岡田奈々騒動を見てきて元アイドルオタクが思ったこと

年末に衝撃的なニュースが飛び込んできた。
AKB48の「あの」岡田奈々が結婚を前提として異性と交際しているというものであった。
正直黄金期の活躍からは程遠い現在のAKBにおいて、まさか一メンバーのスキャンダルがここまで大きなニュースになり、いろんな論争を巻き起こすとは思わなかった。

私とAKBの出会いは高校生の頃だった。
ヘビーローテーションがリリースされた後くらいのことである。
アニメが大好きでテレビはほとんど見ていなかった自分が、AKBの活躍を知っていつの間にかのめり込むようになっていった。
とは言っても、財力はない高校生なので、自分のできる範囲内の応援しかしてこなかった。
地元のグループであるSKEをメインに、AKBもそこそこ応援してきた。
当時の推しメンは松井珠理奈と秋元才加。SKEでは他にも何人ものメンバーを応援してきた。
当時からスキャンダルはつきもので、私の中で強く印象に残っている事件がある。
「米平騒動」と呼ばれるスキャンダルだ。ネットを通じて写真が流通した二人のメンバーが即日解雇されるという、怒涛の展開をリアルタイムで体験した。
それから指原の件があり、彼女を持ち上げる運営やファンに対してすごく不信感を抱くことになった。
そして段々と自分の中の熱は冷めていき、握手会へ行くことはなくなり、SKEの大きなコンサートにたまに参加するくらいにファン活動は落ち着いていった。
最後に参加したのは、ナゴヤドームで行われた最後の選抜総選挙であった。
推しメンであった松井珠理奈が1位になったものの、なんだか変なことになってしまって、ちょっともう推し続けることは難しいなと思ったような気がする。

それからのAKB界隈にもたくさんの出来事があり、断片的に情報を得ながら遠くから見守る感じで関わっていた。
紅白に落選してから久しいが、2021年の根も葉もRumorのファンの盛り上がり方に少し兆しを感じていた矢先の話であった。
岡田奈々のスキャンダルは大きな衝撃だった。
彼女のことは14期三銃士の一人(そして生き残り)
として認識していた。
私がファンを完全に卒業する頃には若いメンバーもどんどんスキャンダルで辞めていくなど、なんだか緩んだ空気が漂っている中、岡田奈々は硬派で絶対にそんなことはないだろうという安心感があった。
須藤凜々花のときのスピーチのことも覚えている。
ファンの中ではクソ真面目キャラとして通っていた。

そんな彼女の熱愛報道に対し、きっと現役のファンは計り知れないほどのショックを受けただろう。
彼女の言い訳がましい釈明には、私もドン引きしたし幻滅した。
一刻も早くグループを去って欲しいとさえ思った。
私にとってAKBは青春の1ページである。
オタクを辞めても、その事実は変わらないし、彼女のせいで思い出がこれ以上穢されるのも嫌だ。

私個人の感情はさておき、ネットでの反応も興味深く見ていた。
ファンならどんなときも応援してあげるべきだ、などという何も知らない第三者の意見には辟易する。
岡田奈々を推しているんじゃない。
「アイドルの」岡田奈々を推しているんだ。
そこにプロ意識を持っていたはずの岡田奈々のことを推していたんだ。
女の私にもその気持ちは多少なりとも理解できた。
女の子として大事な時期をアイドルの活動に捧げてくれる尊さに心を打たれるのは、男女問わず抱く感情ではないだろうか。
その裏切りに対するヘイトは至極当然のように思う。
もちろん色々な応援の仕方があるのもわかる。
その人の関わり方に口を出すべきではないのだ。
実際に多額のお金を注ぎ込んできたファンを裏切ったのは事実なのだから。

岡田奈々騒動の後、グッズを破壊した人のツイートがバズった。
そしてその人の心境が綴られた記事がしばらくして話題になった。

記事を読んで、少し感傷的になってしまった。
この人のように多額のお金を注ぎ込んだわけではない。
ただ、ファンとしてのマインドは多少なりとも通ずる部分がある。
応援しているメンバーが日の目を見るようにと、願いを込めて投票した総選挙のことなどを思い出した。
改めて、AKB48とはそういうアイドルだったのだと実感した。
ただ可愛い子が集まっているだけでは何もここまで社会現象を巻き起こさなかったはずだ。
ファンを巻き込んで活動するその活動形態こそが魅力であり、ブームを巻き起こしたのだ。

私自身、既にアイドルとは距離を置いているためこの騒動に対してこれ以上特に思うことはない。
岡田奈々を推していた人はもちろん、岡田奈々推しではなかったけれどグループのファンであった人たちには、ご愁傷様としか言いようがない。
これからアイドル商法はどのように変化していくのだろうか。
いつの時代であっても、アイドルはやはりキラキラした手の届かない存在であって欲しいと思うのは、ファンのエゴなのだろうか。

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