見出し画像

ホントかウソか分からず終い

100%初対面では読めず呼べず、しばらく会わずにいると忘れ去られてしまう。毎度訂正も面倒なので放置する。それが私の名前。素直に読んで呼ぶことに間違いはない、そう読める呼べるし、そういう名の人物はいる。
私ってば年齢に反して当時は流行先取りしすぎのキラキラネーム?!かと聞けば知人たち曰く、漢字は至って普通なのと、私自身がこの名前のバックボーンをちゃんと理解していて聞かれた時に答えられるからビミョー、だそうです。

以前の勤め先、毎日仕事で顔を合わせていた先輩の1人で私の名前を「ヨウコちゃん」と呼んでいた人がいる。スズキさん(仮名)だ。ちなみに「ヨウコちゃん」呼びは本名と比較して、響きも文字数も合っていない。本名で呼ばれた記憶がない。
新人研修の時からお世話になりっぱなし、雷を落とされることもしょっちゅうあった。すぐにやめそうな社員と評価されていることを早い段階で教えてくれたり(この時は流石に心折れた)、ほぼ毎日ファミリーパックの菓子を持ってきて一緒にお茶する女子力高いおじさまでした。

退社の日に「今度飯でも行こうぜ!」と下心丸出しでLINE交換した時にヨウコちゃん呼びの真相に迫ってみた。
「初恋の子の名前なんだよ!お前その子に本当にそっくりだからヨウコちゃん!」と、スズキさんは答えてくれた。まさかの恋バナ。


「17、8歳の時に天国逝っちまったんだけどな」



この時の私には「えっ」以外の、それ以上のリアクションは無理な話。
そしてこれが本当の話のひとかけか、下心からの嘘の話かも分からないまま、未だに食事をしていない。昨今は感染症問題もあるからね。

前者だとしよう。
なんて切なくてギュッと心苦しくなるんだ、と私は感じた「ヨウコちゃん」、スズキさんは何十年かけて愛しい名前に出来たんだろう。
誰かの心に残る名前。と、ここまで書いた時に私の名前の由来から私の心に残る存在は両親だということに気付いちゃったり。もちろん私の名前は私自身愛おしい。

ちなみに読めなくて仕方ないと言っても、書類にふりがな記入部分に書いても呼び間違えられたり、書いても支障ない書類に書き込んだこちらの忖度の甲斐なく、呼び間違えてくれた時は一度無視させていただくのがささやか且つみみっちい私の抵抗です。
「私の字そんなに読めない?」って地味に傷ついてるんだからね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?