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若者は何かに取りつかれる(プレステージ)

「プレステージ」を観たので、レビューします。

【作品情報】
監督:クリストファー・ノーラン
出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル
原作:クリストファー・プリースト

【おすすめ度】
★★★★★★★★☆☆(8 / 10)

【あらすじ】
アンジャーとボーデンは同じ師のもとで下積みに励む前途ある若きマジシャンであったが、アンジャーの妻が亡くなった不慮の事故をきかっけに、2人は袂を分かつこととなった。事故の原因がボーデンにあると信じて疑わないアンジャーは彼への憎悪を募らせていき、報復としてマジシャン生命に関わる怪我を彼に負わせてしまう。大事な商売道具を傷つけられたボーデンも黙ってはおらず、意趣返しとしてアンジャーの名声に傷をつける行為を働く。マジックを通した2人の応酬は激化し、それは殺し合いにまで発展する。

【感想】
 オッペンハイマーで話題のクリストファー・ノーラン監督の作品です。アンジャーとボーデン、若きマジシャン同士のままならない闘争を描いた作品ですが、意趣返しが奇術を通して行われているので、単なる復讐劇とは趣が異なっている点が面白いと思いました。一部現実ではありえないSF要素が含まれているものの、本筋の邪魔にはならないので違和感はありません。
 どちらが勝つか負けるか分からない状況で、ちりばめられた伏線が徐々に回収されていき、どんでん返しへと繋がっていく一連の流れが、とてもきれいにはまっており、観ていて気持ちが良かったです。
 マジシャンとして誰よりも観客を驚かせたかったアンジャーは、ボーデンが自分にはないその才能を持っていたがゆえに、実は復讐心などではなくただの嫉妬心から彼に固執し続けていたらしきことが、ラストで判明します。互いに手を取り合っていれば、誰も不幸にはならずに済んだいたであろう、男の嫉妬心ほど難しいものはないと感じるやりきれない結末でした。
 難解な作品の多い同監督ですが、今作はテーマが明快で物語も分かりやすいので、大衆受けしそうな面白さのある作品だと思います。(少なくとも、テネットなどよりは遥かに・・・)

【シーン抜粋】
アンジャーが師であるカッターに最後の公演協力を要請するシーンにて。黒歴史が生まれる理由を述べたセリフ。

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