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マリースメック レコ発「全部、空想」オフィシャルライブレポート

 マリースメックは2021年4月活動開始、埼玉北浦和発のスリーピースバンドである。メンバーは矢﨑史也(Gt/Vo)、クワエコウスケ(Ba)、オオエヒデアキ(Dr)。
 2021年10月16日にリリースされた2nd EP『Imaginary vision』のレコ発として、2021年10月25日、初の自主企画「全部、空想」が渋谷CLUB CRAWLにて行われた。EP収録順に曲を演奏し、EP名が示す通りの幻想的な世界へと観客を誘った。初めての物販(2nd EP『Imaginary vision』デモ盤、ステッカー)も用意され、来場客が列を作って購入した。対バン相手として、リベルターズ、Adam’s miss、UtaKataが招待されたが、UtaKataがキャンセルとなってしまったため、マリースメックがUtaKataの分もライブを行うこととなり、バンド史上最長の演奏時間となった。

マリースメック

 普段のSEとは異なる爽やかなSEが流れる。メンバー全員が入場し、矢﨑の「埼玉県北浦和、マリースメックはじめます。」の一言から、オオエがドラムを軽やかに叩き始め、1曲目「言いたいことしかなかった」が始まる。どこか不安定さを感じる音楽と寂しさを吐露する歌詞が絡み、哀愁漂う一曲である。オレンジの照明に包まれ、最後は優しい願いを曲に乗せて演奏し切った。そのままドラムが続き、2曲目「暮れる」では、激情的なイントロを三人で向かい合って鳴らす。社会を、現実を見つめ、溢れ出した重みある矢﨑の言葉がオオエとクワエの刻む軽やかなリズムの上に乗り、小さく体をゆらすオーディエンスの心に入り込んでいった。

オオエヒデアキ(Dr)

演奏が終わると、矢﨑は来場した観客に感謝しつつ、アコギに持ち変えた。静かに鳴らされるハイハットの音とアコギのブリッジミュートの音が歌声を引き立たせながら、3曲目「Old living」が始まる。今回のライブより、マリースメックは同期を用いており、この曲においてはキーボードと女性ボーカルのコーラスによる美しいハモリを入れている。新しい試みはバンドの曲にポップさを与え、今までの曲とは異なる雰囲気を生み出した。残響のようにあとを引く歌声はフロア中にふわっと響き渡った。

矢﨑史也(Vo/Gt)

その後のMCでは対バン相手のリベルターズ、Adam’s miss、UtaKataに感謝を述べ、4曲目「エブリナイトモーニング」が始まる。荘厳さと浮遊感を同時に感じさせ、美しく響く轟音のギター。その上に乗る、煌びやかでありながら曲に溶け入ってしまいそうな矢﨑の歌声。背後で分厚く響くベースの重低音によるハーモニーが、壮大な世界観を作り出し、ライブハウスを包み込んだ。オーディエンスはその幻想的な世界観に圧倒され、棒立ちでステージを見つめた。最後は徐々にスピードアップし、矢﨑は叫ぶように感情的になって歌い、膝をついてギターをかき鳴らした。

マリースメック

そして、大きく歪んだ音から、流れるように最後の曲、「むかしむかし」の美しいアルペジオに移行する。まるで映画のエンドロールが流れているかのような感動的なサウンドがオーディエンスの心を掴んだ。これまでの曲においてはあまり笑顔を見せなかった矢﨑の口角が少しだけ上がり、クワエもオオエも笑顔で楽しそうに演奏した。曲が終わり、矢﨑が「どうもありがとうございました。」と小さく呟くと、大きな拍手が起こった。

マリースメック


 アンコールを待つ拍手が起こり、再びメンバーがステージに上がる。普段はあまりMCをしない矢﨑だが、観客でいっぱいのフロアを見渡して話しはじめた。「音楽で世界は救えないけれど、なんてことない平日の、この渋谷の狭い地下の空間、ここだけが幸せになればいい。」「僕らがバンドを続ける理由はあなたたちです。いつもありがとうございます。」と観客への大きな感謝を伝えた。アンコールの曲については「皆さんへの恩返しということで、Urban life、最初のEPの曲を全部やります。」と言い、「plot」が始まった。大きくアレンジを加えたプロローグを歌い上げ、「皆さんと18歳の頃の僕にplotという曲を。」と一言つぶやき、本編が始まった。

矢﨑史也(Vo/Gt)

サビでは観客の手が一斉に上がり、矢﨑の歌声にオオエのコーラスが美しく重なった。ラストには矢﨑のハイトーンボイスが響き渡り、綺麗に終わったかと思うと、突如として激しい音が鳴り響き、照明がステージを赤く染め上げた。「on bass クワエコウスケ」と紹介があると、前に出たクワエがベースをかき鳴らし、「KK210」が始まった。特徴的なベースラインとサウンドが前面に出た疾走感のある一曲であり、観客は拳を突き上げた。

クワエコウスケ(Ba)

続く「隣の蝶々」は、アレンジの効いた始まり方をした。矢﨑はときに怒りを、そしてときに気だるさを感じさせるような表現力のある歌声を披露し、ギターソロでは膝をついて感情的に弾き切った。曲が終わると、軽快なリズムのドラムが始まり、そこにベースが加わり、さらにギターが加わって、爽やかなイントロから「WARM NIGHT」が始まる。軽やかなリズムに乗ってオーディエンスは手拍子をはじめ、サビではその手を高くあげた。バンドメンバー全員がこの日1番の笑顔で演奏を終え、会場は大きな拍手に包まれた。

マリースメック


セットリスト
1. 言いたいことしかなかった
2. 暮れる
3. Old living
4. エブリナイトモーニング
5. むかしむかし
〈アンコール〉
6. plot
7. KK210
8. 隣の蝶々
9. WARM NIGHT

楽曲情報
2021/5/12 リリース
1stEP 『Urban life - EP』
2021/10/16 リリース
2ndEP 『Imaginary vision - EP』

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ライブスケジュール(2021年11月分)
11/9(火)@渋谷ミルキーウェイ
11/10(水)@下北沢ERA

Twitter
マリースメック(@MARIE_SMECK)
矢﨑史也(@mtkrs4)
クワエコウスケ(@312K2002)

Instagram
マリースメック(@marie__smeck)
矢﨑史也(@doiukoccha)
クワエコウスケ(@kk312kiwami)
オオエヒデアキ(@ohe9207)

YouTube
マリースメックofficial(https://youtube.com/channel/UCclgHmsvcTmx-8CnNe7Y77Q)

ライブ写真:若奈

文責:れいらいな
Twitter(@ongakureina)
Instagram(@ongakureina)

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