見出し画像

【23卒就活体験記】就活ってなんだろう?

こんにちは。note初投稿です。
こちらの記事に興味を持っていただき、ありがとうございます。

自分は、東京大学工学部の3年生です。先日、23卒として就職活動を終えました。
学部3年生の4月からスタートして8ヶ月近く、自分なりに必死で就職活動を進めてきました。そして、その軌跡やそこで感じたことを記憶がまだ鮮明なうちに形に残しておきたいと思い、この文章を書いています。

今回のテーマは「就活ってなんだろう?」にしてみました。これは自分が就職活動を進めていく中で何度も頭を悩ませた問いであり、かつここまで就職活動に向き合ってきたからこそ、自分なりの答えが出せそうな問いです。この問いの答えを導くことをゴールに、その答えに辿り着くまでの紆余曲折を自分の就職活動の遍歴を中心に書いていきたいと思います。

問いの答えは最後の方に書いてあります。もちろんそこだけ読んでいただけるだけでもすごく嬉しいです。ただ、自身の経験に基づいて記述しようと思うので、経験の部分から読んでいただけると説得力が変わるような気がします。また、極力、就活の軸などといった具体的な自分の価値観の記述は控えて、「就活ってなんだろう?」という問いに答えるための根拠となったエピソードをピックアップしています。


0からの就活スタート

就活をスタートしたのは、2021年4月、ちょうど3年生になったタイミングです。
周りに就活仲間もいない、業界や業種に対する知識もないという状況の中で、文字通り"0から"のスタートでした。

この時期は、いわゆる難関サマーインターンの選考がスタートし始める時期です。右も左も分からなかった自分は、難関サマーインターンに1つでも多く受かることをとりあえずの目標に掲げ、難しそうなサマーインターンに片っ端から申し込んでいきました。
そんな自分に降り掛かってきたのは、ES(エントリーシート)、Webテ、GD(グループディスカッション)など就活生にはお馴染みのものです。これらに全く触れたことがなかった自分は、とにかく経験を積むことが近道だと感じ、ひたすらインターン選考にエントリーして、ひたすらESを書き、ひたすらWebテを受け、ひたすらGDに参加しました。ギチギチになった予定表を眺めながら、ああ、これが"就活"かあ、と落胆したことを今でも覚えています。

自分なりに、1つ1つの選考に全力で挑んでいきました。しかしながら、現実はそう甘くはなく、選考結果は散々でした。今だから冷静に言えることですが、難関サマーインターンというものは基本的に落ちます。早期から動き出している、いわゆる"トップ就活生"が集まっているのだから当然です。ただ、当時の自分はなかなか割り切ることができず、忙しさに加えて、ほぼ毎日どこかしらの企業から送られてくるお祈りメール(落選のメールのこと)に時間もメンタルも削られていきました。それでも、はやく自分も"トップ就活生"になりたい、ならなければいけない、と思っていました。

ここまでが4、5月あたりのお話です。ひたすらエントリーをして、就活の予定を詰め詰めにして、それでも落ちまくって、なんとなく"就活"ってこんなものかというのを理解し始めていました。大学の授業やアルバイトなど他にもやらなければならないことがたくさんある中で就活を頑張っていた過去の自分を自画自賛すると共に、同じような境遇で頑張っている全国の就活生には本当に尊敬しかありません。

そして、いよいよ6月からコンサルの内定直結インターンの選考が始まっていきました。

コンサル就活

この時期から、ぼんやりとコンサルを志望するようになりました。理由は単純で、"とりあえずコンサル"という近年の就活界隈の風潮に流されたからです。そして、こちらもまたなんとなくで、レベルが高そうないわゆる戦略系のコンサルを受けまくりました。当時の自分は典型的なコンサル就活生で、「地頭力を鍛える」という本を読み、東大生が書いたシリーズのケース、フェルミ推定の問題を解いていました。対策自体は決して面白くはなかったけれど、ここまで選考に落ちまくっている自分にとっては受かることが何より大事だったので、我慢して勉強しました。

そして、本当に運よくMBB(戦略コンサルのTOP3と言われている3社)のうち1社のインターン前最終面接まで駒を進めることができました。これが決まってからは、それまで以上にケース面接の対策をしました。自分の中で大一番の日になるだろうという予感がしていました。
実際に、その日は別の意味で自分の就活のターニングポイントとなりました。

最終面接では、その会社の中でもかなり偉い立場にある方が担当でした。最初にケース問題を個人で考える時間が与えられました。相変わらず、その時間は何も面白くありませんでした。ただ、受かるためには当然良い解を出す必要があるので、頑張って考えました。そして、自分の出した答えを面接官に伝え、いよいよケース面接に移る、という感じでした。
そのときに、今回出された問題は、実際の業務内容に近い問題である、という説明を受けました。

自分はこの言葉を聞いたときに、ハッとしました。そうか、こういう問題を解くのがコンサルタントなのか、ということです。ものすごく当たり前のことですよね。ただ、その当時の自分にとって、ケース問題やフェルミ推定の対策はあくまでも手段であって、難関のコンサルに合格することが目的でした。しかし、コンサルタントという職業は、難関のコンサルに合格することは手段(過程の1つ)であって、その先の業務でビジネスに内在するあらゆる問題を解くことが目的である、ということに気づきました。
つまり、ケース問題やフェルミ推定をおもんないなあと思いながらも手段として仕方なく対策していた自分とは、そもそも考え方が違っていたのです。彼らは問題を解くことが面白いからコンサルをやっているのです。本質的に自分とは価値観の違う人たちの集まりなのです。

そのことに気づいてからは早かったです。エントリーしていたコンサルを全て辞退しました。ちなみにその最終面接は普通に落ちました。受かっていても入社は100%ないなと思っていたので、そこまでショックはなく、むしろこんな薄っぺらい自分に時間を割いていただいて、そして大きな気づきを与えてくれた会社さんにはとても感謝しています。

しかし、なぜここまで自分に合っていないコンサルに縋ってしまっていたのか。これが実は「就活ってなんだろう?」を考える上でのヒントとなったのですが、今はこの辺でとどめておきます。

外資メーカー就活

コンサルは違う、ということに気づいてから、じゃあ自分はどこだろう、と考え直しました。そこで出てきたのがP&Gやユニリーバ、日本ロレアルといった"外資メーカーのMKT職"です。理由は単純明快です。難関だからです。東京大学に所属しているからには、就活生としても"エリート"でなくてはならない、そう思っていました。だから、"トップ就活生"が羨み目指すような"トップ企業"は当然受けるべきだし、そんな企業に入ることこそが"就活の正解"だと本気で信じていました。そんなモチベーションで、7月は外資メーカーの選考をメインに、その他難関サマーインターンの選考を並行して受けていきました。しかし、P&GのMKT職は割とあっさり落ちました。ユニリーバのMKT職に至っては録画面接で落ちました。

その当時はかなりショックでしたが、これも今考えてみたら当たり前です。勝負している相手のレベルが違うんです。このような"トップ企業"を目指す"トップ就活生"は皆、誰もが羨むようなガクチカを持ち、それを流暢にロジカルに伝え、どんな深堀質問にも完璧に対応し、そして企業の人が唸るような逆質問を引っ提げて面接に臨んでくるのです。こんな人たちの集まりの中で、果てしない倍率の戦いの勝者のみが、"トップ企業"という名声を手にすることができるのです。"トップ就活生"との競争に惨敗し、就活という世界で戦う自分に徐々に劣等感を抱くようになりました。

サマーインターン

そんなこんなしているうちに、大学の春学期が終わり、サマーインターンの選考も落ち着きました。最終的なサマーの戦績としては、40社以上エントリーして、インターンらしいインターン(2Days以上のもの)は4つしか決まりませんでした。

自分は、就活の世界で"エリート"であるためには、少しでも難関のインターンに、1つでも多く受からなければならないと思っていました。そして、それこそがすべての就活生が目指すべき理想の姿であると思っていました。
実際に、先輩や周りの"トップ就活生"の中には10個以上の難関インターンに合格している人もいました。そんな彼らと比較して、なんとなく自分は就活がうまくいっていないな、という自覚が芽生え始めました。

インターンでは、その企業の業務体験、というよりは、新規事業の立案といった、割と自由度の高いワークに取り組みました。全てオンラインではあったものの、優秀な仲間と議論することはとても楽しかったし、コンサル就活中に身につけた付け焼き刃のロジカルシンキングも多少生かせました。
4社参加して、その全ての最終発表で優勝する、というチームメンバーに感謝しかない、とても貴重な経験をさせてもらいました。インターン先の企業に興味を持つということは全くなかったものの、インターンそのものは新鮮でとても楽しい経験でした。

ここまでが、いわゆるサマー期のお話です。サマーインターンも夏休みも本当にあっという間に終わりました。
そして、ついに本選考に突入していきます。

さあ本選考

10月に入り、いよいよ本選考がスタートする時期になってきました。
しかし、自分はこの時点で優遇パスはもちろん、本命企業すらも見つかっていない状態でした。自分は、何も進んでいないような気がしました。確かに、4月の頃よりは誇れるESを書けていたし、Webテにもだいぶ自信を持てていたし、GDではメンバーを引っ張る役回りもできるようになっていました。しかし、根本的に自分と向き合うということをしてきませんでした。だから、自分が何をやりたいのか、どんな企業に入社したいのか、なりたい将来像、何1つ答えることができませんでした。この状況はまずいと思い、今までの"トップ就活生"の就活から、本気で自分と向き合う就活に大きく舵をきりました

ESやWebテ、GD対策といった選考に合格するための対策は一旦お休みしました。その代わりに、自分が今まで出会った企業に対する印象を整理し、それらと自分の価値観を1つ1つ丁寧に照らし合わせていきました。また、自分が生まれてから現在に至るまでの体験やそこから生まれた自分の価値観を見つめ、じっくりと言語化していきました。そして、将来こうなりたい、という理想の自分を掲げ、そのために社会人としてどうありたいかを深く、深く考えました。こういった自分の内面を本気で見つめ直すようなことは、ESやWebテなどいわゆる選考対策に追われていた春夏は全くしていませんでした。このような自分自身と向き合う時間を2ヶ月以上、ほぼ毎日作っていました。

すると、少しずつ自分が見えてきました。面接官にアピールするため、選考に受かるためではない、本当の自分の価値観や強みがわかってきました。同時に、どんな社会人になりたいのか、そのためにどんな企業に入りたいのかを段々と明確にすることができました。この時間は、就活においてはもちろん、自分の人生全体を見渡しても本当に有意義だったなと思います。

ベンチャー企業との出会い

このように自分と本気で向き合い、段々と本当の自分を理解することができるようになってきた頃、とあるベンチャー企業と出会いました。自分の素直な価値観を受け入れてくれる、そして自分もこの企業の価値観を信じ抜くことができる、そう確信しました。ありがたいことに、本選考エントリー1社目の企業にしてお声をかけていただきました。その後は、この企業より本気でいいなと思う企業だけを受けようと、一応アンテナは貼っていたものの、なかなかご縁がなかったため、この企業にジョインすることを決断しました。自分は本当に恵まれているなと感じつつ、本気で行きたいと思える企業の内定承諾をし、就活を終えることになりました。ちょうど12月の終わり頃のことでした。

以上が、一部にはなりますが、自分が約8ヶ月間続けてきた就活の体験記になります。

話が急だな、サマーまで苦戦してたのに急に本命企業がひょっこり現れてあっさり内内定もらってるじゃないか、とツッコまれそうです。実際、半分はその通りだと思います。自分にぴったりの企業に、こんなにも早いタイミングで出会うことができて、本当に運が良かったなと思います。もう半分はそんなことないぞ、と言わせていただきたいです。自分がこの企業に入る決断ができたのは、5ヶ月近くの就活挫折期間と3ヶ月以上の自己分析の賜物であり、このどちらがなくても今の自分は存在しないと思います。サマー期のように、ネームバリューに固執し、受かるための選考対策に明け暮れ、人気企業を片っ端からエントリーしていく。そんな日々を過ごしていたら、自分の最終的な決断に対する確固たる自信は持てていないんじゃないかなと思います。
なので、確かに表面的には「とんとん拍子で内内定をGETした就活生」とみえるかもしれませんが、本当の意味で覚悟を持って内定承諾をするまでには意外と時間がかかっています。

「就活ってなんだろう?」

ここまで自分の就活体験を書いてきました。いよいよ、「就活ってなんだろう?」という問いに答えてみようと思います。
就活で学んだ結論ファーストで書くと

『就活とは、自分と向き合うことである』

と言うのが今のところの自分の結論です。
社会人として、もっと言えば未来の自分がどうありたいかを模索する期間を自分は就活と定義します。何をありふれたことを、と思われるかもしれません。しかし、実際に就職活動をしてみて、今の就活界隈にはこの本質を見失わせるような要因が溢れているように感じました。
難関企業のネームバリュー、人気企業ランキング、難関企業に受かることが正解かのように煽る就活サイトや就活コミュニティ、大手信奉の親、友人や他の就活生の目、自分自身のプライド、年収などなどです。
これらに惑わされると、過去の自分のように就活そのものを誤解してしまうこともあります。
一際目につくようなESを書くこと。誰もが羨むようなガクチカを流暢に話すこと。GDで上手に立ち回って面接官にアピールすること。難解なケース問題に明快な解を出すこと。面接官に何を聞かれても彼らが求めている答えをロジカルに話すこと。そして、難関企業、人気企業から1つでも多くの内内定を勝ち取ること。

これらが就活生がやるべき本当の就活なのでしょうか?
就活の本質と言えるのでしょうか?

確かに、選考対策は就活を円滑に進めるのに必要だし、難関企業、人気企業に合格することは本当に素晴らしいことだと思います。ただ、過去の自分も含めて、これらが就活の全てである、就活の正解である、と誤解している"トップ就活生"があまりにも多いような気がしています。自分はこの文章の冒頭からずっと"トップ就活生"というワードに""をつけてきました。これは"トップ就活生"という単語を、いわゆる就活界隈の中で特に優秀な人(市場価値が高い社会人になりそうな人)という意味ではなく、過去の自分も含め、就活の本質を見失いがちな人、という意味で用いていたためです。

自分もMBBのうちの1社に入社すればなんかかっこいいし、周りにも自慢できるし、それこそが"就活の正解"だろうと思っていました(コンサルを批判するつもりはありません、コンサルはとても素晴らしいお仕事だと今でも感じています)。
そして、難関サマーインターンの切符を1つでも多く獲得し、本選考においては難関企業、人気企業からの内内定を1つでも多く勝ち取ることが"就活の正解"である、と本気で思っていました。

そんなわけがありません。
就活の本質は、対策ゲームでも他人との競争でもありません。

就活を振り返ってみて、改めて大事だと感じたのは、自分という存在と本気で向き合った上で得られた納得感と覚悟です。自分は、自分の芯と本気で向き合った上で出した結論だからこそ、この決断に対する誇り、そして、この企業で社会人として本気でやり抜く覚悟ができました。
また、"就活の正解"なんてものは存在しない、ということも強く感じました。どんなキャリアであろうと、周りから何を言われようと、自分と向き合い、悩み、苦しみ、考え抜いて選択したものは素晴らしいものになると思います。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
もし、あなたが就活生であるなら、この文章が何かしらの形で就職活動の糧となること、そしてあなたの就職活動が本当の意味で成功することを心よりお祈りしています。

この記事が参加している募集

就活体験記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?