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百貨店の売り物の話

日本に百貨店が生まれて凡そ120年が経った。明治期、老舗呉服屋が次々と百貨店を開店し、当時珍しかった舶来品を国民に供給する役割を担っていた。以降、徐々にに大衆化は進んだものの、より安価に商品を提供するスーパーマーケットや大型商業施設との差別化から高付加価値の品揃え・サービスをおこなってきた。特に販売員のサービスは小売業の中でも群を抜いており、私自身も「雨なのに傘を持っていない」ということに気づいた販売員の方に駐車券のサービスを申し出られ、感動した経験がある。

高付加価値なサービスを提供している百貨店の強みは、庶民が見慣れない高級品ばかりが並んでいた時代から最高の買い物体験を提供するために心を尽くしてきた提案力である。
これは、格安スーパーやネット通販が普及する中で、情報過多な現代でこそ卓越した長所となり、いわばコンサルティング業であるとまで言える。

一方で、提案を受けるだけなら無料なので、既存の消化仕入方式では百貨店のコンサルティングにタダ乗りされてしまう危険性も存在している。その点、テナント的な収益システムは提案力の活用先としてそれらの問題を解決する他、衣服ロス等に対する一つの答えになるのではないかと期待する。

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