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これが特措法改正論議の盲点だ。

医療機関に対応をうながす最終手段

  日本の医療体制の充実度は先進国有数。しかし欧米諸国に比べると1桁も2桁も少ない1日あたり3000人レベルの感染者数で「医療の逼迫」、さらには「医療崩壊」まで懸念する声が出ているのはなぜなのか。問題は、分散している医療資源を適切な形で再配置できないことだ。改正論議が始まる新型コロナ特措法には、こうした視点がぜひ必要だと声を大にして訴える。

1.協力要請と金銭を含むサポートとのワンセット

「余裕のあるところから、余裕のないところへ」。このようにして有事をしのぐしかない。

特にコロナ対応においては、それに対応していない医療機関や医療従事者が多いということは先に述べた。

ゆえにその者たちに、いかにコロナ対応に協力してもらうかが重要ポイントだ。

まずは協力のお願いをして、彼ら彼女らの自発性に委ねても解決しなければ、最後は直接的な権力行使を行うしかない。

そのときにはもちろん、たっぷりのお金を支給することや、医療従事者の家族を含めて行政がしっかりとサポートすることとワンセットにする必要がある。

政府は、飲食店の事業主に対しては、感染者数を抑制するために、その営業の自由を制限するという権力行使を行っている。

そうであれば、感染リスクはあるものの、政府は医療機関や医療従事者に対しても、コロナ対応に協力してもらうという権力行使を行うべきだ。

そしてこのような権力の行使のためには、本来的には法律の根拠が必要であり、それは特措法の改正案に盛り込むべきだ。

特措法の改正論議がこれから始まるが、飲食店などへの休業の強制と補償のワンセット論は散々議論されてきたところである。これまでの特措法改正の話ですっぱり抜け落ちていたのが、この医療現場への強制の話だ。

ここは医療現場から大反対論が出る難しい話であるが、最後は政治の力で進めるしかない。

コロナ対応をしていない医療従事者にコロナ対応を求める法的根拠の他にも、現在コロナ対応している医療機関における看護師の負担軽減のための制度が必要だ。平時のときには看護師さんがやらなければならない業務でも、有事のときには看護師資格を持たない人材が対応できるようなルールを作って、看護師さんの負担軽減に努めるべきだ。現在、コロナ対応ゾーンには医師や看護師しか入れないようだが、医療逼迫している医療機関においては、医師・看護師以外の人員もコロナ対応ゾーンに入って仕事ができる運用に改めるべきだ。もし法律の根拠が必要ならこれも特措法改正のテーマになるだろう。

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