【実録】小3児童の不登校#1

小3にして不登校になった息子。

はじまりは、夏休み明けの8月最終週からだった。
いや、じつはもっと前からその芽はあったのかもしれない。

一学期の半ばくらい。
「おれ、担任の先生キライだ。すぐ怒るし、乱暴な言葉使うんだ。友達が怒られてるの見るだけで可哀想になるし、自分が怒られるかもって思うと嫌なんだ。だから学校に行きたくない。」

たしか、日曜日の午後昼時だった。
私は妻と顔を見合わせた。
一過性というか一時的にそう言ってる可能性もあったし、ではなくて確固たる決意のもとにそう「決めて」いるというふうでもあった。
(マジかよ、学校に宣戦布告するというのか、この子は…)という戦慄もあった。

しかし、その後はとくに目立ったことはなく、学校には通い続けていた。

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夏休みもいつも通り。
彼には「先憂後楽」ならぬ「先遊後楽」という独自のスタイルがあって、それはつまりやることもやらないまま終わるという、果てしなくどうしようもない性分だ。そういうところは、ズボラな私によく似ている。

宿題を率先して進めるでもなく、夏休みも終わりに近づいてようやく重たい腰をあげる、あのパターンだ。
案の定、二学期が片手で収まるくらいにまで近づいてくると、(どうしょう…)という顔を見せはじめた。

そんな彼だから、宿題は強制されるもの以外いっさい手を出さない。しかし、一学期の様子をみていて気になるところがあった。文章を書くのが苦手らしいのだ。そればかりか、読むのも苦手らしい。国語の文章題での誤答が目立ったし、計算問題でも設問をスルーして間違えるパターンが多かった。

このこと自体、そんなに躍起になる事柄ではないし、いまでもそう思う。が、そのころ、たまたま「毎日小学生新聞」の夏休みキャンペーンを知り、「読ませてみようか」と思った。読まなくても、写真を眺めるだけでも、彼の興味がすこしでも広がればいいなぁと。親としての欲、といってよいと思う。
結果からすると、これも不発だった。それどころか、却って文章嫌いを認識させてしまった節さえあるように思う。

しかしまぁ、それでも二学期が始まり、いつも通りの日々が始まった…と思っていた。
ある日の朝。
「体調が悪いから休みたい」
と登校しぶりがはじまった。
むろん、その時点ではそこまで深刻ではなく、仮病かもしれないがとにかく休ませた。無理強いしても却ってこじらせると思ったからだ。

─────────

ついに始まった不登校。はじめは「登校しぶり」という形で現れた。

本人の意思は固くて、難渋した。一学期、登校班に間に合わず、一緒に登校することがあった。その時は、一緒につきそえば自分の足で歩き、教室に入るのも抵抗はなかった。

ちなみに、他校でもそうではないかとおもうのだけれど、いまの時代「子供一人での単独登校」は禁じられていて、登校班で登校できない場合は、かならず親が学校へ送り、教師に引き渡さなければならない。
一度、そのルールを知らず、学校入り口まで送って別れてしまったことがある。その時は妻に
「なにやってんのよ。わたしたちの子供の頃とは時代が違うんだからね!」
と激しく叱責されてしまった。
この「付き添い」には、たんに学校まで付き添うだけでなく、担任に「引き渡す」という、そういう側面もあったのだった。


しかし、二学期に入ってはじまった「登校しぶり」では、この付き添っていくというやり方はほとんど無意味に近かった。

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無意味を通り越して逆効果だったのは、先生が迎えにくるというやつ。これは息子にとって耐え難かったようで、奴にしては珍しく気が触れたように暴言を伴う抵抗をみせた。それだけ担任が嫌だったのだろう。
迎えに来るのは担任と学年主任(2年次の担任)だった。ある日、主任の先生が迎えに来て言った言葉に次のようなものがある。
「そろそろ、甘えるのはやめようね!」
私はこのセリフを妻から又聞きしたに過ぎないが、登校しぶりは甘えではないし、仮に甘えだとしても子供にストレートに伝えるべき言葉だとは思わない。
これは、全国の不登校児みんなに言えることではないか。学校へ行けない子に「甘えるな」といってもほぼ100パーセント意味をなさないと思う。

担任に至っては、もっと始末が悪かった。迎えに来た時や親の前ではバカがつくほど丁寧なのだが、学校で、子供たちの前では言葉遣いが乱雑なため、息子をして「ダブスタのいかがわしい大人」認定をされてしまう始末だった。
そういえば、一学期の学校公開(授業参観)に行ってきた妻から「あの担任は、頭おかしいのってくらい言葉が汚いね。」と言っていたのを思い出す。
後に、我が家にも学年主任の先生に伴われてやってきたが、赤ら顔のいかにも体育教師で、予めイメージしていた通りの風態だった。


(つづく)




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