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ピアノは語る

先日、Mikhail Pletnev ミハイル・プレトニョフのピアノリサイタルを聴きに名古屋へいってきました。
彼の演奏は四十数年前、富山県の砺波で聴いて以来です。砺波のホールが出来て間もない時、若きエネルギッシュな演奏・特にアンコール曲プロコフィエフソナタ7番の終楽章は衝撃的でした。私はその時音大目指し東京へレッスンに通う高校生。城端線に一人乗り、下りた砺波の駅からホールまで田んぼが広がる中、横殴りの雨と風の中歩いていき、演奏会の間制服のプリーツスカートが一向に乾かなかったのを覚えています。

今回オールショパンプログラムということもあり、この日を待ちわびていました。kawai Shigeruのピアノと一体化した中作り出される音色は絶妙で、特にpの速いパッセージの幻影的な不思議な音の中、光輝くメロディーの世界は、印象派のモネの睡蓮を連想させられました。そして、低音の響きが曲を奥深いプレトニョフの世界へ誘導していく感じでした。

アンコールは、グリンカのひばりとモシュコフスキー練習曲作品72-6で圧巻でした。一緒に行った母は、グリンカのひばりで胸が熱くなったようで涙があふれたようです。

プレトニョフの洗練された演奏・巨匠クラスのピアノソロは奇跡的な人生の体験そのもので、その上今回家族で演奏会を楽しめて本当に感謝の気持ちで一杯でした。


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