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【ウィキペディア】2023/10/28 「ウィキペディアタウン」ってなんだろう? @北九州学術研究都市学術情報センター

オンラインによる講義は苦手だ。
現場で参加者の表情や反応を見ながら、この部分はもっと説明をしなくてはいけないとか、もう少し柔らかくしたほうがいいというような微調整ができるのとできないのとでは、大きく違う。

内容

時間と人数と環境

  • 13:30-16:00(編集に携わった人数 17名 )

  • 北九州学術研究都市学術情報センター 講義室1

  • インターネット環境あり

事前打ち合わせ

  • 公演+ワークショップ

  • 11/25に予定されている北九州でのウィキペディアタウンにつながるような講義とワークショップ

  • 講師(海獺)は自宅からオンライン。現地にファシリテータ3人(K氏、H氏、G氏)

  • 主催:(公財)北九州産業学術推進機構

  • 共催:丸善雄松堂株式会社

フライヤー

ワークショップ内容

下書きによる出典付け練習と、既存のウィキペディアの記事の中で出典がついていない個所を任意で選び、図書館から出典になる文献を、参加者が自ら探す方式

目的

  • 北九州市で今後広範囲にわたってウィキペディアタウンを開催するため

  • それにともないウィキペディアタウンの意義を伝える

講義

情報リテラシーの話を最初に少し時間をとって行った。
情報を受け取るときに注意しなければいけないポイントとして、方向/表現と誘導/数字 の3つの要素から解説。
情報を発信する際の注意として、メディアが考える基準が時代とマッチしていない事例を紹介。
こうした考え方や訓練を意識的に継続す露ことは難しいが、ウィキペディアをツールとして考えたとき、その仕組みや編集を通して見についてくるものがある。
と、展開した。

いつも通っている道に建っていた建物が、突然更地になっていた。
そんな時ここに何があったのかすぐに思い出せないことがある。
人の記憶は当てにならないし、見ているようで見ていない。

ネットの時代になり、知らない場所に行くときには、事前に検索してその時に関する予備知識を入れておくことが多くなった。
美味しいものはない? 名所はどこ? ついでに行ける面白いところは?

検索にひっからないものは、重要ではない、有名ではない、価値がない、そんな風に思われてしまう時代でもある。

ウィキペディアに地元の市民が地元の情報を記していくことで、地元をアピールできるし、地元のことをより深く知る機会にもなる。

事例として「凌雲閣」の2018年のニュースを提示し、記録しておかないとわからなくなってしまう事象について説明。

ウィキペディアの基礎情報

データ的な紹介。記事数、アクセス数、運営形態、規模、特徴など。
金額的なスケールとして、北九州市に本社を置く企業「タカギ」の売上高との比較を行った。

2023年9月のアクセスデータ。どんな情報を求めてウィキペディアにアクセスする人が多いのか。

ウィキペディアの信頼性。
基本的な編集方針。
出典事例。(北九州市の記事)

出典として適している資料と、そうでない資料の形態

上記を踏まえて、谷中生姜府中御用瓜の記事を参照
記事の体裁を見てもらったうえで、北九州市の地場野菜でウィキペディアに記事がない「大葉しゅんぎく」の記事を書くとしたらどのように資料を探せばよいかの例を挙げ、有料データベースや図書館司書によるレファレンスについて言及した。

様々な観点やツールからできるだけ多く資料を探すことで、百科事典として、テーマへの視点が多角的になり、情報を採用するときの精査の能力が上がることを伝えた。

例として「プッチンプリン」の記事には、容器のリサイクルや医療現場での使われかたについての記述があることを挙げ、一面的な情報源だけではカバーできない情報をウィキペディアでならば発信してくことが可能であると述べた。

ウィキペディアタウンに関する説明

昨年の熊本でのウィキペディアタウンは妖怪がテーマだったことを挙げ、情報源に対して「正しい情報であるかどうか」のモノサシはそれほど気にしなくてよく、「なぜ自分は誰かのために伝える情報として、その資料を採用したのか」を意識して出典を考えることが重要であると伝えた。

そのうえで、ウィキペディアタウンの形態はさまざまで、テーマや環境に合わせて自由にデザインできること、これまでやられてきた主な形態や実績について紹介。

必要な機材に特別なものはいらないことも強調。

今日は出典付けという編集の基本のワークショップだが、来月はウィキペディアにない対象を新規の記事として書く、と前置きし、イメージがわかないかもしれないが、9月の佐倉市の市民カレッジでは平均年齢70歳を超える受講者が新規記事を2つ作り、それらは検索すればグーグルでも上位に表示され、決して多くはないものの、記事へのアクセスが数字で表れており、誰かの役に立っていることがわかる、と説明。

ウィキペディアタウンを行うことによるメリット

講義はいったんここで終了とし、休憩を挟んでワークショップに。

ワークショップ

下書きページを使った、出典付け練習を各自行った後、できた人から自由課題で既存の記事に出典を付けるワークショップに移る。
時間は一時間とし、実質50分ほどで締めて、成果を紹介しまとめを行う。

ウィキペディアタウンでの地元のアピールの要素を考えたとき、上記スライドのような考え方が必要になってくる。
一時、力を入れても継承されなければそこで終わってしまう。
それはお金やマンパワーをかけることではなく、存在を地元が継承するにあたって、地元民にキチンと情報や知識として浸透させる基礎作りも必要であるということ。

ワークショップ後、グローバルなウィキペディアの意義について説明し、閉会。ワークショップでの課題が間に合わなかった参加者の中には少し残って完成させる方もいた。

ファシリテーター3氏の活躍により、現場での流れもスムーズに行うことができた。あらためて感謝したい。
他方、冒頭に書いたように、会場の音声はほとんど聞こえない中の説明は、「ちゃんと伝わっているだろうか」という気持ちと背中合わせのまま進んだ感が否めない。

反省点

アカウント、記事の編集履歴、個人の編集履歴、編集の種類、などに関する説明をもう少し詳しくするほうが良かった。
参加者のアカウントを少なくともイベントの間は把握しておく必要があるが、特定のページに署名をしてもらう方式をとったほうが良かったかもしれない(手書きだと表記の違いでアカウントが特定できない場合がある)。
ほとんどの参加者が既存記事に出典を付けることができたものの、限られた時間の中では、今回の場合、情報リテラシーに関する説明を少し削り、編集に関することの説明を丁寧にするべきだったように思う。

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