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#142 「決める」ために必要な条件を明らかにする 24/4/16

みなさん、こんにちは。
今日は、決める、意思決定するについて考えてみます。

リーダーシップとは決めること、ともよく言われます。とくに、リーダーシップを発揮する機会の多いミドルマネージャー以上の役職に就く人には欠かせない行動です。

しかし、決める、は誰もができるかといえば、なかなかに苦悩するところではないでしょうか。

まず、なぜ「決める」ことがリーダーシップなのか、を考えます。

それは、不確実かつ正解がないから「決める」が求められる、がわたしの結論です。

確からしい答えがわかっていれば、決める必然性はありません。誰がみても確からしい正解が見える問いや問題解決なら、リーダーシップを発揮して決めなくても、多くの人が答えがわかるからです。

正解がないから、決めたことを正解にしていきます。そのためには「決める」、なんだかトートロジーですが、そうだと考えます。あるいは「決めた」けれども、どうやら方向性や解決策がちょっと違っていそうだ、と早く気づいて修正するために「決める」、そう考えます。

今のところ、わたしは、これ以上の適切な理由を見出すことはできませんが、これがそれこそ確からしい正解と、自分の中では決めています。

では、次に、なぜ「決める」は難しいのか、考えてみます。

その1つは、決めるとコンフリクトが起こるからです。
どういうことかというと、その意見や立場の対立に向き合うことを避けたい人がそれなりに多く存在します。こっちだ、あっちだと方向を決めると、全員が賛同することはほとんどのことにおいてはありません。ですから、必ず反対する人、何も言わずサイレントに反対する人が現れます。

2つめは、間違っているかもしれないからです。
場合によっては責められる、結果、評価が気になることが顕在化していたり、潜在意識が働くからです。

多かれ少なかれ、人はおよそ誰でも、他人の評判、評価を気にすることは避けられないと考えています。わりと人の評価を気にしない人はいますが、それでも誰か特定の人からの評価は気にかける質だと考えます。

先日、ある事業部門の退職リスクが顕在化した従業員の引き留め策を協議する場に、人事担当として同席しました。

そこでは担当の部長が、
「引き留め案は2つあり、それを本人に提案したうえで、選んでもらおうと考えています。なぜなら、2案は、それぞれ彼女のキャリア志向に合うものですが、割と右と左に振れるくらい異なる選択になるからです」
と部門長に相談を兼ねた報告をされていました。

それに対して、わたしは「選んでもらう」ややもすれば迎合したスタンスに少し違和感を覚えたため、意見をしました。

「このフェーズでは、選んでもらうのではなく、課長や部長のマネージメントする側から、「これを任せたい。なぜなら~」と決めて、提示することがキモではないでしょうか。その提案する内容と、彼女のキャリア志向を上手に結び付けて動機づけることに神経を集中することが良いと考えますが、どうですか」と意見を投げかけました。

すると、その部長は、「案1のほうが良いと考えています。ですが、その場合、案1のサービスをわたしたちの事業部門として、どのようなサービス戦略を描くか、決めていないから、案1のみを推すことをためらっています。サービスをどう位置付けましょう?」

その問いに事業部門長も逡巡していました。そして、
「その点は今決められないですが、そのことも含めて、本人、あなた(部長)、あなたの部の課長、わたし(事業部門長)の4名で面談をしましょう」

このような会話のやり取りで、結局キモになるところは決められませんでした。決めたことと言えば、4人で会話することです。それでは、このケースの本旨である引き留め提案策の決定、には至らないことは明白でした。

決められない理由は、この会話のとおり、典型的に正解がないから決められない、と考えます。

さて、みなさんは「決める」ことは、どのくらい熟れていらっしゃいますか。
それでは、また。


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