#268 人材育成は発達課題を点と点を線で結ぶ 24/11/13
こんにちは。
今日は、人材育成、とりわけ個人に焦点を当てた成長支援を考えます。
一般的には人材開発と言われることです。
評価制度に、目標管理を導入している企業・人事部門は多いと思います。その期初の目標設定において、個々人が自分の成長目標的なことも設定したり、設定はしなくても業績・成果目標を達成するために自分自身がどのようなスキルや知識を習得する必要があるか、考える時間があります。外形的な理屈としては、言葉どおりです。
では、いざどうやってそれを解像度高く目標や課題にしていくのか、実装と活用に使える目標にしていくのか、実践するハードルは高いと感じる人も多いのではないか、と想像します。
1つのイメージの仕方、作り方はこうです。
まずここでは、非連続な成長を前提とします。その前に連続的、継続性のある成長とは何か、です。たとえば何かの処理を1時間に100できていたことを110できるようにする。これが連続的な成長です。改善や狭義の生産性を上げる成長です。これはちょっとした自分の暗黙知による効率性向上で図られます。もう少し改善の度合いを強めると、自動化技術を取り入れる、などです。これはいずれにしても、連続性のある成長、あるいはスキル向上の成長がスコープです。
では、非連続な成長を考えます。
わかりやすいシーンとして、異動をして所属部門とその職務内容が変わったとします。たとえば、人事管理・労務管理分野で経験を重ねた人が、採用部門に異動したとします。これまでの人事労務分野で培ってきた主たる強み≒専門性は、人事規程等の運用と改訂に伴う企画だったとします。
運用においては、各種の規定に伴う、従業員からの申請やその適用判断、決裁、以降の処理までの業務プロセスの運用と改善をしています。必然、業務フロー図や業務処理のマニュアル・手順書、オンラインシステムを用いたワークフローへの移行設計と実装などがあったとします。これらが強みであり、ここまで培ってきた専門性だとします。
異動先の採用部門では、人材紹介エージェントや採用メディアの営業担当、採用オーダー部門の決裁者や面接官との折衝・交渉など営業的なスキルセットが求められるとします。加えて、採用選考プロセスの工程管理が求められます。就職希望の学生や転職希望者との直接・間接のコミュニケーションも必要かもしれません。
すると、業務プロセス、工程をマネージメントすることは、異動前の人事労務管理の経験がある程度汎用的に使えそうです。一方、ステークホルダーへの各種営業的な折衝・交渉スキルは、これまで開発する専門性の優先度はあまり高くなかったとします。
単純化して、AsIsの専門性は人事労務の知見と業務プロセス構築・改善することと仮定します。一方、採用部門異動後に獲得してほしい専門性≒成長ポテンシャルは、ステークホルダー・マネージメントとそれに伴う営業スキルだとします。
この異動前の点(専門性)と異動後の点(獲得したい専門性)を線で結ぶことが成長支援、実際の育成に関する課題設定になります。たとえば応募者の工程管理に関しては、業務プロセスを可視化し、運用改善してきた経験が行きます。どこの工程で歩留まりが悪いのか、数値に基づいて可視化することがしやすくなります。その上で、工程間にどんな歩留まり改善の余地があって、と改善アクションを企画することができます。その可視化したり、企画した改善対策をベースに、ステークホルダーに対して提案したり、改善行動を求めたり、折衝スキルを磨くことができます。これが、点と点を結ぶ線のイメージです。
このようにして、現在の専門性と、次に獲得してほしい専門性、すなわち成長可能性の課題を明らかにします。そしてその両者を結ぶ線、たとえば仕事シーンと具体的なアクション、をイメージしてもらうことが点と点を線で結ぶことだと考えます。
ですから、人材育成は、現在の点と未来の点を設定し、それを獲得するためのアクションや期待を線で結ぶこと、と考えます。
それでは、また。