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「営業会社なのにノルマにとらわれる必要がない!? どこをとっても自由すぎる社風」代表取締役社長 徳永健二 - インタビュー #001

長年勤め上げたリクルートグループで得た経験を活かし、2004年に当時の仲間とともにに起業し、会社を牽引してきた徳永健二さん。苦難を乗り越えて生み出したその経営手法は、営業中心の会社でありながら、働き方は自由で、しかも数字のノルマに縛られないユニークなものだった。

地方での仕事が大きな転機に

――徳永さんは、起業前はどのような仕事をしていたのでしょうか。

新卒でリクルートグループに入社し、1988年~93年頃までは首都圏でアルバイトの求人関係の営業に携わっていました。当時は街の一軒一軒を地道に巡る、“どぶ板はがし”といわれる営業が主流。20代の頃はまさに泥臭い仕事が多かったと思います。そんな私にとって大きな転機になったのは、'94年から長野を中心とした、観光地の求人採用事業に関わったことです。

――転勤した長野での仕事や生活はどうでしたか?

仕事以上に、環境に感動しましたね。僕は生まれてからずっと東京や横浜などの首都圏で生活していたので、春夏秋冬や四季折々の変化がある田舎の原体験がなかったのです。カルチャーショックが大きく、地方に惹かれるものを感じました。僕は長野にずっといたかったので、2回も異動を断って、気づけば9年もの歳月が過ぎていました。

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――そんな徳永さんが起業に至るまでの経緯を教えてください。

2003年にリクルート社内の組織再編で、東京に戻ることになったのです。東京に戻ってからは大手チェーン店の求人を担当する部署で、責任者を務めました。ところが、長野での体験と比べると、今一つ物足りない。そんなある日、「徳永は将来どんな仕事をしたいと考えているの?」と上司に聞かれたのです。そこで思い切って、「僕が今いる部署をそのまま引き継いで、独立させてくれませんか?」と聞いたら、あっさり承諾が得られたのです(笑)。

――とんとん拍子で独立・起業の話が進んだ感じですね。

2004年に、現在の会社を設立したのですが、当時のリクルートの部署にいた社員が全員ついてきてくれたんですよ。これには感動しましたね。だから僕は今でも、当社は自分のものだと思っていません。従業員のための会社だと考えています。そもそも創業の時点で、もともとあった部署をそのまま独立させてもらったので、創業メンバーのリスクは限りなく少なかったですからね。

リーマンショックを乗り切る

――独立に至るまでのお話を伺うと、徳永さんの人望の大きさを感じます。とはいえ、起業当時は苦労も多かったのではありませんか?

創業してから数年間は、リクルート時代に積み重ねてきた実績を守ることに努めました。そしていよいよ新しい事業に取り組もうと思っていた矢先、2008年にリーマンショックが起こりました。企業は採用を控えるようになり、当然ながら仕事は激減。業界全体に大きな影響が及びました。

――リーマンショックはどう乗り切ったのでしょうか。

なんとか耐え凌ごうと頑張るしかありませんでした。ただ、多くの企業が削減に走るなか、当社はひとりも会社都合の人員削減をしなかったのは今でも誇りです。赤字決算にこそなりましたが、雇用維持に努めた経験は現在の糧になっています。

――経済が安定してから、徳永さんは独自にプロジェクトを立ち上げたそうですね。

長野で取り組んでいた観光事業は絶対に上手くいくと思っていたので、精力的 にスタートさせました。そのひとつが、全国の観光地の求人事業を集約するサービスです。今では北海道から沖縄の離島にいたるまでお客様がいますし、取り扱いする企業の数は日本一大きいと思います。規模が大きくなったぶん、地域ごとの採用環境の違いなど、様々なデータが蓄積できています。そのため、北海道で成功した事例を例えば青森にフィードバックするといったサービスができるのは、当社の強みですね。

――きめ細やかなサービスを実現しているのですね。

はい。どんな遠方であっても、必ず営業担当が現地に赴くように心がけています。現地の環境を確かめ、クライアントとの方と密な付き合いをするのが、当社の特徴ではないでしょうか。また、創業の経緯から、当社は長らくリクルートの代理店でしたが、現在は「マイナビ」や「ディップ」といった他の大手求人メディアとも直接取引するようになりました。リクルート以外のメディアとも比較できるようになり、ユーザーの利便性は向上しています。

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――海外のリゾート事業も手掛けていますね。

2011年から展開を始めました。あるスキー場のお客様から「採用した外国人の働きぶりがとてもよかったよ!」と喜ばれたことがきっかけで積極的に乗り出し、現在に至っています。

若手の能力を経営に生かしたい

――社長の徳永さんから見た、会社の風土や特徴はどのようなものでしょうか?

私が言うのも変かもしれませんが、非常に“自由な会社”です。営業成績の数字が悪くても、基本的に“詰める”ようなことはしないので、社員にはストレスがほとんどないはずです。営業中心の会社としては珍しいと思いますよ。そして、私自身、通勤ラッシュが苦手なので、出社時間も決めていません。昼頃に出社しても問題ありませんし、テレワークも可能です。遊びに行くような感覚で出社できる会社を目指しています。

――新入社員に期待することはありますか

当社は新しいプロジェクトにチャレンジしたい社員の声を積極的に聞いています。だからぜひ、若い社員にはチャレンジ精神をもってほしいと思います。社員の興味や技能といった、個人の長所を最大限に生かしていきたい。その際は、私がリスクをとって受け入れたいと思っています。

――どんな社員に入社して欲しいという人物像はございますか?

実は具体的に求める社員像は無いんです(笑)。むしろ、どんな人が入社してもらってもいいくらい。選考に僕の好みやこだわりが強く出てしまうと多様性がなくなり、かえってよくないと思っていますから、自分と性格が合うなどといった基準では選んでいません。そのため、当社には様々なキャラクターの社員がいますから、どんな人でも馴染みやすいはずです。一般的な会社ではやっていけないような人でも、当社であればやっていけるかもしれません(笑)。極論を言えば、仕事をやってくれさえすれば、過度な干渉はありませんから。

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――それでは最後に今後の会社の展望を教えてください。

時代が急激な勢いで変わりつつありますから、環境への適応力やスピード感が求められています。同様にサービス業や観光業も著しい変化の波に晒されています。しかし、その一方でお客様の中にはそうした変化に遅れて、古い労務体制を維持したままの会社さんがあるのも事実ですから、当社の実績を生かし、新時代に合ったサービスをお客様と一緒に創り上げていきたいですね。

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