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中勘助 作『結婚』を朗読しました。

https://youtu.be/1LnTaDCYH_4

この『結婚』という作品は、障害を抱えた兄の世話を頼むために奥さんを貰うという、今の時代だと炎上間違いなしのエッセイ。
でも、「奥さんが可哀そう!」で終わらずにぜひ読んでいただきたい作品です。

お嫁さん探しを始めた作者。
知人から一人の女性を紹介されますが、その人とは初めて会ったはずなのに、実はちゃんとご縁がつながっていた出会いだということが分かります。
人と人の出会いの不思議さ、少しずつ親しくなっていく二人の様子が描かれます。

本来の目的である作者の兄は、なんと結婚式当日に亡くなってしまいます。
幼いころから折り合いが合わず、確執を抱えたまま弟に世話をしてもらう…。兄も弟も、口に出せない思いを胸にしまって暮らしていたのかもしれません。
決して憎しみだけでない複雑な感情は、家族ならではだと思います。

長い長い兄弟の闘いは終わり、そして新たな生活が始まる。

結婚というのは、生活なんだなあと思います。
赤の他人が、少しずつ家族になっていく。
全ての夫婦にそれぞれ二人だけのドラマがあるんだと思うと、なんだか素敵ですよね。

中勘助は随筆を多く残していますので、またほかの作品も読んでいきたいです。

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