにゅるりとはみでている気がした映画。そういう映画ってほかになんかあったかな~、と考えてすぐ思い当たったのは『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』だが、それはたんにポール・ダノのことを考えているだけ。

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