「百人秀歌」表裏番版

2438.百人秀歌の心、『百人秀歌』一覧(歌順優先表裏番い版)
なお、◯番=百人秀歌番号; ○)=蓮生番号;#○=百人一首の番号。

「百人秀歌」も表裏番いを活用、「為家以下一門子弟への遺言」ともいうべき一つの別世界を披露したと想像します。(暫定)

【最初7組14首は、豊かで伸びやかな自然と農漁民旅人禊する人々への賛歌、でしょう。】
1番1)#1:秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露に濡れつつ ・・・・・天智天皇
93番100)#87:村雨の 露もまだひぬ 真木の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ ・・・・・・・ 寂蓮法師

2番2)#2:春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山 ・・・・・・・・持統天皇
99番99)#98:風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける ・・・・・・・従二位家隆
以上2組4首は、雅経に代えて寂蓮にしたことで、政治性は薄れ自然な季節歌、になりました。それでも、天智天皇の衣の露(恩寵の象徴でもある)が、乾かぬうちに、霧が立ち上って夕暮になった、というわけですから、天皇制の夕暮を仄めかしているとも読めましょう。天智持統の冒頭の組合せはやはりインパクト大、です。天智持統で始まった政治の天皇藤原体制は終わり、歌や文化や宗教の天皇藤原の京都になっていく、との含意は、蓮生宛百首と同様です。為家ら歌門子孫に伝える遺言としても穏当です。

3番3)#3:足引きの 山鳥の尾の しだり尾の 長長し夜を ひとりかも寝む ・・・・・・ 柿本人麻呂
95番98)#91:きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む ・・・・・ 後京極摂政前太政大臣(良経)
以上、1組2首、男の旅の一人寝、人生孤独の象徴。繰り返しません。

4番4)#4:田子の浦に 打ち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ ・・・・ 山部赤人
98番97)#93:世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも ・・・・・・・・ 鎌倉右大臣(実朝)

以上、1組2首、遠い富士の絶景と近くの日々の暮らしの人々。いつもありそうで案外得難いもの。

5番6)#6:かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きをみれば 夜ぞ更けにける ・・・・・ 中納言家持
76番無)秀*:山桜 咲き初めしより ひさかたの 雲居に見ゆる 滝の白糸  ・・・・・・・ 百人秀歌 76 源 俊頼
以上、1組2首、夜空や遠景の壮大さ、星々や山桜の白糸のような鮮やかさ

6番7)#7:天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも ・・・・・・ 安倍仲麿
88番94)#86:嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな ・・・・・・・・ 西行法師

7番12)#11:わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟 ・・・・ 参議篁
79番89)#76:わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波 ・・・・・・法性寺入道前関白太政大臣(忠通)
以上、2組4首は、蓮生宛とは違って来て、大陸中国大空大海、月に雲に白波の遠景、という壮大な美の世界です。後鳥羽の嘆きや還御の話は雲散霧消し始めます。

【以下、9組18首は、やはり人生論価値論、でしょう。】
8番5)#5:奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき ・・・・・・ ・ 猿丸大夫
87番#83:世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる ・・・・・・・・ 皇太后宮大夫俊成
以上、1組2首は、蓮生宛同様、和歌の道を追うこと究めることの難しさ、と読みます。

9番13)#16:立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む ・・・・ 中納言行平
82番88)#75:契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり ・・・・・・ 藤原基俊

人生は旅、期待することもいい、しかし時はすぐに流れて行ってしまう、でしょう。
10番14)#17:千早ぶる 神代も聞かず 竜田川 唐紅に 水くくるとは ・・・・・・・・ 在原業平
91番87)#92:わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし ・・・・ 二条院讃岐
しかも今や武士が支配する末世、騒乱は続き悲しみばかり多い。
11番15)#18:住の江の 岸による波 夜さへや 夢の通ひ路 人目避(よ)くらむ ・・・・ 藤原敏行
69番86)#67:春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ ・・・・・周防内侍
夜にも人目を避け、仇なる誘惑も多い、注意深く生きよ。
12番16)#13:筑波嶺の 峰より落つる 男女(みなの)川 恋ぞ積もりて 淵となりぬる ・・ 陽成院
77番85)#77:瀬を早み 岩にせかるる 滝川の 割れても末に 逢はむとぞ思ふ ・・・・・・崇徳院
それでも愛が成就するように望みは叶えられるもの
13番9)#9:花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに ・ 小野小町
101番92)#96:花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり ・・・・・ 入道前太政大臣(公経)
だが、女の美貌や男の権力などというものは時には勝てず所詮虚しい。
14番8)#8:わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり ・・・・ 喜撰法師
84番93)#84:長らへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき ・・・・ 藤原清輔
生きることは憂いというが、長く生きれば愛しいとも思うようになれるもの
15番11)#12:天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ ・・・・・ 僧正遍照
86番90)#81:ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる ・・・・・・後徳大寺左大臣(実定)

16番10)#10:これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関 ・・・・ 蝉丸
86番91)#95:おほけなく うき世の民に 覆ふかな わが立つ杣に 墨染の袖 ・・・・・・・前大僧正慈円
以上、2組4首は、瞬間美芸術か、旅人人々の宗教的救済か、の対比。人の道として美の追求か宗教的追究か、でしょうか。

【以下は、様々な愛の賛歌、でしょう。人生論の結論といわんばかりの位置で語りますから、定家はやはり恋愛和歌至上主義、です。】

7番17)#14:陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに ・・・・河原左大臣(源融)
84番84)#90:見せばやな 雄島の海人(あま)の 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色は変らず ・・・殷富門院大輔

18番18)#15:君がため 春の野に出でて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ ・・・ 光孝天皇 

73番83)秀 :春日野の 下萌えわたる 草の上に つれなくみゆる 春の淡雪 ・・・・・百人秀歌73 源 国信

以上2組4首、東国でも京都でも(争いでなく)恋こそ人生の精華。

19番19)#19:難波潟 短き芦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや ・・・ 伊勢
49番82)#50:君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな ・・・・・・藤原義孝

20番20)#20:侘びぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ ・ 元良親王
89番81)#88:難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき ・・・皇嘉門院別当
自分を失わんばかり乱れる、あるいは、若菜摘むような恋、逢わずにはいられない、身を尽くしても逢う、様々な恋の態様です。

21番32)#28:山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も 枯れぬと思へば ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 源宗于
51番69)#52:明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな ・・・・・・・・・・・・・・ 藤原道信
22番21)#21:今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな ・・・・・・・・・・・・・・・・ 素性法師
63番80)#59:安らはで 寝なましものを さ夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな ・・・・・・・・・・・・・・・ 赤染衛門 

24番23)#30:有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 壬生忠岑
78番78)#80:長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は 物をこそ思へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 待賢門院堀河
以上、3組6首、後朝あるいは待ちぼうけの朝。

23番24)#24:このたびは 幣(ぬさ)もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 菅家(道真)
66番77)#60:大江山 生野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 小式部内侍 

旅もいい。

25番29) #29 :心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置き惑はせる 白菊の花 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 凡河内躬恒
80番72) #79 :秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ ・・・・・・・・・・・・・・・ 左京大夫顕輔

26番35) #33 :ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 紀友則
72番66)#73:高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 権中納言匡房 

27番31) #22 :吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 文屋康秀 
97番70) #94 :み吉野の 山の秋風 さ夜更けて ふるさと寒く 衣打つなり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参議雅経

28番34) #35 :人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 紀貫之
65番67)#61:いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 伊勢大輔

71番64)#66:もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 前大僧正行尊

29番33)#31:朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 坂上是則
67番68) #64 :朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木 ・・・・・・・・・・・・・・・ 権中納言定頼
30番28) #23 :月見れば 千々(ちぢ)にものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど ・・・・・・・・・・・・ 大江千里
58番73) #70 :さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 良暹法師

【この前後は、単純な季節歌や恋歌ではなく、自然と恋の融合の世界を様々に】

31番37)#34:誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 藤原興風

 100番欠)#97 来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 権中納言定家

待つ人の気高さ

32番26) #32 :山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 春道列樹
57番75) #69 :嵐吹く み室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 能因法師
33番36) #36 :夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 清原深養父
64番65)#57:巡りあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 紫式部
34番25) #26 :小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの 御幸(みゆき)待たなむ ・・・・・・・・・・・・・・・ 貞信公(忠平)
62番76) #58 :有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大弐三位

35番45)#25:名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな ・・・・・・・・・・・・・・・ 三条右大臣(定方)
60番56)#62:夜をこめて 鳥の空音(そらね)は 謀るとも よに逢坂の 関は許さじ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 清少納言
36番40) #27 :みかの原 湧きて流るる 泉川 いつ見きとてか 恋しかるらむ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 中納言兼輔
37番41) #39 :浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど 余りてなどか 人の恋しき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参議等
38番30) #37 :白露に 風の吹きしく 秋の野は 貫き止めぬ 玉ぞ散りける ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 文屋朝康
92番71) #89 :玉の緒よ 絶えなば絶えね 長らへば 忍ぶることの 弱りもぞする ・・・・・・・・・・・・・・・・ 式子内親王
39番44)#38:忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 右近
74番57)#72:音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の 濡れもこそすれ ・・・・・・・・・・・・・・ 祐子内親王家紀伊 

そして、寄せては返す波のように再び恋歌、最後は人の孤独と自然の慰めなど。
40番46)#43:逢ひ見ての 後の心に 比ぶれば 昔は物を 思はざりけり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 権中納言敦忠
44番47)#44:逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし ・・・・・・・・・・・・・・ 中納言朝忠
41番42) #40 :41しのぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 平兼盛
42番43)#41:42恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか ・・・・・・・・・・・・・・・・ 壬生忠見 


43番38) #45 :あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな ・・・・・・・・・・・・・・・・ 謙徳公(伊尹)
59番63)#55:滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ ・・・・・・・・・・・・・・・ 大納言公任

45番48)#42:契りきな かたみに袖を 絞りつつ 末の松山 波越さじとは  ・・・・・・・・・・・・・・・・ 清原元輔
46番53)#48:46風を傷み 岩打つ波の 己のみ 砕けて物を 思ふころかな ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 源重之 


47番39)#46:由良の門(と)を 渡る舟人 舵を絶え 行方も知らぬ 恋の道かな ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 曾禰好忠 

90番62)秀 :紀の国の 由良の岬に 拾ふてふ たまさかにだに 逢ひみてしがな ・・・・百人秀歌90 権中納言長方


48番49) #49 :御垣守(みかきもり) 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ 物をこそ思へ ・・・・・・・・・・・ 大中臣能宣
81番52)#78:淡路島 通ふ千鳥の 鳴く声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 源兼昌 

50番54)#51:50かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを ・・・・・・・・・・・・・・・ 藤原実方
68番55)#63:68今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな ・・・・・・・・・・・・・・ 左京大夫道雅

52番27) #47 :八重葎(むぐら)しげれる宿の 寂しきに 人こそ見えね 秋は来にけり ・・・・・・・・・・・・・・・ 恵慶法師
70番74) #71 :夕されば 門田の稲葉 おとづれて 芦のまろやに 秋風ぞ吹く ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大納言経信

53番50)秀 :53よもすがら 契りしことを 忘れずは 恋ん涙の色ぞゆかしき ・・・・・・・・百人秀歌53 一条院皇后宮
54番51)#68:54心にも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 三条院

55番58)#54:55忘れじの 行く末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 儀同三司母(貴子)
61番59) #56 :61あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな ・・・・・・・・・・・・・・・ 和泉式部 


56番22) #53 :嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る ・・・・・・・・・・・・ 右大将道綱母
85番79) #85 :夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり ・・・・・・・・・・・・・・・ 俊恵法師
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57ー74番 既
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75番60)#65:75恨み侘び 干さぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 相模
83番61)#82:83思ひ侘び さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 道因法師

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【*変更】#74:憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ 激しかれとは 祈らぬものを ・・・・・・・・・・・・・・・ 源俊頼

【百人一首 から除外の2人2首】
#99 人も惜し 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 後鳥羽院

#100 ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほ余りある 昔なりけり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 順徳院

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「蓮生宛百首」の表裏番いと比較すると、俊頼・雅経・寂蓮・式子内親王の4組はペアリングを変えたが、それ以外40数組はそのまま同じ。番いは定家自身もお気に入り、秀歌というにはウソ歌人やヘタ歌が多い「百人一首」の歌人と歌を(「3人4首」問題を例外に)ほぼそのまま使い回している。最後はうまくまとまらないが、表では100番定家、101番公経と、一門大物二人を並べて重しとしたこと既述どおりです。


(つづく)

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