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『人生を手っ取り早く180°変える唯一の方法』

『デッドマン』(1995)


☆監督
ジム・ジャームッシュ

☆出演
ジョニー・デップ
ゲイリー・ファーマー
ジョン・ハート
イギー・ポップ

☆STORY
──仕事の依頼を受けた気弱な会計士ブレイク(ジョニー・デップ)は西部の町マシーンへとたどり着くが、依頼主の会社がすでに新しい会計士を雇った後だった。

途方に暮れたブレイクは、酒場で出会った花売り娘セルと彼女の部屋で一夜を共にする。

その翌朝、セルの許嫁で街の権力者の息子チャーリーが部屋に出現。

銃口を向けられたブレイクをとっさにかばったセルが銃弾で即死し、ブレイクは枕元にあった銃でとっさにチャーリーを撃ち命からがら逃走する。

☆感想
本作は主人公が誰かもよくわからないままストーリーが進み、主人公自身「なにがなにやらわからない」状態だという。
そして、よくわからない理由で婚約者に捨てられ、よくわからない手紙に導かれて、よくわからない街へ就職に向かっているところから始まる。

それって僕も含め大体の人がそうだと思う。

自分の人生だけど、親のレールを走っているような感覚で自分の人生の主人公は誰なんだろう?状態で、よくわからないまま学校にいって、よくわからないまま就職して、よくわからないまま家庭を持つ。


そこを全部計算立ててしてる人ってほんの僅かな人だけだと思う。

そして、そもそも復路の金銭も用意せず、知らない辺境の街に乗り込む就活姿勢。

さらには途中で意味深に「墓場行き」を宣告されるし、職なし金なし知人なし、しかも街はなぜかあからさまな敵意を振りまく者ばかり。

そんな感じで始まる映画なんだけど、一つ豆知識として音楽はニール・ヤングが映画を見ながら即興で演奏したものである事に驚き。


そんな事もありながら、映画自体オール白黒で描かれる。

イメージで言うと『ローマ/ROMA』的な。

古いザラザラ感のある映画ではなく、滑らかってほどでも無いが、なんとなく話の流れや場面の雰囲気で色がボヤッとしてくるようなそんな感じ。


というのは、ジム・ジャームッシュ映画の特有なオフビート感がある映画には、これといって激しいアクションや喜怒哀楽が激しくあるわけじゃなく、ただ単に何事も無いかのように平然と話が進む。


この落ち着きというかこのオフビート感が僕はたまらなく好きなんだけど、その理由としてあげられるのはいくつかあって…。

ここから本題で、そのあげられる理由を話そうと思う。

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