1984 感想

1984 裸で泣いてた君は
どこか遠い国の街角で同じように
泣いている誰かに抱かれながら

andymoriのこの歌詞がすごい好きだったので
1984というタイトルに惹かれて読みました。我ながら謎動機。

それがなんと世界的名著ってことでね。
今更1984読んで感想書いてる腐れ野郎、他に、いますかっていねーか、はは

まっさらな状態で読めたので感想を書いておきます

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正直最初は、「はいはいディストピアね」って感じで読んでました。ディストピア系は好きではあるけど、ディストピアであるだけで褒めるのはよくない。私はそんなに甘くないぞという気持ちでね。

　緊迫感ある監視生活の上で、意図的なのか色彩をあまり感じない描写が多かった気がする。その上で、ボロボロの衣服、テレビからの監視、飲む前に一呼吸入れて腹の衝撃に備えなければいけないジン(この描写マジで好き)など、主人公の生きる喜びがまったく見えない生活の描写が良かったですね。絶えず緊迫感を持ちながら感情を押し殺しながら機械的に生きる、精彩を欠いた人生。文章を読んで脳裏にぼんやりと浮かんでいたのは、灰色で砂埃まきたつ砂漠のような場所にある無機質な建物群のイメージでした。

　そんな監視生活のなか、誰も彼もが互いの顔色を伺い監視する中、自分を糾弾しようとしてるんじゃないかとさえ思っていた女性から突然「愛してます」の紙切れ。
これ本当にテンション上がった。一気に引き込まれました。
灰色だった世界にパッと色がつく瞬間。人間らしいものが奪われ続けたなか、愛が彩りを与えてくれるのはベタだけどやっぱり爽快ですね。主人公が「愛のような情熱が社会を変える」みたいな思想になるのもやむなし。

…と、ここまで丁寧に振って結論が、愛や思いやりをベースとした社会じゃ俺らの考えた監視社会には勝てないよ　なのがね。最後わざわざ彼女を引き合わせてまで負けを明示してるの気分悪くていいですね。1章のあの歓びを嘲るようなこの全体の構図が芯とおってて良かった。彼女もプライドも信念も何もかも、あのディストピア社会の中で主人公が培ったもの全てを奪われて、最後ビックブラザーへ敬礼して射殺。ここまでNTRみたいなことしなくても、、と引いちゃうくらい徹底的な描写で作者の主張がビシバシ伝わってくるところが良かったです。


あと、細かいところで好きだったTopicが2つあります。


1つ目は辞書の話。
主人公の友人が働いている職場では言語を日々“削る“作業をしています。
語彙が減ることで思考の幅を狭める。政府を批判しようものにも語彙がなければその思想に行きつかない。友人がそれを嬉々として喋る様がザ・ディストピアで最高なのはもちろんですが、この語彙が減る=思考の幅が狭まる　はリアリティあってなるほどなと思いました。
確かに論理として合ってると思うんですよね。作品の感想書く時に「良かった」「悪かった」だけだとレビューにも議論にもならない。現在進行形で自分にも刺ささってますが。。。今のAIがどこか無機質に感じるのと同じで、語彙の種類とその使い分けって“人間らしい”議論において重要なんだろう。
真空ジェシカが辞書は最後にまーごめと書いた一つの紙になると言ってましたが、これはもうディストピアの極地ですね。政府は監視を絶やすな👀

2つ目はフェミニストとかヘイト周りの話
後で調べたけどこの本1950年くらいですよ、
2024年に起こってることをこんなリアルに描けるのおかしいって。。。
オーウェルTwitter見ながら書いてただろ　ってくらいフェミとかヘイトへの描写力高くて笑いました。
作中では政府が意図的に性への意識を抑制し、代わりにヘイト先へその激情をぶつけることで群衆をコントロールしてましたね。しかもそういう人たちに対して「性欲発散できないから代わりのものにぶつけてるだけ。何の思想も無い」って言及してるのがまた面白い。
まるで異性へのヘイト撒き散らす人は性生活が充実してないから当たり散らしてるみたいな言い方ですね。　あ、これはオーウェル君が言ってるだけですよ〜😗

最後に
この本の怖いのは今の社会的状況を予見してるのはもちろんなんだけど、オーベルウィン？(もう名前忘れたけど主人公をボコる敵)の言ってる社会理論に対して、論理だけだと完全に反論できないところかなと思いました。少なくとも私は論破される側。
昔社会の授業で先生が、貧乏な国を支援して全世界が裕福になるのが理想ですねって言った時、いやいやそうなったらだれがカカオ豆とるんだって子供心にモヤったことがあったけど、そういう自分が心の奥底でうっすらと消化しきれなかった社会に対する疑問符を、物語として分かりやすく提示してくれたのが個人的にgoodでした。

ボコボコになりながら思考を整理してくれた主人公君に感謝を

でも君、性行為の前後で政治の話しすぎ〜☝️💦

〜fin〜