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#82 資料は一般論の整理ではなく課題の論点整理してこそ価値 24/2/16

みなさん、こんにちは。
ビジネスパーソンの紙芝居屋さんについて考えます。
ピンときた方は、似たような問題意識を持たれていると思います。

多くの人は、プロジェクトやタスクフォースなどの会議資料、営業提案や研修・セミナー用のプレゼンテーション資料をパワーポイント等で作成したことがあると思います。
その資料をみたときに、ときどきに覚える違和感を考察してみます。

まず違和感の正体は、これは教科書の丸写しですね、のときです。
たとえば、人事部門でいえば、人事制度を刷新しようとプロジェクトが組まれる際に、多くの企業人事はコンサルティング会社に依頼します。その際、コンサルからディスカッションペーパーとして資料が提示されます。
教科書ですよね、の典型的なのが等級制度あたりです。職能等級制度、職務等級制度、役割等級制度、この3つは基本パターンです。人事制度に関する書籍等であれば、触れられていないことはまずありません。そして、特徴や採用した際のメリット・デメリットといったお決まりの差異が比較できるようになっています。

等級制度を何にしますか?(簡略的に記述します)。
このテーマに対して、職能、職務、役割等級の3つを並べたパワポ資料が提示されます。その1枚資料は、The教科書情報のまま、整形されて提示されています。
人事部門で仕事経験のある人は、さすがにこの程度のことはわかっています。

今回の制度更新・改訂のねらいは、たとえば従業員の専門性確保、採用競争優位を作る、とします。
その狙っている効果やその実現性の観点から、論点や評価を整理し、ディスカッションペーパー上に記述していてほしいところです。これが人事部門側のわたしたいのホンネであり、それは生産的だから、ではないでしょうか。

この事象が起こる1つの理由は、コンサルティング会社側の事情です。
アソシエイトといわれる新人がペーパーワークの一部を担うからです。上記例の三制度の違いのように、一般論として調べればわかる情報は、アソシエイトの知識的お勉強のためにも資料作成を任せるからでしょう。

もう1つは、クライアント側の人事部門がどんな制度にするか、を考えていないからです。考えてないのは、経営戦略や人材課題を基点にした思想・哲学を持ち、その解決をイメージしていないからです。
ですから、教科書的な選択肢を並べて、その中からもっともらしい解を選択するのです。もちろん、等級制度の例でいえば、突き詰めれば大体3つ4つの基本形のいずれか、その組み合わせに収れんはします。

このように、書籍やウェブで拾える情報は、五万とあります。これまでに新しい発想の情報をつくることは、できませんし、必要ありません。

必要なのは、既存の材料と、自社やそのプロジェクト、その問題解決と接続することです。
その意味付けをしたうえで、メリット・デメリット、得られるものと失うもの、チャンスとリスクなどトレードオフを論点整理し、提示することです。

意外に一般情報を例示、提示しているケースは多いです。あるいは誰も反対はしないが何も言っていない、たとえば男女平等が、顧客志向が大事だ、など大上段の目的や指針だけを示す資料も多いです。

必要な資料は、あくまでも自分たちの問題解決に使うものです。勉強するためではありません。その問題解決をするために、意思決定を図る、決断をするため、です。

みなさんの会社の資料はどうでしょうか。
それでは、また。

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