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(2年前に書いたものを元に書き直しました) 

 実家の母親から荷物が届いた。あるメーカーのパックごはんのロゴが書かれた段ボール箱。開けるとやはりパックごはんが入っていたが、そのほかにマスクやハンドソープも詰められていた。底のほうには缶詰やレトルトのカレーがあり、それらから液漏れした場合の対策だろう、さらにその下には地元のスーパーの安売りチラシが敷かれていた。それでわたしは知らされた。

 4月5日は長崎県産のレタスが128円だったのか。

 わたしは夢中でチラシを読んでいた。もう何年も帰っていない実家のことを考えながら。本来ならわたしが心配しなくてはならないはずなのに、逆に心配されている。よくない。しかしいますぐになにか変えられるわけでもない。わたしはただ読んだ。

 読み続けることしかできなかった。

 長崎県産のレタスが128円かと思えば、鹿児島県産の曲がりインゲンはなんと1袋100円。さすが日曜限定の「びっくりサンデー」だ。

 さすがだよ。

 わたしは泣いていた。しずくのひとつが鹿児島県産の「恋みのり」という1パック580円のいちごの画像の上に落ちた。いちごの赤色がいっそう鮮やかさを増す。この鮮やかさなら1パック1,280円でも売れると思った。

(地元のチラシ/Local leaflets)

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