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静謐な物語が生み出すメガトン級のパンチライン ー 漫画「プリンセスメゾン」の名言BEST3

大変いまさらでございますが。

「この漫画がすごい2016」でランクインしドラマ化もされた漫画、「プリンセスメゾン」について紹介させてください。

この漫画は、両親に先立たれ一人東京で生活する主人公が、理想の物件を購入するためコツコツ働く姿と、その姿を見て少しずつ生活が変化していく周囲の人間を描いたお話です。
池辺葵さん特有の静かで言葉少ない世界観の中で、お気に入りの個人的名言BEST3を紹介します。

第3位:「さっちゃん…欲しい物って、手に入れてからが勝負だね」

上京して働いている主人公さっちゃんのもとに、高校時代の友達のえっちゃんが遊びに来ます。えっちゃんは結婚していますが夫のふるまいに納得いっていないとこがあり、プチ家出のような形で一晩だけ沼ちゃんのアパートに身を寄せていました。ひとしきり話した後、同じ布団でつぶやいたセリフがこの言葉です。

これほんとに「そうだな~~~」って思いました。えっちゃんはこの時夫のことを想い話していますが、結婚に限らず大学受験とか就職とか大きな買い物とか…手に入れてからが意外としんどかったりしますよね。
私も目標達成したあと腑抜けがちなので、この言葉はかなりビビっときました。あと「手に入れてから大変だね」ではなく、「手に入れてから”勝負”だね」と言ってるところが前向きな気持ちになれて好きです。


第2位:「…車の運転でいうと伊達さんはパーキングにギアを入れちゃってるんですよ。私はニュートラルなんですいつだってドライブに」

主人公の沼ちゃんのお友達、派遣社員の要さんが、婚活のため地元に帰ることを決めました。その際、上司の伊達さんから「結婚を諦めてる方と思いました」と言われ、まくし立てる様に話した言葉になります。

名言って感じではないですが、私めちゃくちゃパーキングに入れてるなと反省しました(恋愛とかその他もろもろ)。なんならエンジンまで切ってる気がする。。
がつがつ動くつもりではなくても、いつでも動き出せるニュートラルの意識は持っておくのは大事だなと最近の座右の銘になってます。いつも心はニュートラル
気がつかないうちに動けなくならないように生きていきたい。。

第1位:「でも人生って安全に健康に安定して生きてければ幸せってわけじゃないことくらい…私だって知ってるから」

医者から耳が弱いからライブに行くのをやめろと言われるも、
何度もライブに行き難聴を負う要さんに、同僚の阿久津さんが言った言葉です。

自分の中にもなんとなくこの感覚はありましたが、意識するのを避けてたように思います。世界の中では日本は裕福で、決して恵まれない家庭だったわけでもなく順調に会社に入ってお金をもらえて…そんな自分が幸せじゃないと思ってはいけないと、半ば強迫観念のようなものがありました。
だからこのセリフを見た時は、そうだよね、安定して生きるだけが幸せとは限らないよねと、肯定してもらえたような気持になりました。すごくホッとした。

最後に


ここまで名言にフォーカスして紹介しましたが、池辺さんの漫画の最大の魅力は"言葉以上に心動かされる画"だと思っています。意味深に挿入される見慣れた街の景色や、人を見送る表情などは、漫画であまり経験できないつんとしたもの寂しさと日常の温かさを感じることができます。
気になる方は全6巻なので是非読んでみてください。



ではでは。

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