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元彼Y⑤示談成立

運転席の横に立って
彼が窓を開けるのを待ってると
“中に入って”
“こっち座って”
窓も開けず、助手席を指差し、
“こっちに来い”
と、無言で誘導して来た。

助手席側に向かうまでの数秒で
こんなに腹が立つことあるんだな笑

“スッピンだよね?”
“お風呂上がりでしょ?”
“外だと風邪引いちゃうからさ”

どういう神経でこの言葉を言ってるのか
3時間も待たせておいて、
私の風邪の心配するなら来ないでよ
策士なのか天然なのか
優しい人ね、なんて思わないから

私が助手席に座ると同時に
彼が後ろの座席に身体を仰け反らせて
袋を引っ張ってくる。
“どっちがいい?”

あのさ
コンビニ寄って飲み物買う数分あったなら
私のメールに返信出来たでしょうよ!
今から行っていいですか?って聞けたでしょ?
なんでそんな余裕なの?
言いたい事は盛り沢山だったけど我慢した。
大人だし、私、負けたくないし。

“いつまで?”
“辞めたいんだよね?”
“分かってるよ言いたいこと”
“いつまでなら大丈夫なの?”

だからさ
何で来たのよ
分かってるなら電話で済む話じゃないの?
それともなに?
生が良かったの?
生で聞きたかったの?
じゃないと眠れない?
どんな性癖だよ笑

結局私は具体的な退職理由を話していない。
想定していた激しい討論も無し。
興味が無いのか原因も聞こうとしないし
止める素振りも見せない。
退職届の書類を書く訳でも無く
ガソリン使ってコンビニに5分費やして
生を収穫しに来た男
こんな無駄な男は初めてだ笑

“とりあえず締めの関係もあるし、来月いっぱいまでは居てくれる?”
“本当は頼みたい仕事あるんだけど、引き継ぎする時間が無いんだよね”
“DM作りばっかりで疲れると思うけど”
“それまでは出勤して欲しい”

私の理由は聞かないくせに要求だけはしてくるのね。
もしかしてその為に来た?
面と向かって筋通しに?
いらん迷惑なんだけど笑

確かに彼には時間が無かったと思う。
タイムスケジュールは過密だし、よく分からないけど膨大な難しい仕事をいつもやってるし、私にサポートして欲しかったんだろうけどタイミングが取れなかったんでしょうね。
バイトの募集は今回が初めてで、業務の移行は時間を掛けて慎重にするつもりだったとの事。
話を聞けば納得は出来たけど、この人に対するストレスはどう解消するべきか。
辞めるなと言われている訳じゃないし、
せめてものお願いをしに来ている事を考えると
結局受け入れるしか無かった。
それでこの男が納得するなら耐えるか。
来月末まで長いけど
辞めると決まったならこっちのもんだし。

で。
話変わるけど
さっきから、いや、
メールの時からのタメ語はどういうテンションな訳?

『あの、今日、なんか違いません?』
『急にタメ語って言うか』
大人なんでね、私、なるべく自然に聞きました。

“嫌ですか?”
“会社じゃないし、
普通に喋った方が話しやすいかなと思って”
“そっちの方が仲良くなれそうだし”
“ダメ?”

仲良くなろうと思ってんの?
辞めるって分かってたのに?
どういう思考回路。
策士じゃないな、こいつ天然だな笑

やめた。
私もやめる。
どうせ辞める会社の
上司でもない
歳下であろう男に
気を使って敬語で話すなんてアホらしい。
明日から、いや、今から
私は同じリングに上がってやる笑

結局その日
私達が解散したのは
夜中の3時。
聞く必要も話す必要も無いくだらない話が何故かダラダラと続いてしまい
彼に対する遠慮もしなくなったことで
私のストレスも時間と共に消えてしまった。
良かったのか悪かったのか。

これが
彼の策略だったかどうかはわからないけどね笑


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