マガジンのカバー画像

散文詩

10
運営しているクリエイター

#自由詩

さくら

さくら

 ふりつもる

 み雪にたへて

 色かへぬ

 松ぞををしき

 人もかくあれ

(ふりつもる深雪(みゆき)に耐えて色を変えない松はなんと雄々しいことだろうか。人もこのようにありたいものだ)

――昭和天皇『松上雪』

ジョニーボーイは笑ってたよ

ガムを噛みながら 煙草を吸って

季節外れの桜吹雪が

真夏の東京に降り注ぐ

おれは

あいつをぶん殴った

煙草が落ちる ガムが飛ぶ

それでも

もっとみる
飲んだくれ情歌

飲んだくれ情歌

頭痛で目が醒めた

トイレでゲロを吐いた

いくぶん気分が楽になると 床の埃が目についた

掃除をしなくちゃな

掃除をしなくちゃな

足の裏についた乾いた米粒を

指でとってその辺に捨てて

おれは錠数も数えずアスピリンを飲んだ

ショートピースに火をつけて 適当に寝転んだ

オナニーのあとの陰毛があちこちに落ちている

掃除をしなくちゃな

掃除をしなくちゃな

掃除をしなくちゃな

咥え煙草

もっとみる