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#148 質疑応答が研修や会議の学習を高める 24/4/22

みなさん、こんにちは。
今日は、質疑応答の時間が学びにどう生きるか、考えます。

先日、今年の新入社員向けに人事制度のインストール研修を行なった際に感じたがきっかけです。そして、その気づきは、先日のエントリーにある正統的周辺参加の効果にも通ずる、と敷衍しました。

さて、人事制度の研修講義は、反転学習形式を採用しています。もうかれこれ10年以上経ちます。これは、わたし自身が、何もわからない新卒に「人事制度とは?」と講釈を垂れても、右耳から左耳に抜けていくだろうな、と問題意識を持ち、この講義を反転学習に変えました。

新卒入社時研修は、一方通行に教える講義が多い企業が大半ではないでしょうか。それはしようがない側面は多分にわかってはいますが、それでもなんとかしたいな、と思ったことが変える発端でした。

10年前当時、わたしは研修担当ではありませんでした。右から左に抜ける問題意識はこの研修科目以外もほとんどの場合同じでした。が、人事の違う部署だったこともあり、自分がコントロールできる人事制度の講義にまず着手しました。

前置きが長くなりました。

まず入社早々、事前に人事制度テキストを読み込んできてもらいます。そして、新入社員各位が疑問に思ったことを講義時間の99%を使って、質疑応答で、即興で回答、解説の絵解きをします。

わたしの場合、その回答も教科書的ではなく、生々しい話をできるだけ交えて、リアリティをもって答えます。過去には、わたし自身の等級を質問した新入社員がいました。答えました。答えたことに、質問者本人は驚いたようです。こんな具合でリアリティを追求しているのも特徴です。

ほかにも、以下のような生々しい質問をもらい、意図どおり興味をもってもらうことにつながっているように見受けられます。

どの等級あたりで頭打ちになることが実態なのか、
30歳ではどのくらいの等級や年収に位置づけられるのが平均的か、
このコースは、等級がある程度のところで制限がかかっているのはなぜか、降格や減給評価はどの程度発生するのか、

これらの生々しい質問に対してリアルに回答します。「答えられません」は、10年以上実施していて1問もありません。

そして、その回答が淀みなく進行するため、ジャズの即興をライブで見ているようだ、と表現してくれた人もいます。

このような講義、というか単なる質疑応答のみですから、新入社員のみなさんからすると、時間中に飽きることはありません。コロナ禍のオンライン講義でも、チャットに質問があふれて時間切れになるほどの食いつきです。

ですから、一方通行に教えられるよりも、自分自身から興味を持って聞くようになります。すると、もちろん学習効果も高いわけです。

ポイントは、
反転学習で制度テキストを事前に読み、質問を最低1つ考えてくること。
回答が生々しい事実である(と感じられる)こと。
質疑応答のリズムにテンポの良さがあること、
の3つです。

そして、もう1つ学習効果を高めるポイントが最後の要素です。
それは、前段に紹介したエントリーにもある、正統的周辺参加の効果だと考えます。

100人を超える新入社員が聞いています。質問は、チャット投稿欄に可視化されます。質疑応答は、質問者と回答者のわたしが1対1のやりとりです。ですが、参加している100人超の従業員が、そのやりとりを同期して聞いています。100%ではないにせよ、かなり大半の従業員が、同じ体温で聞いてくれているため、その質疑応答を見聞きしているだけでも、同期の効果=正統的周辺参加の効果を享受していると考えます。

これが、質疑応答がなぜ学習効果が高いのか、とりわけ同期コミュニケーションに向くのか、と考えた結論です。

さて、みなさんは、学習効果を上げる工夫をどのようにされていますか。
それでは、また。

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