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太宰治 作『女生徒』を朗読しました。

先月からスタエフで更新していた『女生徒』ですが、無事に最後まで読み終えることができましたのでYouTubeにもアップしました。

『女生徒』は、ある女生徒の朝起きてから夜眠るまでを描いた作品です。
母親と二人で暮らす少女は、亡くなった父親に思いを馳せながら、少しずつ大人へと変わってゆく自分に嫌悪感を抱きます。

何も知らず無邪気だった昔の自分。
自分や周りの大人を汚らわしく思う今の自分。

子供でも大人でもない年頃って、すごく複雑なんですよね。
子ども扱いされたくないし、大人に対して嫌悪感がある。
大人になりたくないと思う。

自分の学生時代を思い返してみてもやっぱりそんな感じだったなあ、と懐かしい気持ちになりました。
個人差はあれど、多くの大人がそんな気持ちを通って来たのではないでしょうか。
でも大人になってみると、なんであの時あんなしょうもない喧嘩したんだろう、とか、もっと簡単に考えればよかったのに、とか、楽な気持ちで振り返れることも案外多いんですよね。
当時はもちろん真剣に悩んで苦しんでいたんですけどね。

大人になって読む『女生徒』は、自分の学生時代を覗き見ているようでなんだかくすぐったい物語です。
この女の子はいったいどんな大人になるのかな。
きっと素敵なお姉さんになっているんじゃないかな。

太宰は『女生徒』をはじめ、女性視点の物語を多く執筆しています。
『女生徒』そして『斜陽』は実際に女性の日記をもとに書かれており、実に鮮やかに女性ならではの心情を描きだしています。
日記という資料が手元にあるとはいえ、繊細な女心をこれだけ理解して書ききるというのは、太宰自身が多くの女性たちとの交際の中で彼女たちにシンクロしていた部分もあったのかなと感じました。

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