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LAPRAS株式会社を退職します

2021年9月末日をもって、ちょうど4年間勤めたLAPRAS株式会社(旧:株式会社scouty)を退職します。4年という期間はスタートアップで過ごしたと思えば結構長く、入社したときから考えるとかなり遠くにきた気がします。この記事では、4年間LAPRASで何をしてきたのか、どうして辞めるのか、そしてこれから何をするのかを書きます。

● 私は誰で、4年間LAPRASで何をしてきたのか

2017年10月に当時は株式会社scoutyという名前だった会社に機械学習やデータ分析をするエンジニアとして入社し、その後はアルゴリズム開発のマネジメント、プロダクトマネジメント、そしてプロダクト開発の戦略の策定などを経験してきました。ちょうどプロダクトマネジメントをはじめたころの2019年のまとめ記事と、プロダクトマネジメントで実際に取り組んだ内容に関する記事がこちら。

退職直前の社内の役割のスナップショットは以下のような感じでした。プロダクトマネジメント、中長期戦略、データ分析、ホラクラシー運用、ファシリテータ、あたりが日常の業務の多くを占めていたと思います。

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もっと詳しい経歴に興味がある方ははこちらをご参照ください。

● どうして辞めるのか

 - Soul Purpose

きっかけは、2021年4月に「SoulのPurpose」なるものを書く活動をしたことです。そもそもそれは何なのか?という話や、なぜ会社でそれが実施されたのか?という話は代表が書いた以下の記事をご参照ください。

要は「なぜこの組織にいて、ここで何がやりたいか?」というものを書き、それを共有してFBを送り合う時間があったということです。その際に自分が書いたものがこちら↓

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書いたあとにもアップデートがあったりしてもう少し整理が進んだので、まずはこれについて今思っていることを書こうと思います。

 - 人がその組織にいる理由

現代社会では多くの人が一日に起きている時間のうちの多くを費やして仕事をしているわけですが、その仕事に従事したことによって得られる(得ようとしている)ものは、粒度の違いはあるものの、以下の3つのいずれかに属するのではないかと思っています。

1. 金銭的な報酬。SOのキャピタルゲインのような、将来入ってくるかもしれないものに対する期待値もこれに含まれる。
2. 社会的な居場所。自分のことを理解してくれる人がいる、趣味が合う、攻撃的な人がいない、などの要因があると思われるが、評価しにくい。
3. いわゆるやりがい。さらにいくつかに分類される。後述。

誰かに「あなたが今その会社でその仕事をしている理由はなんですか?」と聞くと、「〜ができるようになりたいから」「〜という技術を扱いたいから」「〜という職種が自分に合っていると思うから」といった答えがよく返ってきます。ただ、こうした回答をする人に「それはなぜ?」と聞いていくと、結局ほとんどの場合は(将来まで含んだ)金銭的な報酬を求めていることに帰着するのではないかと思っています。例えば「ソフトウェアエンジニアの枠を超えてマネジメントにも挑戦できる環境だから」という回答は「マネジメントにも手を出すことで自分の市場価値を高め、将来の報酬を上げたい」と言い換えられるということです(もちろん、スキルを伸ばすこと自体にこの上ないやりがいを純粋に感じている人もいることにはいると思います。が、稀なんじゃないかなあとも思う)。

先に挙げた仕事の目的の3つののうちどれが重要かは人によって違うと思いますが、自分も自分が働く理由として思いつくもののほとんどが1.に帰着するため、1.が最重要だと考えています(考えていました)
また、とにかく金払いがよければそこに行くのか?ということを考えると、社会的な居場所として心地よくないところには決していたくないので、2.もまた重要な要素だと考えています
やりがいに関しては人によってはとても重要と考えるのだと思います。ただ、1.や2.に比べてそれが大切なのかと聞かれるとよくわかりませんでした。
これらを総括した結果として仕上がった回答がこれというわけです(再掲)。

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 - 重要度に関する考え方の変化

ところが、上記のように回答したのち、考えにアップデートがありました。

まずは 1. の報酬について。重要な問いとして、「十分な資産があったとしたら自分は何をしているか?」「十分な資産がないからできていないことはなにか?」ということを考える機会がありました。散々考えた結果は「特にない」です。働かなくていい資産があったとしても、別に音楽で食っていきたいとも寝続けて過ごしたいとも思ってないし、得意なことで承認を得られる一番リーズナブルな手段として(働き方は変えるかもしれないが)結局どこかで働いているのでは、と思ったからです。
人生が変わるほどの金を手にしたことは残念ながらないので、想像力が及んでいないだけという可能性はあります。ただ、少なくとも今見えている範囲では、今ぐらいの(ちょっと贅沢をしても許される)金があれば、これが多少増減しても人生の選択肢に影響を及ぼさなそうだと気づきました。

続いて 2. の居場所について。「居場所がある」「居心地がいい」とはなにかということについて考えました。結論は「よくわからない」です。LAPRASの居心地はたしかにいいのですが、どうもそれの原因をうまく言語化できない、そのため他と比べるのも難しい。他の組織で「絶対にここには行きたくない」というところはいくらでもあるのですが、LARPASと同じぐらいよさそうに見えたところがあったとして、それと比べて絶対にLAPRASが勝っていると自信を持って言い切るのは難しいと気づきました。

ここまでで、「この組織にいる理由」として書いた内容がそれぞれ人生への選択肢に影響しなそう必ずしも他に圧勝しているとは言えなそう、というなんとも煮え切らない基準になってしまいました。
決して悪い環境ではないことは間違いないので、現職に留まることを妨げる要素は特にないのですが、他に何か拠り所にできる観点はあるのか?ということを次に考えました。そこで考えはじめたのが先ほど「どうでもいい」といい切った 3. のやりがい軸です。

 - やりがいとは何か

自分に該当するかしないかは問わないとして、報酬や居場所の提供よりも優先されうる(もしくは同じくらい重要と思える)やりがいとして、どういうものが思いつくか?ということを考えたところ、以下のようなものを思いつきました。

3a. 社会的な使命がある。例えば、地球の環境問題を解決したいと心から思っている人がいれば、報酬や居場所を無視してでもそれをやるのがよさそうです。

3b. 自分が作ったプロダクトに愛着がある
。普通に働いたほうが儲かるけど、1から作ったものを育て続けることを優先する人の気持ちはわかります(パッと売却して次に行く人もよく見ますが...)。

3c. 技術的にどうしてもやりたいことがある
。「とにかくElixirを使って開発したい」のように、技術的な興味が何よりも優先される場合は、報酬や居場所の良さを無視することはありそうです。

3d. 事業運営をすることで自分に報酬以外の利益がある
。言ってしまえば「自分がよく使っているサービスを運営する側になる」ということです。自分の労働が直接自分の生活をよくすることにやりがいを感じる気持ちはわかります。

自分の場合、3a. 3b. 3c. は特に該当しませんが、日常生活を営む上で当然 3d. は該当するものがいくつかありますから、それを挙げてみました。自分の周りを物理的に見まわしてみると Google, Apple, Slack, Todoist, Notion, メルカリ, Panasonic などが目に入ります。たしかに、このあたりの会社に入って受け持ったプロジェクトを完遂した結果、自分が触っているプロダクトが便利になったら楽しそうではあります。

ところが、例えば自分が Google Maps のプロダクトマネージャーとして転職した(出来るとは言ってないです)ときのことを想像すると、半年かけてやった肝いりのプロジェクトがローンチされて喜んだが、それは Maps の機能のほんのごくごく一部にすぎず、「自分のプロジェクトが自分の生活を便利にして嬉しい」ことを期待するとすぐに心が折れそうだなと思いました。先に挙げた他の会社についても、すでに会社やプロダクトが十分に大きいため、自分の貢献と自分が得られる利益のバランスが悪い(良くしたという実感が得られなそう)という状況はどこも同じように感じました。

ここまでを Soul Purpose を書いてから割とすぐに考え、強いて言うと

・待遇が悪くならず
・居心地が悪そうな点が見当たらず
・そこで働くことが自分の生活をよくすることにすぐに繋がり
・自分の貢献度合いが大きいことを信じられる

ような会社があれば転職してもいいけど、結局見当たらないから現職ステイでよくない?ということでしばらく放置していました。
さて、本題の「どうして辞めるのか」ですが、上記に書いたような条件をほどよく満たすいい感じの会社との縁に恵まれたからです。

これから何をするのか

2021年10月からはベースフード株式会社で働きます。

仲のいい人にはよく知られていることですが、何を隠そう私は BASE FOOD の狂信者でして、食事のほとんどをこれに依存しています。

先ほど「ありえる理想の職場」について書きましたが、整理してみるととてもいい感じだし、ほかに思いつくところも特にありませんでした。

・待遇が悪くならず
 → 😊

・居心地が悪そうな点が見当たらず
 → 中の人と話してみた感じ大丈夫そう(勘)

・そこで働くことが自分の生活をよくすることにすぐに繋がり
 → どう考えてもダイレクトに影響する
 → 万が一潰れたり事業をたたまれたりするとすごく困る

・自分の貢献度合いが大きいことを信じられる
 → 会社が大きすぎずとても程よい

● おわりに

LAPRAS株式会社で関わった社内外のみなさま、本当にありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いいたします。こちら↓は退職エントリしぐさです。何卒よろしくお願いいたします。


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