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パニック障害③救急搬送

“火事ですか?救急ですか?”

はじめて掛けた119の応答は
なんとなく冷たく感じた。

救急に、なると、、思い、、、ます。
息も絶え絶えそう言えた途端、
心臓の鼓動が更に激しくなり、
冷や汗が額に沸き、両手が痺れ、
呼吸の乱れが強くなり、
強烈な死ぬかもしれないという恐怖感に襲われ、
意識が遠のく感じがした。

“もしもし?”
”聞こえますか?”
”話せますか?”
”どんな症状出てます?”
”ご住所言えますか?”
”お名前は?”
”お歳は何歳ですか?”
電話の向こうから聞こえる声が
頭に残らない。
聞かれてる質問に答えられない。
声にならない、話せない、伝えられない

名前は言えた。
住所は言えたのかな?
年齢は答えたっけ?
症状は、、、
記憶がない。
”今そちらに救急車向かってますからね”
”玄関の鍵開けて待ってて下さいね”

遠い。
いつもはすぐそこにある玄関が遠い。
財布と携帯掴んで、
数メートル先の玄関まで床に這いつくばりながら必死に辿り着いた。

息が出来ない。
正確に言えば、
呼吸は辛うじて出来ている。
空気が少ししか吸えない。
少ししか吐き出せない。
だから焦って吸ったり吐いたりの速度が速くなる。
そしてそれに付随して胸の鼓動も大きく速くなる。
口に小さな風船が張り付いていて、
その小さな容積の中の空気でやりくりしてる様な感覚。
脳に危険信号が点滅している。
早く、助けて。
早く、、、お願い。

携帯が鳴った。
救急車の音が聞こえる。
救急隊の人が話してる。
”玄関の鍵開いてますか?”
”もう到着しますからね”

その声を最後に意識朦朧となり気絶した。

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