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【受験生必見!】2023年度の東京都立入試・社会を解説してみた(大問6・分野総合)【ナラ社の時間#09】

こんにちは、ならんはです。
ナラ社の時間、2023年度都立社会解説シリーズも最終回となりました。
大問6はラスボスともいえる分野総合です。

そして、とうとう明日は都立の合格発表日💮ということで、早速、ポイントをまとめて解説していきましょう。
みなさんにもいい知らせがやってきますように…🌸

問題・解答は東京新聞HPよりご確認ください。

大問6(分野総合)について

板書は以下のようになります。

左半分はいつも通り問題の解き方について。記述の対策もやる都合上、記述問題のも入っていますが、しばらく大問6から記述が出題されることはありませんね。

ここ5年近くはずっと大問5からではないでしょうか。
ということで、資料の読み取りや思考力を使った問題が中心となります。

大問6は分野総合といっても、必要な単元は限られています。大きく3つにしぼるとしたら、世界地理・公民(国際社会・経済)・歴史(特に近現代史)でしょう。

ただ今年の問3は日本地理でしたね。人口ピラミッド…予想外ではありましたが、注目するポイントさえ確認できればそこまで難しくはなかったかなと思います。

☆世界史⇔日本の出来事
ほぼ同じ西暦に起こった出来事を横軸で対応。
1096 第一回十字軍遠征
 ⇔1086 白河上皇による院政
1492 コロンブスが西インド諸島に到達
 ⇔1488 加賀の一向一揆
1517 ルターによる宗教改革
 ⇔1543 鉄砲が種子島に伝来
1688 イギリスで名誉革命
 ⇔1685 徳川綱吉が生類憐みの令を出す
1775 アメリカ独立戦争
 ⇔1772 田沼意次が老中に就任
1789 フランス革命
 ⇔1787 松平定信が寛政の改革を行う
1840 アヘン戦争
 ⇔1841 水野忠邦が天保の改革を行う
1861 南北戦争
 ⇔1858 日米修好通商条約を締結

問1(世界地理内容)について

こういった表に説明が載っているタイプの問題は、文章量が多いですから、「知っている情報だけを頼りにして解く」というのが重要になります。

知らないことをウンウン言って考えたり、関係ないところまで読んだりするのは時間がもったいないですから、知ってるキーワードで答えを選んでいき、どうしても難しいものは消去法に頼る、としたほうが効率的でしょう。

ただし、消去法が使えるのは1回まで。ですから、知識があるに越したことはありませんね。これから中3になって模試などを解いていく際に、わからなかったことは必ずメモをして復習。次出てきたら正解できるように知識を蓄えておきましょう。

ア 「植民地時代」、1901年連邦国家成立、東西の州都を結ぶ
→意外とバカにしてはならないのが方角。東西を結んでいるものに絞り込むことができますね。となると、怪しいのはBかD辺りでしょうか。
連邦国家となっているのはオーストラリアの方ですね。

イ 綿花の輸出、外国の支配に不満を持つ人々が起こした反乱
→これは、19世紀に起こったインド大反乱のことですね。

ウ 「二つの大洋をつなぎ」、国際運河、観光資源
→太平洋と大西洋の狭間に位置する中南米の地域ということがわかります。

エ 内戦、銅の輸送、大陸横断鉄道
→大陸を横断するわけですから、オーストラリアでなければこれはアフリカでしょう。
オーストラリアは鉄鉱石や石炭は有名ですが、銅はそこまでですからね。

2択まで絞り込むことができたら、あとは比較してどちらの方が良さそうかという組み合わせを考えるほかありません。鉄道の情報なんて知らない受験生がほとんどですが、その中でどうやって思考して答えを導くのか、ここに訓練の成果が現れるのです。知識の組み合わせとでもいいましょうか。

問2(国際博覧会)について

問1に引き続き、万博に関する情報は多くの受験生がほとんど知らないであろう情報が年表に出ていますね。
特に知っておいた方がいい年代と万博の歴史については一応まとめておきます。
汎用性は正直そこまで高くはないですが…

☆万博(万国博覧会)の歴史
1851 ロンドンで世界初の万国博覧会が開催
1867 第2回パリ万博が開催され、日本が登場し美術品や工芸品が世界から注目を集める→印象派の流行へ

1970 大阪万博開催
2005 愛知で「愛・地球博」が開催

2025 大阪万博開催予定

また、資料Ⅱにもあるように、国際的な会議と環境問題に対する取り組みもまとめておきましょう。

日本も1960年代より本格化した高度経済成長の影響の裏で、環境問題が深刻化していきます。その先駆けとしてヨーロッパを中心に環境問題に直面していきます。

ご存知の通り、環境問題は「地球全体の課題」ですから、世界的な取り決めをしていく必要があるわけです。ある一部の国だけが対策しても意味ないし、逆にある一部の国だけが対策しないことも効果は薄れてしまうということです。

こっちは汎用性高めです。

☆環境問題に対する国際的な取り組み
1972 国連人間環境会議 @ストックホルム(スウェーデン)
 スローガンは「かけがえのない地球」
1992 国連環境開発会議 @リオデジャネイロ(ブラジル)
 スローガンは「持続可能な開発」
 地球サミットとも呼ばれる。

1997 京都でCOP3(気候変動枠組み条約 第3回締約国会議)が開催
 →京都議定書が採択される。
2015 フランス・パリでCOP21が開催
 →パリ協定が採択される。
   国連サミットにてSDGs(持続可能な開発目標)が採択される。

※国の位置も確認しておきましょう。

☆京都議定書とパリ協定の違い
⇒CO2削減義務の対象国に違いがある!!
・京都議定書…先進国のみ
・パリ協定…発展途上国も含めたすべての参加国

そこで、問題に移りましょう。まずは国名の確認から。
W カナダ
X  ドイツ
Y ベルギー
Z スペイン

複数資料の読み取りのポイントの一つであった、「文章の資料から読む」も忘れずに。

資料Ⅱから、
・リオデジャネイロでの地球サミットの8年後に開催→2000年
・国際河川の東側に位置する森林(シュヴァルツヴァルト)→ドイツ
(・酸性雨→ヨーロッパに多い)
ということがわかります。

【コラム】「違いは何か?」に注目しよう
さきほど、京都議定書とパリ協定の違いについて触れましたが、公民分野は単元の幅が広いだけに「違い」に注目して理解することがとても重要になります。

よくある例
その①国際連合の総会と安全保障理事会の違い
 ・総会…加盟国全てが参加。大国も小国もみな平等。
 ・安全保障理事会…常任理事国5カ国と非常任理事国10カ国が参加。常任理事国には拒否権が与えられる(力の差がある)。

その②日本とアメリカの首相/大統領の選び方
 ・日本…議院内閣制
 内閣総理大臣(首相)は国会の指名に基づいて行われる。
 ・アメリカ…大統領制
 大統領は国民による選挙で直接決まる。

違うところだけ重点的に覚えていけば、暗記量を減らすことができます。このように公民分野では、ある程度「楽して覚える」ことも重要になります。
まだ公民を習っていない方は、ここはサクッと読み流して大丈夫です。細かい知識は気にせず、「違い」に意識すればいいんだなとだけ考えてください。習った後に見ると「あ、これかぁ」とスッキリするはずです。

※常任理事国の5カ国については、大問1で扱いましたね。忘れてしまった人は、バックナンバーをご確認ください。一番後ろにリンクを載せておきます。

問3(人口ピラミッド)について

今回は珍しく(?)日本地理分野からの出題でした。ただ、人工ピラミッドは公民分野の社会保障などのところでも扱われるので、そういう意味ではどこにでも出てくるグラフでもあります。

☆人口ピラミッドの読み取り
ポイント:人口が多い世代に注目する!!(数値の多いところに注目という都立の原則と同じ)

世代別人口の呼び名は以下の通り。
 ・年少人口…0〜14歳 つまり、義務教育の学年まで。
 ・生産年齢人口…15〜64歳 つまり、働いて税金を納める人たち。
 ・高齢者人口…65歳以上 つまり、年金をもらって暮らす人たち。
※(注)定年の年齢が会社によって変わってきているので、一概に言うことはできませんが…。

A.富士山型(多産多死)
 ・年少人口が一番多い。
 ・富士山のように三角形になっている。
 ・1950年代頃の日本や発展途上国によくみられる人口分布。
B.つりがね型
 ・生産年齢人口が一番多い。
 ・真ん中が膨らんだ鐘のような形になっている。
 ・1980〜2000年頃の日本にみられる人口分布。
C.つぼ型(少産少死)
 ・高齢者人口が一番多い、少子高齢社会。
 ・上が膨らんだコップのような形になっている。
 ・現代の日本や先進国によくみられる人口分布。

まずは文章の資料から見ていきます。
資料Ⅱより、
○「65歳以上の割合が7%を超え、高齢化社会の段階に入っている。」
 →つぼ型に移行しつつある時期
○大阪万博の開催
 →1970年!

ちなみに、高齢者人口の割合が
7%以上…高齢化社会
14%以上…高齢社会
21%以上…超高齢社会
と呼びます。日本は現在28%くらいになっていますので、超々高齢社会ですね笑
もちろん、そんな言葉はありません。

資料Ⅰのグラフにもどりましょう。
人口が一番多い世代に注目して考えると、日本はだんだん少子高齢社会に向かっていきますから、人口の多い世代がどんどん上へ行っていることが考えられます。

よって、時系列順に並び替えると、イ→ア→ウ→エとなります。これがそれぞれ、1950年→70年→2000年→20年となるわけです。

いかがでしたか?
ナラ社の時間シリーズ都立解説編はこれにてひと段落です。

いよいよ明日は合格発表ですね。
みなさんの努力が報われますように🌸
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

さいごにバックナンバーをまとめておきますので、よかったらご覧ください。

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