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自殺未遂と見知らぬおじさんのこと。あるいは幸福について。

正直に言って、人生に希望は無い。将来のことなんて考えられない。本も読めないし、ゲームのひたすらダンジョン周回する脳死ゲーもできない。なんにもできない。ただなんとなく起きて、気がついたら夜になってて。

3日前に、ふと、もういいんじゃないかなあって思って、ありったけの睡眠薬を飲んだ。数えてないからわかんないけど、200錠はあったと思う。途中で吐きそうになりながらも何回かに分けて飲んだ。遺書は書いてなかった。書くこともないし。

結果はこの通り。いつの間にか寝てて、起きたらなんともない。また死ねなかった。なんでだろうね。もういいじゃん。

なーんにもできない身体で、なにをするって意欲も無くなって、ただ息をしてるだけ。それだけで御の字。

泣きたいけど涙も出ない。もう嫌だ。疲れた。なにもかもに疲れた。森羅万象に疲れた。

それでもなぜかメシを炊いてラップして冷凍庫に入れたりとかして。死にたいって言いながら洗濯機を回したり。


今日、買い物に行ったときのこと、前からチャリに乗ったおじさんが来て、見るとモナカアイスをかじりながらチャリ漕いでるの。蒸し暑いもんなあって見てたら、なんかそのおじさんが眩しくて。だってすっげえ嬉しそうにアイス食ってるんだもん。

そばにコンビニがあったから、たぶんそこで買ったんだろうね。「袋いりますか?」「いやいや、いらないいらない!」って、大急ぎで、ガッてアイスの袋を破って。

ほかに何か買った感じでもなかったから、「暑いからアイスでも食うか!」って感じでそこのコンビニに駆け込んだんだろうね。で、モナカアイス1個だけ買って。

まあ、これは勝手な妄想も混じってるからあれなんだけど、そんな感じでうまそうにアイスかじってるおじさんがすげえ眩しかった。幸福のイデアを見た気がした。そうだよ、そういうことなんだよ。幸せってのは。

過去を振り返ることでもなければ未来に期待をすることでもない。おじさんみたいに、「いま、暑いからアイスを食う」。とどのつまりそういうことなんだ。

だから僕は決めた。もっとシンプルに現在を生きようと。1秒先の未来すら考えず、ただ、いま、この瞬間を。自分がなにをしたくて、なにをしたくないのか。いままでは「できる」「できない」で考えてたけど、そうじゃなくてもっとワガママになろうと。

頭が良いわけでもないのにむつかしいことばっか考えてるからダメなんだな。(そういえば同じことを幼なじみにも言われたなあ)

あのおじさんだって悩みのひとつやふたつ、あるはずだよ。でもあのとき、アイス食いながらチャリを漕いでた瞬間は幸せだったはずだ。

幸福は瞬間にこそあるのかもしれない。その瞬間を掴めなければ幸福を感じることはできない。そういうことなんだと思った。

おじさん、ありがとう。僕はもう少し頑張れそうだよ。

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