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90日間 ヨーロッパ放浪記 1 ~きっかけ~

世界はすっかり変わってしまった。

世界を自由に移動できない日が来るなんて想像もしていなかった。戦争や政治的な理由で訪問できない地域があるとしても、まさか全世界が止まる日が来るなんて考えもしなかった。

そんな激動の、あるいは激動を止めようとしている2020年のまとめとして、僕の旅日記を残そうと思う。旅をしたのは2010年。10年も前だ。当然ながら覚えていないことも多いし、むしろ覚えていないことのほうが多いだろう。しかし移動が難しい世の中だからこそ、スマホで全世界がつながった世の中だからこそ、自分にとっての最後のアナログな旅の体験を共有したいと思う。夜に寝る前にベッドで読み、旅っていいな、そう思ってくれる方が一人でもいれば幸いだ。

就活の失敗と休学

当時の僕は大学4年生だったのだが、実は就職活動に失敗していた。2008年に起きたリーマンショックの煽りを受け、企業は新卒採用を大幅に絞っていた。もちろん、会社を選ばなければどこかに入ることはできた。それは間違いない。しかし、貴重な"新卒カード"を無駄には使えないという思いがあり、僕は休学を選んだ。

意外かもしれないが、休学をすると5年目の学費はかなり抑えられる。もちろんストレートに4年で卒業するよりは余分にかかる。しかし、僕は卒業まであと2単位を残している状態で4年目の後期、5年目の前期を休学したのだ。実質的には4年目の後期を、5年目の後期に充当したようなものだ。あえて残した単位は問題なく取得できるだろう。もちろん5年目に就職活動もしなくてはいけないが、僕は空いた時間をどう過ごすかを考えていた。そんな僕が思いついた行動は決して珍しいものではなかったが、今でもよく決断したと褒めたくなるほど良い決断だった。

そうだ、旅に出よう。

親や先輩が口を揃えて言うフレーズがあった。

"時間がある学生のうちに旅行をしておいたほうがいいよ"

これだけ多くの人が同じことを言うのだから、そこにはきっと幾らかの真実が含まれるのだろう。幸いにも僕は1年間の留学をしており、日常会話レベルの英語なら話すことができた。やることは決まった。さて、どこに行こう。

ヨーロッパをまとめて見たい

ヨーロッパという地域は贅沢だ。イギリス、フランス、スペイン、ドイツがあって、足を伸ばせばチェコにも行ける。国のオールスターみたいなものだ。それぞれの国に魅力があり、人生で一度は訪問してみたい場所がある。いや、強烈に訪問したいというよりは、ちょっと行ってみたい場所がたくさんある。このちょっと行ってみたい、という気持ちがくせ者だ。

海外旅行が大好きな人なら、休みを使って何度も海外を訪問するだろう。しかし、そこまで訪問したいわけではもない。ちょっとだけ見てみたいのだ。盆暮れ正月に大金を払って旅行したくは無いし、旅とは名ばかりの移動がほとんどを占めるような旅行もしたくはない。

よし、全部を一度に見て回ろう。

そんな消極的な理由で、僕のヨーロッパ周遊ツアーは決定した。

決まったこと

目的地:ヨーロッパ


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