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#223 「分かった」は、わかってない領域を自覚すること 24/7/31

みなさん、こんにちは。
今日は、共通の理解をする、を考えます。

(実例を基に編集しています)
先日、事業責任者Aさんとの定期打ち合わせの場におけるできごとです。1on1の活動を現場に促進・浸透していくにあたり、どのように現場の従業員に理解を深めてもらうか、そのために事業責任者やその部門の企画担当Bさんと対話を重ねていました。

以前のエントリー記事のように、学習する・学んだ状態とは、平面的なスキルの話ではなく、自分が無意識に使っている規範や価値観などをアップデートすること、と定義しました。

この概念的な理解について、その事業責任者Aさんと企画担当Bさんから改めて質問を受けました。

事業責任者Aさん
「これまでも自分の事業部では、メンバーの育成やエンゲージメントを向上するために1on1を実施してきた。人事部門が言っていることとは違わないと思っているが、理解に齟齬があるか」

わたし
「そうですね。『1on1の力点を人材育成とする』コンセプトは、それとは異なると解しています。いわゆるスキルや、イマココの業務やそのトラブルシューティングが話題の中心だからです。たとえばロジカルシンキングを上長が教える、顧客にどう提案するかを指示するなどの話です」

事業責任者Aさん
「スキル、大事なんですけどね」

わたし
「もちろんです。時節の顧客ニーズや市場のトレンドに乗って、旬なスキルを獲得することはビジネスを回すためにも必然と考えます。一方、目先の顧客ニーズや課題に慣性が働きます。ですから、その力学に自覚的であることが1つです。それから、旬なスキルを獲得して、その人のキャリア成長と捉えたときに、そのスキルを習得したこと以上にどんな意味があるか、でしょうか」

事業責任者Aさん
「そういわれると確かに。常に短期的にトレンドやニーズを押さえて、そこで求められるスキルを習得する積み重ねになっていますね。そうなると、どう考えるのが良いのだろう」

わたし
「このたとえを考えてみるのはどうでしょうか。たとえば、ポルシェに軽自動車のエンジンを載せていても、ポルシェのパフォーマンスは出ないですよね?あるいは、ダイエットの手段はいろいろ生まれたり、本人が試したとしても、なかなか体系を維持できない人が多いのはなぜでしょうね?」

事業責任者Aさん
「うーん、なるほど。ちょっと分かってきたかも。たしかに旬なスキルをたくさん習得しても、それがどのお客さんやどの現場にでも一様に適用はできないですからね。そのお客さんの現場のカルチャーややり方に合わせて、こちらの考え方ややり方を適用させていかないと、上手くいきませんね」

わたし
「そうですね。どこでも『はい、これが解決策のやり方です』と提示しても上手くはいかないですね」

事業責任者Aさん
「その上手くいかなかった経験から、スキルだけを習得してもダメなんだ。自分の考え方や行動の仕方を変えていかないと、そのお客さんごとの問題解決ができないですね。そういうことに気づくことが必要ですね」

わたし
「そうですね、そういうことが根本的な学習になった、学べた、つまり成長した、でしょうか。それを今回、人材育成、成長支援と定義しています」

事業責任者Aさん
「なるほど。かなり理解が変わりました。Bさんはどうだろう?」

企画担当Bさん
「ちょっとまだストンと理解できていないです。ちょっと消化してみます」

このような対話を15分程度、行ないました。
で、これで少し前進してよかった、と感じました。

が、そう簡単に理解する、は成立せずに、また違う場で事業責任者Aさんの発言は右往左往されているようでした。Aさんの事業部門の会議で、部門長や部長に1on1の力点を人材育成にしていくことのAさんの進んだ理解をもとに共有をされていました。

ここで部門長たちから、「自分たちがこれまでやってきた育成と何が違うのか。同じではないか」と疑問が投げ変えられました。Aさんは残念ながら「そうかも」と部門長の言い分に寄り切られる場面も見えました。

このように「理解する」「分かった」は相当にやっかいな代物です。一見「わかった」となったと自己認識をしたとしても、違う場面でいざ問われると、まだまだ理解できていない点が浮かび上がってきます。

「理解する」には、わかっていないことはどこからか、はっきりと境界を捉えること、それからその議題について、易しい言葉で自分なりの言葉にできるか、がチェックしたい確認点です。

さて、みなさんは、理解する、わかる、をどのように捉えていらっしゃいますか。
それではまた。

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