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90日間 ヨーロッパ放浪記 3 ~出発~

最初の国はどこが良いだろう。

ヨーロッパを一筆書きで旅するのに最適なスタート・ゴールはどこだろうか。日本とのアクセスの良さも大事だし、途中で同じ道を通ることも避けたい。僕の答えはこうだ。

端っこからはじめ、端っこで終わる。


スタート:イタリア(ローマ)
ゴール:イギリス(ロンドン)


これならば移動に無駄がない気がするし、日本とのアクセスも良い。ドイツやフランスから始め、円を描くように周ることも出来るかもしれないが、やはり出っ張りの国を起点とするのがシンプルだろう。

目的地は決まった。ローマだ。

緊張のフライト

今までも海外旅行に行ったことはある。スーツケースは使わずに、いつもバックパックだ。しかし、今回の旅にはこれまでとの大きな違いがある。そう、3ヶ月という長さだ。3ヶ月もの長期旅行をするのは初めてだし、持ち物や、宿の予約もよくわからない。さすがに全日程の宿を事前予約するのは無理だと思いつつも、新しい街で毎日歩いて宿を探すのこともストレスだろう。何から何までわからないまま、僕は深夜の成田空港に到着した。

空港には独特な雰囲気がある。現在地と目的地をつなぐ空の港。希望、期待、不安、緊張。いろいろな感情が入り交じる空港は、まるで現代における神殿のような場所だ。僕のフライトはアエロフロート。ロシアの航空会社だ。成田-ローマ間の最安値を提供していたのがアエロフロートという聞き慣れない航空会社だった。ローマまでの片道チケットで確か6万円だったと思う。途中でモスクワの経由があるのだが、日本人はビザがないと入国できないということだった。ヨーロッパ入国前にロシアを見られるかと思ったが、それほど時間があるわけでもない。ここは空港で静かにしていよう。美人だが笑わないと評判のロシア人に囲まれ、モスクワにてじっとローマへの乗り継ぎ便を待つ。

そうそう、実は機内で早くも出会いがあった。彼女はレン。同い年の日本人だ。とても大きなスーツケースを持っており、荷物を持ち上げられなかったのを僕が手伝ったのだ。海外に行く高揚した気分もあり、それをきっかけに会話が始まった。
聞けば彼女はデザイナーを目指しており、ミラノで修行中とのことだ。想像もつかない世界、挑戦をしている人がいるのだと感銘を受けた。世界は広いが、日本ですら広い。色々なすごい人は身近にいるものだ。この後、彼女とはミラノで食事をし、日本でも会うことになるのだが、彼女は今もイタリアで活躍していることを記して先に進もう。

航空機のサービスについてJALがいい、ANAがいいと論じる人がいる。僕も概ね賛成だ。確かに日経航空会社のサービスは素晴らしいし、海外系のサービスは雑だ。CAというよりは掃除のおばちゃんかと思うような対応をする人も多いし、機内設備も古い。しかし、良いではないか。何せ最安価格でローマまで行こうというのだ。ビジネスクラスの旅行は素晴らしい。でもきっと、それは今回の旅に使うものではないのだ。狭く硬い椅子に体を縮め、じっと時が過ぎるのを待つ。これがいいのだ。そう、この足りない感じがいいのだ。誰もがうっすらと眠る機内にて、僕もじっと待つ。機内にはエンジンの音が低く響いている。いよいよ冒険が始まる。次に地面を踏むとき、そこはローマなのだ。人生で一番自由な時間が今始まる。

決まったこと

目的地:ヨーロッパ (ローマ in / ロンドン out)
期間:90日間
予算:60万円

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