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少々って、どれだけ??

motoharareico

昨年度の学生作品を1つ紹介します。
有馬郁奈さんの今まで食べたものでいちばん美味しかったのは、お母さんがお父さんの誕生日に作るチーズケーキ。自分の誕生日はケーキ屋さんのなのに、お父さんにはお母さんの手作り。

(うらやましさもあるのかな?)そのチーズケーキを作るべく、お母さんにそのレシピを聞くと、「バニラエッセンス/レモン汁 少々」と書いてある。少々って、どれだけ?と思いながら、郁奈さんは自分なりの少々で作ってみたら、レモンが足りない気がした。お母さんが作るのを見せてもらうと、ぜんぜん少々ではない!とびっくりしたそう。

そこで彼女は、料理が好きなクラスメート二人にお母さんのレシピを渡して作ってもらうことにした。彼女自身も作り、教室には同じレシピから作られた3つのチーズケーキが並んだ。三人はそれぞれ分量をかなり正確に計って作ったのだが、見た目がまず、ぜんぜんちがう。
25名ほどのクラスメート全員が3つのケーキを試食して、それぞれ味の感想を付箋紙に書いた。同じケーキに「チーズの味が濃い」「チーズの味がうすい」、また「酸っぱい」「甘い」と真逆の感想が寄せられて、またびっくり。そのことがとても面白かった郁奈さんは3種類のチーズケーキを紙粘土で作り、みんなの感想を並べてプリントした紙をつけ、ケーキの箱に入れて持ってきました。そこには、彼女のお母さんとお父さんのお手紙も添えられていた。

他人の味の感じ方は、わからないし、測れない。
「少々」という分量も感覚的だ。
どういう表現にするかは、みんないつも悩むのだけど、とにかく自分の初動を忘れないでほしいと伝えている。

今年も、学生さんたちにこれまで食べたなかで一番おいしかったものをつくってもらった。それぞれが気になったことを深掘りしてなにかしらの形にして、発表するのが明日です。ベーコンエッグを作ると言った佐藤くんにはベーコンから作ってもらった。みんなの台所をつないだzoom授業の当日、彼は一人暮らしの須田くんのアパートから参加したのだが、自分で試食した時よりも、友達が「美味い!うまい!」と食べてくれたことで、「すげー旨く感じた」と言った。それをどんなふうに表現してくるのかな?明日が楽しみです。

佐藤くん、初めて作ったベーコン


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motoharareico
陶芸家/美術家。1963年富士市生まれ。Royal College of Art MA Ceramics修了(ロンドン)。「うっちーの英語食堂」(2016~17)に出演。2018年「登呂で、わたしは考えた。」出版。https://www.motoharareico.net