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宮沢賢治 作『ひのきとひなげし』を朗読しました。
春になり、アスファルトの隙間や空き地などにナガミヒナゲシが咲いているのをたくさん見るようになりました。
ナガミヒナゲシはオレンジ色の可愛い花ですが、その見た目とは裏腹に有毒成分を持つケシの一種です。
見つけても決して素手で触らないように気を付けましょうね。
今回の『ひのきとひなげし』に登場するのもヒナゲシの花です。
ですがヒナゲシに麻薬成分はないので、この物語に登場するのはアヘンを作れるケシの花のようです。
もちろん栽培が禁止されていますから実物を見たことのある人はほぼいないでしょうが、写真を見てみると、ヒナゲシに似た可愛らしいお花でした。
アヘンというと、アヘン窟…そして満州が連想されます。
満州はアヘンによって滅ぼされたともいわれていますが、それほどに依存性の強い恐ろしい薬物なんですよね。
ドーパミンがどばどば出て、一度手を出したら止められないんだとか。その後はもう、心身ともに壊れきるまで一直線です。こ、怖すぎる…。
『ひのきとひなげし』は、スターに憧れるひなげし達が美しくなりたいあまりに悪魔の言葉に騙され、頭のアヘンと引き換えに怪しい薬を貰おうとするのですが、そこにひのきがやって来て危機一髪、というお話。
作品を通して、ふわふわとした不思議な空気が漂い、怪しいけど心地よい…そんな印象をうけました。
わたしはこの作品を読んで「高熱を出したときに見る夢のよう」と思いましたが、これがまさにアヘンを摂取したときの感覚なのかもしれません。
ひなげしは日頃からひのきを馬鹿にしており、助けてもらってもなおお礼の一つ言いません。
本当に自分を大切にしてくれる人は側にいるのに。バラに憧れなくてもひなげしは充分美しいのに…。
それに気が付かないのは勿体ないけれど、わたしたち人間も同じような状況に陥っている人は多いのではないでしょうか。
悪魔の言葉に騙されないように気を付けなければ。
そんなふうに思った作品でした。
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