スプラトゥーン3サイドオーダー ゲームデザイン凄すぎポイント51選
ついに任天堂がローグライトに手を出した。
FPSやMOBAを任天堂なりに咀嚼して生み出した『スプラトゥーン』、オープンワールドゲームの新しい地平を開いた『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』など、近ごろの任天堂は流行りのジャンルを任天堂なりにアレンジして出すことが増えてきた。
そして、スプラトゥーン3のDLC『サイド・オーダー』は「ローグライト」というジャンルをベースに作られたゲームだ。
既存のローグライトをベースにしつつローグライトの名作たちから良いところを受け継ぎつつも、色々な部分で任天堂らしいアレンジを加えてきており、ときにはローグライトの鉄板のメカニクスを破壊している場所もある。
その上で、本当に本当に面白く仕上がっている。
点数で言えば100点満点中100点、1回クリアして終わりにしようと思ったらあれよあれよと全パレットでクリアを達成までやってしまい、その上でさらに定期的に周回してしまうくらいにハマっている。
プレイしつつゲームデザインの観点で気付いた点についてメモっていったところ膨大な量になってしまい、それを整理してまともな記事にするのは無理だ! となったので、とにかく形にするため、未整理の状態でお送りさせていただく。
整理されていないし説明不足や誤字脱字などもあるかもしれない。その代わりはんぱねーくらい物量があるので、覚悟されたし。
とりあえず目次だけでも見てって。
1. ライフが激安で「ライフを取るか? 強化を取るか?」というジレンマがなく、リスクリターンが整理されている
「強化を取るかHP回復を取るか」の択一は、強化を取ったら死んでしまうので元も子もなく、一方で回復を取ったら強化する機会が減り長期的に損になり嬉しくない。どっちに転んでも嬉しいと感じられず、そもそもそこで回復を取るハメになった時点でもう損であり、面白さを生んでいない。
既存のローグライトを遊んでいて個人的にずっとモヤモヤしていたやつ!
サイドオーダーでは減ったライフは自販機で購入することで回復できるが、ほぼ無料みたいな値段で販売されており、ライフは買ってソンすることはない。ついでに他の商品も購入できるので、出現する部屋のうち自販機を選択したからといって損した気分が一切ない。むしろ「回復もできて買い物もできて一石二鳥だ!」という嬉しさすらある。
とはいえライフが減っている状態だと自販機のラインナップの1つを埋めるし、少量とはいえコインを消費するため、回復のためにデメリットがないわけではない。そもそも自販機が貴重な機会なので、思い通りに回復できるとも限らない。このあたりも含め、とてもちょうど良い。
2. やっかいな敵は倒したときに利益を残してくれることでリスクリターンの嬉しさが生まれてる
特殊な能力を持っているやっかいな敵は、それを倒すことができたら道具を落とすか爆発するか何かしらのメリットを残してくれる。これぞまさにリスクとリターンだ。強い敵が出てきたときの緊張感と、それを見事倒せたときの嬉しさがあり、やみつきになる。
そのような強敵類は優先的に倒したくなるが、雑魚に取り囲まれていたりとそう簡単に倒せない。それをどうやって処理するかが、ステージの形状や使用武器、持っているパワーアップなどによって変化していき、奥深さを生んでいる。
3. いろんな要素に「高さ」の概念があり、それによって多数の利点を生んでいる
敵の弱点が高い位置にあったり、プロペラヤグラが空中を進む場面が用意されていたり、ポータルを撃っていくとだんだん上に上がっていったりと、射撃を当てる対象の色々に「高さ」の概念が存在している。
高さの概念を導入することで、複数の物事を同時に解決している。
優先的に撃つべき対象がちゃんと目立つ
優先的に撃つべき対象が敵の群れに埋もれて囲まれて狙えないということがなく、ちゃんと判断できればちゃんと倒せるようになっている。
射程の長さが分かりやすく有利に働くため、射程UP系のチップに価値が生まれる
短射程ブキと長射程ブキで運用が変化し異なる味わいが楽しめる
高台に登る利点やジャンプ台でジャンプする利点にもなっており、地形を活かした戦略性を楽しめる
4. ダメージ効率を競うゲームではなく多様性のある攻略方法がある
大量に出現する群れを捌くゲームなのでてっきりDPS(時間あたりの火力)を高めるゲームかと思いきや、実は全然そういうゲームではなかった。
インクを塗って後退しインクを踏ませてダメージを与える
敵をまいて留守になったポータルを破壊
強敵の弱点を打ち抜いてまとめて倒す
敵が固まっているタイミングで爆発物を使いまとめて倒す
耐えて耐えてサウンドバーストで打開する
といった、立ち回りのゲームになっている。これは複数のブキを使う前提であり、様々なビルドがそれぞれしっかり輝くように、という前提があるからこういう設計になっているのだと思う。
5. ステージに降り立つときにレールに乗って開始することで生まれる複数の利点
機能としてはPUBGやフォートナイトのスタートの仕組みに近い。
これにより以下のような利点を生んでいる。
上空から地形を一望できるためちゃんと計画ができる
初見のステージでも地形を確認できるので初見殺しがない
開始位置をある程度自由に選択できる
移動中は操作する必要がない → ステージを見ることに集中できる
6.「クソゲー状態からスタート」という設定にしてモチベを上げる
最初のプレイではゲームのチュートリアルとオープニングを兼ねて、残機3、その他色々強化された状態で開始し、気持ちよくプレイができる。が、オープニング終了後、残機1、被ダメ2倍などマイナスの状態にされてしまう。
ここで面白いのが「いったん普通の状態を見せている」という点だ。そうやって失わせるところから始めると普通にストレスになるが、これはおそらく意図的で、あえて失う体験をしてストレスを与えてむかつかせることで、プレイのモチベーションを焚きつけているのだろう。
また、その状態でプレイして序盤で無残にゲームオーバーになってしまったらどう思うだろうか? おそらく「強化がマイナス状態になってるせいだ。僕がヘタクソだったからじゃない」って思うんじゃないだろうか。
7. 強化しなきゃならない理由を「ボスのせい」にしロールプレイに昇華
弱体化したとき「ボスがこのゲームの難易度を上げてしまった」という説明がある。それによってボスがムカつく相手として認知される。それを「ハッキングでなんとかできますよ」とイイダが言う。イイダいいやつだな、って思う。
システムの都合をキャラクターのせいにすることで、ロールプレイに繋がって面白さに昇華してしまうのはもはや任天堂の伝統的なやり口だ。ダウニーしかり、たぬきち然り。
8. 道中で集めた全てが永続強化用素材に繋がる
これも同じく他のローグライトを遊んでいて気になったポイント。「今の冒険を有利にするアイテム」と「次回以降の冒険を有利にするアイテム」どっちか1つ取れって言われたって比較できるものじゃない。「私と仕事どっちを取るの?」みたいな選びようがない選択になってる。
サイドオーダーでは次回以降の冒険を有利にするアイテム「シンジュ」は副次的に取れるだけで、何かを捨てる代わりに取らなきゃいけないということはほとんどない。かつ、ゲーム終了後にそれまで集めたカラーチップやコインがすべてシンジュに変換される。
塔の攻略中はその周のことだけに集中できて、そのプレイがすべて無駄にならない、という状態はとても健康的だと思う。
9. フロア選択時、課題と報酬を両方とも明示しプレイヤーに判断材料を提示
このゲームではフロア選択時に「具体的な課題内容」と「具体的な報酬内容」をセットで提示している(課題内容は最初伝わりづらいが、覚えていくと具体的に分かる)。
これによって、プレイヤーは「判断材料」を得る。だからこそ、フロア選択画面で大いに悩めるはずだ。「あのチップめっちゃ欲しい! しかも難易度かんたんだ! ラッキー♪」「あのチップめっちゃ欲しい! けど難易度ゲキムズ!? ぐぬぬぬ、頑張ってみるか…!」
情報を明示することでフロア選択の時点でかけひきを生んでいる。また、内容が分かっていれば覚悟をして戦いに挑めるし、それで死んだら自分の自己責任になる。とてもフェアだ。
余談だが、昔自分が製作したミニマムなローグライトゲームでは同様に「戦う前に報酬を見せる」というメカニクスを試していたりする。任天堂と同じような結論に至れて超嬉しかった。
あと、3択で選ばせるのではなく回数制限のある「チェンジ」ボタンで選んでもらうようにして、くじ引きのような楽しさ、どこでストップするかの駆け引きを生みだしてみた。『さいころクエスト』面白いと思うので遊んでみてください。
10. 報酬をフロア開始前に渡すことで報酬の嬉しさ倍増
一般的なローグライトではステージをクリアした「後」に報酬が貰える場合がほとんどだ。ゲームデザインの観点でも、苦労を与えた後にご褒美を渡すのは鉄板中の鉄板な仕組みだ。
でもサイドオーダーではそれを逆転させ、フロアを選んだらまず先にチップを獲得できてしまう。ゲームデザインのセオリーに反してるじゃん! って思うものの、実際なんら問題なく面白かった。
これはどういった利点があるのか。
一番大きいと思われる効果としては「チップの効果をすぐに試せる」という点だ。「チップを獲得 → フロア開始 → 試し撃ち場で試してみる → すぐに実践投入」という流れとなっている。それによって、獲得したチップの効果をすぐに実感できるのだ。効果をすぐに実感できるって絶対正義ですよね。今この現代では特に。
11. チップ1枚1枚の効果が高く、効果を実感しやすい
チップ1枚1枚の効果が非常に高く1枚獲得しただけで手触り感が分かりやすく変化するのがとにかくいい。チップを獲得した実感がしっかりある。
それがなぜできるのか、正直よく分かっていないが、強化可能なパラメーターが多岐にわたるからこそできる芸当? そこにラッキーコンボやドローンなどの追加要素を入れてきて幅を拡げているから可能? あと報酬の数が少なめだからこそ?
12. フロアはクリアすればそれで100点満点。分かりやすく喜べる
「クリアできたけど、遅かったからちょっと減点された」みたいな結果は中途半端で、喜んでいいのかガッカリしていいのか微妙なところだ。そういう結果を突きつけられてたとして、面白くない。
各フロアでは、多少ダメージを受けようと、時間がかかろうと、コンボが途切れようと、命中率が低かろうと、アイテムを拾わなくても、報酬が減ってしまうことはない。
とにかく、フロアをクリアしさえすれば100点満点として評価される。これがすごくいい。ゲームの都合で用意されたルールに振り回されるのではなく、シンプルに目の前の目標に集中できる。
一方「指定された行動をしなければボーナス」といった遊びは味変用に使っているのもうまい。たまにならスパイスとして機能する。
13. 急ぐと難しく、ゆっくりやると簡単になる難易度調整。初心者から上級者まで楽しめる
ボスのカイセンロンドは発見されなければ攻撃はほとんど飛んでこない。ゴロゴロマルチャーレもバンパーに当てなければ派手な攻撃はほぼこない。通常フロアでも防御に徹した行動をし続ければ死なないようにすることは難しくない。
ちょうどスーパーマリオブラザーズのBダッシュのような立ち位置だ。Bダッシュを使うと素早く楽しくクリアできるがその分制御が難しくなる。Bダッシュを使わずにゆっくり進めばミスし辛くなる。
自分の腕前やプレイスタイルに合わせて自由に選択できる、気持ちよさを担保にした、可変式の難易度調整機構だ。
いったん宣伝!
『ニカイドウレンジのゲームデザイン相談室』はじめました
このような感じでゲームの考察について長年行っていて、生まれ持った特殊なスキルとの相乗効果でおかげでゲームを分析する力が仕事にできそうな気がしてきました。
主にゲーム作ってる人、作りたい人に向けた相談室を作りました。2時間お話しするだけのシンプルなやつです。
14. 逃げ回ることに損がなく、耐え続けることで打開できる
どのフロアも制限時間無制限で、戦いが長期化することによるデメリットは一切ない。敵がだんだん強くなっていくということもない。「死にさえしなければ100点満点」を徹底している。
DPSを重視しなくていい、というのはこの要素によっても生まれている。とにかく色々な手段を使ってクリアを目指せばよく、時間をかけてクリアを目指すようなビルドでもアリとなっている。
敵が稀にドロップするCD型のアイテムを3つ集めると発動する『サウンドバースト』は戦いが長期化すればするほど集まっていき、発動したら確実にクリア条件を進められるので、むしろ長期化することはプレイヤーにとってプラスに働く。
15. コンボの効果を「アイテム出現率UP」にすることで得られる複数の利点
一定時間内に継続して敵を倒し続けるとコンボになる要素は多くのゲームで採用されているメカニクスだが、任天堂で採用されているタイトルはあまり多くない。が、ついにコンボの要素が搭載された。
本作ではコンボを繋ぐ利点として「アイテムの出現率UP」のみになっているのが面白い。このメカニクスは、これまた複数の問題を解決している。
効果がアイテム出現率UPならコンボが途切れたとしても特に悪い印象にならない。各種アイテムは継続戦闘をする際に必要なものが中心で、戦闘が断続的に発生する場合は重要度が高くないからだ。
コンボの存在があることで「コンボを強化するビルド」という選択肢を生んでいる
コンボを繋ぐことで得られる恩恵が、見た目的にものすごく分かりやすく提示されており、コンボを繋ぐ楽しさを演出できている。(アイテムが出るときに効果音が鳴るのが素晴らしい)
敵を倒すとアイテム出現の仕組みは既にヒーローモードで作られている機能であり、サイドオーダーをより面白くする要素だ。それをそのまま流用しているだけなのでコスパが良い仕組みだ
そこにアイテムだけでなく「ラッキーボム」を追加したのもすごく相性がよい。アイテム出現を火力に転化する仕組みがあることで、コンボビルドで戦うことが可能になっている。
16. ラッキーコンボはヤバイときこそ発動しやすく窮地でもなんとかなる体験に
ラッキーコンボは継続的に敵を倒し続けると繋がっていく。ということは敵が大量に沸いていてめちゃくちゃ危ない状況でこそ発動しやすい。
なのでピンチのときこそピンチを脱出できるアイテムが出やすくなるという仕組みで「ギリギリの状態でアイテムが出て窮地から脱出できた!」という体験が発生しやすい。
これはコンボ関係やアイテム出現関係のビルドを取っていなくてもその恩恵がある。
17. アイテム類を獲得するためにリスクを伴わせることでより面白く
アイテム類は敵を倒した場所に出る。コマの敵やトランポリンの敵を倒した後に出るアイテムも、自分自身で直接触れないとならない。多くの場合敵は群れをなして攻めてくるので、それらを獲得しようとしたら群れに突っ込まなきゃいけない状況が多い。リスクをとってリターンを得るやつだ。
その代わりコマやトランポリンはとても強い効果があり、無理をしてでも取りに行きたいと思えるようになっている。
18. ネリコインがあまり重要ではなく、高難易度を選ばなくても損した気分にならない
高難易度のフロアを攻略するとコインをより多く貰えるようになっている。高難易度面にあえて挑むことのメリットはほとんどこれくらいだ。
じゃあネリコインは集めれば集めるほどよいのか? というと実はそこまで重要ではない。パワーアップを選ぶ自由度を高めるくらいで、あとは何かあったときのための保険のような用途や、クリア後のスコアやシンジュの獲得量に影響がある程度だ。
「あったら嬉しいがなくてもいい」という絶妙な立ち位置になっていることで、腕に自信がない人が低難易度フロアを選ぶ後ろめたさを消しつつ、腕に自信がある人がより上を目指す意義を出す、というのを両立している。
19. カラーチップを重ねた際の増加量がとにかく絶妙
重ねるほど効果の上昇量が上がっていくので重ねるたびにブッ壊れていくやつ(ノックバック、メイン連射速度)
最初の1個が効果が高く、それ以降はあまり効果が高くないやつ(インクパチパチ、ドローン系など)
効果が低めだが5個目を取ると化けるやつ(インクショットダメージ、移動インク回復など)
順当に効果が積み重なっていくタイプ
チップによって上昇幅がまったく異なる。各効果がどうなっていると一番体験として一番面白くなるか、丁寧に設計された上で出された回答だろう。個別に見ていくと「なるほど」と感じられる点が大量にある。
個人的に目から鱗が落ちたのは「インクショットダメージ」の増加量だ。
1枚目:ダメージ5%増加
2枚目:ダメージ5%増加
3枚目:ダメージ5%増加
4枚目:ダメージ5%増加
5枚目:ダメージ30%増加
5枚目を獲得した場合のみ、30%も上昇するようになっている。こういうダメージアップ系は上昇量が高すぎるとブッ壊れてしまうし、敵を正面から簡単に倒せるようになると根幹となる戦略性が消し飛んでしまう。なので上昇量は抑えないといけない。じゃあ微々たる威力UPをするだけで楽しいのか? といったらやはりNoだろう。
「5枚重ねることができたらめちゃくちゃブッ壊れ性能に化ける」という発想で、バランスを取りつつ楽しさを増加させているのは本当に上手い。
20. ライフが残機になることで得られる複数の利点
もともとHPの自動回復がついているゲームなのでHPリソースにあたる「ライフ」が実質的に残機という立ち位置になっているのは当然といえば当然だけど、それでもやはり複数の利点を生んでることには変わりない。
多少のダメージを喰らっただけならば、そこで死ななければ帳消しにできるので、他のローグライトにあるような「クリアしたけどちょっとダメージくらっちゃった」という状況で、微妙なモヤりにならなくて済む。クリアできれば100点満点だ。
ミスするたびにやり直しになるので気持のリセットになる。
一旦場がリセットされるので敵が再登場するまでに猶予があり、難易度が下がるため一度死んだあとはクリアが容易になる
21. 様々なところで報酬として与える「テキスト」のコスパ
カギを集めて得られるバックストーリーはテキストだ。敵やカラーチップを集めていくと得られるのもテキスト。パレットでクリアしたときにもテキストが見れる。周回プレイの道中でも常に新しい会話劇を読める。色んなところでテキストを報酬として与えてる。
「文章」はおそらく最もコストパフォーマンスの高いコンテンツだ。最小限のコストで物語やキャラの魅力などを与えることができるので、量産することに向いている。
既に魅力的な世界観と魅力的なキャラが提示されているのでそこからはもうテキストのみでもぜんぜん楽しい。
22. ヤグラを撃つとスプリンクラーが出ることで複数の問題を解決
そもそも敵を倒すだけでも「敵を撃つ」「場を塗る」「インクを回復」「移動」といった複数のことを同時にやっているのに、その最中に「ヤグラを撃つ」というさらなるタスクを追加させられると、単純にやることが多すぎる。
「ヤグラを撃つとインクで塗ってくれる」という構図にすることで、ヤグラを撃つ時間は「場を塗る」時間とイコールになるため、忙しさを増やさずに済んでいる。
また、「ヤグラ撃っても楽しくないけどヤグラ撃たないとクリアできないから仕方なく撃つ」ではなく「ヤグラを撃つと嬉しいことがあるし、クリアもできるから絶対ヤグラ撃ちたい」ってなるので楽しさも上昇する。
23. ボールを転がしても攻撃できるようにし複数の問題を解決
ボールは転がしたら強力な武器になる。これもヤグラ同様「やることが増やしすぎないようにする」「クリア条件と楽しさが噛み合っている」状態となっている。
24. パレットのアイコン、デザイン性と手間を両立
パレットの右上にあるキャラクターのアイコンが、LEDによるドット絵になっている、というのも良いアイデア。
このアイコンはパレットごとに固有な量産が必要なものだが、低解像度かつ1色だけで描けるので生産効率が良い。それだけでなく音楽関係の機材をイメージしているため、世界観とも見事に合致しており、手間の削減が逆に「良さ」に繋がっている。
25. カラーチップ5個で大幅に強くなる仕組みによりビルドの奥深さが生まれる
カラーチップは複数種を取っていくことで様々な状況に対応できるようになったり、チップ同士のシナジーを生んで大きな効果を生んだりすることができる。幅広く取ることが有効な作りになっている。
一方、同じチップを積んだ場合は、性能に偏りが生まれ苦手なことが生まれやすくなるし、足し算式の強化になるため、シナジー効果によるかけ算の強化よりも弱くなりやすい。そのときの武器などにもよるが、1種類を重ねすぎると不利になりやすい。
それを打破するのが「チップの5枚目」だ。
ほぼ例外なく「5個目を獲得したときに効果が大幅に上昇する」効果がある。そこまで揃えると、そのチップ1種で無双できるようになるほど強くなったりするので、1種に絞って重ねることにことにもメリットが生まれている。
バランス良く取るか? 5個獲得を狙うか? 配牌に合わせてどちらを狙うか考えられる仕組みだ。
(これに関してはヴァンパイアサバイバーの進化武器と近いかもしれない)
26. 最小限の要素で最大のボリュームを生むための工夫の数々
サイドオーダーはDLCということもあり、要素はそこまで膨大ではない。敵の種類も少ないし、フロアもブロックを組み合わせて作っただけだ。出てくる要素は少ないのに、それでも何周も何周も飽きずに楽しく遊ぶ事ができた。なぜか。
それは「パレット」との組み合わせによるものだ。
同じフロアでも、同じボスでも、それをローラーで遊ぶか、チャージャーで遊ぶかで味わいが大きく異なってくる。コンボメインで育てるか塗りメインで育てるかなど育成方針によっても味わいは変わる。最低でも12周は飽きずに遊べるようになっている。同じカラアゲでもマヨやネギだれなど色々な味付けで食べれば結構いけちゃう理論だ。
もちろん、ただ「要素を組み合わせてかけ算式に遊びを作りました」というだけで面白くなるなら世話がない。それによって面白さが生まれているのは、緻密なマップ設計、計算されたボスデザインなどによるものだ。
よく考えて見ると1つの地形をどの武器でもちゃんと楽しめるように作るとか、同じ敵も遠近どちらの方法でもちゃんと対策が可能になっているとか、普通に考えたらそれってめちゃくちゃ難しい芸当なのでは…? という気がする。確かに理屈の上ではそう作れば最小限で済むけど、それができるってどういうことなの…?
また余談。筆者が過去に作った『PUZZMETRO』というミニマムメトロヴァニアでは非常に小さい容量制限の中でボリュームを出すために同じような設計に行き着いており、サイドオーダーのこの設計を見たときに小さくガッツポーズをしました。
27. 数え切れないほどの「伝える」工夫
何事も伝わらなければ意味がない。
エリアクリア直前の「テテテテ」でクリア目前であることを伝える
ヤグラ内に溜まる液体残量で動きの仕組みを伝える
ヤグラの関門でも少し動くことで撃っても意味があることを理解させる
アイテムが出る時に音が鳴り伝えることでラッキーコンボの気持ちよさをしっかり伝える
中ボス「ゴロゴロマルチャーレ」はバンパーに当たったらそこから赤いエフェクトが出ることで、バンパーのせいでそうなったということを伝える
ミサイルが飛んできてるときに特徴的な音が聞こえてきて、接近を知らせる
フロアクリア条件に寄与する行動をしたらクリア条件のところが光る
縛りプレイボーナスがあるとき、縛られた行動を行ってしまったときにちゃんと伝えるようなUIになっている
逃げる魚、アイテム、ヤグラなどは縦に伸びるエフェクトを付与して存在を気づきやすくなっている。
書き切れないくらい大量にある。そういうものの積み重ねがあることで、色々な「やれば分かる」を生み出してる。この作り込みは、ただただ丁寧。
28. 逃げる魚が細いインクを残して進むようにし低コストで攻略のヒントを作る
逃げる魚が細いインクを残しながら進むのがよい。特徴的なこのラインを見ることでプレイヤーは敵を追いつめるためのヒントになる。この魚は細い車輪で走るデザインになっているが、もしかしたらこの細いラインを作りたいがために車輪になったのかもしれない。
なお、インクを残しながら進むというのはサーモンランをはじめ敵の基本機能として搭載されているものだ。それをそのままヒントに転用するのもとてもコスパのよい方法だ。
29. 自販機は少し離れた所に設置し、休憩時間を作る
自販機の立ち位置は明確に「休憩」「ほっとしてもらう」立ち位置と思われる。体力回復がここにあること、静かな雰囲気になっていることが理由だ。
そのとき、自販機まで少し歩いて近づかなければならない、その際にインクを撃って高速移動することもできず、ただ歩くだけの時間が用意されている。何故だろうか。
それは、その「何もせず歩くだけの時間」を作ることで、休憩効果を与えようとしているからだと思う。「ここは休憩の場所」と明確に立ち位置が決まっており、その目的にしっかり焦点があっているのがすごい。
30. ラスボス1周目と2周目以降を目的に合わせてしっかり調整
1周目のラスボスは暗い鬱屈とした雰囲気に始まり、そこから大ピンチからの大逆転で急展開といったドラマティックな体験となっている。また、ラストは演出目的のゲームプレイシーンもある。
一方、2周目以降はコダコになり、最初から明るい雰囲気でバトルする、気楽で肩の力が抜けた状態になる。
1周目と2周目以降でここまで雰囲気が変わるのは、ひとえに目的の違いによるものだ。
1周目は物語の締めくくりとして最高の体験をしてもらう必要があるため、感情を大きく揺さぶるために怖い雰囲気を出すし、ドラマティックな展開も必要だ。最高の体験になっただろう。しかし、それらはいずれも、1回体験すれば効力は失われるし、それどころかめんどくさいだけになる。
2周目以降は、何度も楽しむ事を前提として作り替えてある。特に最初から背景が明るい状態になっている、というのが見事。1周目の暗い恐ろしげな雰囲気が待ち構えてるとなると気持ちが滅入ってしまうだろう。そのようにせず、どちらかというとコダコが可愛くて会話がちょっと楽しみくらいになってた方が、周回のモチベとしては適切だ。
31. ハイカラスクエア解禁の喜びを高めるための伏線
ラスボス撃破後、サプライズのご褒美としてハイカラスクエアに行けるようになるが、自分はそこにものすごく驚いた。驚いたと同時に「それ、欲しかったやつ!」って強く感じた。
それはなぜか。
DLC購入すると事前に1の舞台であるハイカラシティに行けるようになる。そのときにふんわりと感じる「じゃあ2のハイカラスクエアには行けないのかな…?」というモヤモヤ
サイドオーダー開始時、駅での選択肢が「ハイカラスクエアへ行く」という選択肢になっている。当然、サイドオーダーを始めるつもりなのでハイカラスクエアに行けるとは思わないが、そこでハイカラスクエアのことを思い出させて「そういえば行けないのか…」とモヤっとさせる
そういった、事前にハイカラスクエアのことをチラチラと思い出させることで、頭の隅っこでハイカラスクエアに対する期待値が上がっていたのだと思う。だからこそ、強い嬉しさがあった。
32. 各種演出はスキップさせない。その代わりスキップしたくならないように作る
色んなゲームで沢山みるやつ! 何度も見せる前提の演出なのに演出が仰々しすぎたり長すぎたりしてスキップボタンが導入されて本末転倒になるやつ。
任天堂はもともとそういうことをほとんどやらないけど、サイドオーダーでもそういうことを原則やらないようにしているのがやっぱり最高。
何度も見せる必要がある演出は都度会話内容を変化させることで何度でも見せるように作り、繰り返しに耐えうるようにしている。
33. アイテムがある箱は角の方にある
アイテム箱や、備え付けのコマも同様だ。パックマンのパワーエサがステージ角にあるのと同じ理屈。ピンチで逃げ場が少ないときにアイテムを!
34. 低難易度ステージにもちゃんと面白みを
低難易度ステージはただ敵が少ないとかではなく「敵が沢山出てくるけど何度でも使えるコマが設置されている」「ちょっとしたゴルフみたいな遊びになっておりホールインワンを目指せる」など、ただ地味なだけではない、ちょっと楽しげな遊びになっているのが良い。
35. キャラがゲーム攻略情報を教えてくれることで得られる一石二鳥
ゲームキャラが普通に攻略情報をアドバイスしてくれるのが良い。ゲーム性と世界観が融合しているので世界観は壊すことなく、それでいてキャラとの会話を楽しんでいるだけでゲーム攻略のヒントが得られる。
キャラの話を読むとプレイヤーにとって有用な情報を得られるので興味が持てるし、そういった話を読むことでそのキャラへの親しみも増えていく。
36. トラブルのフロアがちゃんと「悪いことだけ」なのが良い
まず、トラブルが付与されているフロアはシンプルにデメリットしかない。「トラブルがある分報酬が高いよ」ということをしていない。それによってプレイヤーに嫌な気分を与えることに成功している。
トラブルは生理的に嫌なものも多く嫌われるけど、それでもどこかのタイミングで飛び込まなきゃ消えないという仕組みがある。報酬を渡すのではなく、デメリットが消える、という利点になっており「メリットはない」ということでしっかり統一されているのが良い。
これが「うまくこなせば報酬があるよ」みたいになっていたら、プレイヤーがどういう気持ちになったらいいか分からなくなり、混乱してしまう。
「悪いことだけだったらない方がいい」って? もしかしてキミはラピュタにムスカがいないほうがいいって思うタイプ?
37. 逃げる敵が投げるボムに対し、積極的行動を取る選択が可能になっているのが良い
高速で逃げる敵がときおり投げるボムが少し離れたところに投げるのもいい。ただ避けるのではなく、ボムが爆発する前に通り抜けてしまうことで「ボムを回避しつつも相手に接近する」という一石二鳥の選択肢がアリとなってる。
38. 玉のボスの弱点が一直線になってる
玉のボス「ゴロゴロマルチャーレ」は、弱点が展開されたときに弱点の形状が一直線状になっているのはなぜだろうと考えたけど、回転を少し調整したりして角度を合わせることで、転がる角度と一致させて延々と弱点を打ち続けることができる。
稀に大ダメージを与えられる嬉しさ、上手い人はうまく角度調整して撃ちまくったりできるだろう。
39. ぐるぐる回るボスは内側に入る選択がアリになっており攻略の多様性がある
ボス「カイセンロンド」のサーチライトから隠れるためにボスの真下に入るとそれを阻止してくるが、しばらくその阻止のためのウェーブが遅いので、ある程度の間は中に入っても大丈夫になっている。
また、ボスの弱点が内側から撃てるようになっているので、一時的な戦法として多いにアリとなっている。また、内側に居座らないとしても通過するだけでもかなり有用なので、効率的に戦おうとしたら内外にうまく出入りするのが良さそうだ。
ただ待つだけではなく、積極的にリスクを取りつつ効率を出すことができるの、非常におもしろい設計だ。
40. ハチのパレットは、締めくくりとしてこれまでのプレイの成果を確認させる
ハチのパレットは「ハッキングをほぼ全部捨てる」か「カラーチップをほぼ省かせる」の実質2択になっている。
「ハッキングを捨てる」とこれまでの自分の知識と経験が浮き彫りになる
「カラーチップを捨てる」とハッキングによってどれだけ強くなったかが浮き彫りになる
それによって何かしらの形で自分のプレイの成果を確認できる場になっている。また、カラーチップを捨てた場合でも6枠はあるので、その限られた枠で無駄なく強くなるために何を取って何を捨てるかシナジーを考える遊びも含まれており、いずれにしても知識と経験が求められる作りになっている。
41. ビルドの方向性をゲーム側で示し、初心者に優しい
パレットごとに出やすいチップが決まっているため、自ずとビルドの方向性が決まってくる。
どのパレットもブキの性質に合致したチップが出やすくなっているため、ローグライト初心者が良く分からずにプレイしたとしてもある程度ゲーム体験を確保できるようになっている。ローグライト初心者が多く集まるこのゲームでは必要な仕組みだろう。
42. チュートリアルでゲームサイクル1周を体験させ全体像を最初に見せる
チュートリアルは一般的にはゲームのさわりの部分だけを遊ばせる場合が多いが、サイドオーダーでは塔を登り切ってボスを倒してクリア(敗北?)するまでの流れを一通りやっている。
それによる利点としては…
分かりやすいクライマックスを早めに体験できる
物語的の動機的に「親しい仲間が捕まっている」が欲しいが、一方でキャラクターと長い間出会えないのはもったいない
ローグライトというものに馴染みがないプレイヤーにも丁寧に教えられる
特に、その周が終了すると全て失うということを先に体験させておけるのが大きな利点だ
登場する要素を一通りなめることで、最初のプレイから初見殺しを減らし、フェアになっている
そのように考えると、このチュートリアルはとても理に適っている。
43. チュートリアルボスがラスボスと同じにすることで、低コスト高効果
チュートリアルで戦うイイダと最上階で戦うラスボスがほとんど同じ、というのがとても良い。
プレイヤー的には一度戦ったことがある相手で戦い方がある程度分かっていて安心できるし、中身は同じなので同一であることにしっくりくる。かつ、開発効率を考えたらそりゃもちろん設計を考え直す必要はないし、色々流用できるので省力化にも繋がる。
44. 床や壁にある白い模様がデザイン性と量産性を両立している
様々な場所に貼られている、特定の図形を組み合わせてつくられた模様も良い。デザインとして面白みがあり独特の世界観をより強化している一方で、少ないパーツの組み合わせによって作られているので、量産がしやすかったのではないだろうか。
45. ヤグラがカンモンを突破したときにヤグラのインクがマックスになる
カンモンを突破したときに衝撃波が出るのは説明不要。リスクとリターンってやつだ。それだけでなく突破したときに自動的にヤグラのインクが最大になり急加速してするすると進んでくれるのも、同じ効果を生んでいる。
46. 小魚を遠目から見ると伸びて見え、存在に気付ける
小魚型の敵(群れるラングエンド)を遠目から見たとき、高く伸びている。
こいつは簡単に倒せる一方、最優先で倒さないと床を塗られて苦しくなるやっかいな敵だ。プレイヤーが存在に気付けているかどうかはとても重要なので、目立たせるために伸ばしていると思われる。
47. 「トツゲキダメージ」が単品で存在していることでシナジーが生まれる
カラーチップの「イカロールアタック」「スライドアタック」は1枚取ってONにするだけの効果だ。それらを強化するためには別途出現する「トツゲキダメージ」を取っていく必要がある。
他のチップは重ねて強化していく仕組みがあるが、なぜトツゲキ系はこのように回りくどい仕組みになっているのか。
おそらくシナジーを生むためだと思われる。トツゲキダメージは突進系全部に効果があるため、まずローラーやフデなどを使っていたら取る意味がある。もしトツゲキダメージを十分に取った状態で「イカロールアタック」「スライドアタック」が出現したら、取った瞬間に強い状態になるため、獲得の優先度が大きく高まり、非常に嬉しい。それはシナジーが生まれているからだ。
48. 敵を合体させて新しい敵を作る、プレイヤーにも開発にもやさしい
既存の敵同士を組み合わせてキメラのような敵を作ることで性質の異なる新たな敵を生み出している。
大型の雑魚敵にスプリンクラーがくっついてるやつは、大型の敵の「塗りに沈めてしまえばスリップダメージで簡単に倒せる」という弱点を補っておりかなりやっかいだ。
大型の雑魚敵にジャンプバネの敵がくっついてるやつは、下から倒すとウルトラチャクチが飛んでくるので倒し方に気をつけなければならない。
もう何度言ったか分からないが、既存の要素を組み合わせることで低コストで新しいものを作りつつ、プレイヤーにとっては知ってるものなので学習コストが低く有り難い、という利点があある。
「てかこれ、ゼルダティアキンのウルトラハンドじゃん…?」「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
49. ちゃんと「塗る」ゲームとしてスプラトゥーンしている
スプラトゥーンは塗るゲームだ。サイドオーダーもスプラトゥーンだ。「塗り」に価値を生むために様々な調整がされている。
敵にインクを踏ませて進軍速度を遅くする&ダメージを与える、という選択がかなり有用になっている
敵の進軍速度が早めなので、退路を塗っておかないと困る状況が多々ある
敵の攻撃の回避のために塗りが必要になってくる場面は多い
遠距離攻撃を仕掛けてくる相手に近づくためにも塗りが欲しい
結果、塗りに関する強化もかなり有用度が高くなっており、ビルドの方向性のひとつになっており、強化の奥深さに繋がっている。
50. 1周目ラスボス後半戦も、低コストでありながら上質なゲーム体験
1周目のラストバトルは、後半戦はめちゃくちゃ熱い展開で盛り上がる。が、よく考えて見ると実はとっても低コストだ。
ボス自体の行動は前半戦と大きく変わらない
カラーチップを獲得しながらどんどんパワーアップしていくのも既存のカラーチップの仕組みをただ上限を超えて獲得しているだけ
ラスボスへのトドメとして使用する巨大メガホンレーザーも、処理的にはめちゃくちゃ大ダメージを継続的に与えるスペシャルを発動しているだけ(なので頑張れば直接殴り倒せる)
もちろん状況に応じてどんどん盛り上がる音楽や専用のスペシャル、その他細かい所で手間をかけている場所も多いが、コストパフォーマンスの観点で見れば、最大級だろう。(違ったらごめんなさい)
そういった既存要素の転用をやりつつも「さっきまですごく苦労した敵を、自分がコレまで体験したカラーチップの力で一方的に圧倒しまくる」という繰り返しによって生まれる爽快感がありゲーム体験としては転用がむしろプラスになっている。
また、どちらを先に考案したのかはわからないが、カラーチップフィーバーの仕組みと演出が共通となっており、そういう意味でもコスパが良い。
51. ラスボス2段階目で使用する巨大メガホンレーザーのダメージが8888
主人公の名前が「ハチ」であり、ヒメのスペシャルでハチの名前を呼んでくれるならそれは最高の承認
8の羅列は、各種配信のコメントで「ぱちぱちぱち」のもじりとして拍手の意味で使われることがあり、その意味で認識する人も一定数いるだろう
見事ゲームクリアしたプレイヤーに対して、二重の意味で褒めてくれている。敵に与えるダメージは単なる数字だが、そこにすら面白さが込められている。
面白いゲームを作るってこういうことだ
「アイデアというのは複数の問題を解決するものだ」とは宮本茂氏の名言だ。
本記事で説明したものを改めて眺めると、やはり複数の利点を同時に生み出しているものが多くある。そしてコストパフォーマンスに関しても解決されているものが多くある。
スプラトゥーン3の『サイド・オーダー』では、そういった優れたアイデアが、もう数え切れないほどの量詰め込まれている。本記事では51項目のアイデアについて挙げたが、自分が書いたメモは100項目をゆうに超えている。もちろん実際の開発現場で出されたアイデアは100個なんかではすまないだろう。どれだけ途方もない数のアイデアが出されていたのかまるで想像がつかない。
たまたまひとつふたつ良いアイデアを思いついた程度では足下にも及ばないのだ。
実はニカイドウは長文を書くのがすごく苦手で、まともに読める状態にするまでにものすごく時間がかかってます。情報収集や裏取りの時間も含め、1記事完成までに8~16時間かかってます。 すごく大変なやつなので、サポートいただけるとものすごくものすご~くありがたいです!