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パートナービジネスで成果を最大化するためのKGIとKPI

皆さん、こんばんは。
パートナーセールスの葛西です。

本日は、いろいろなパートナーセールスの方々と情報交換させていただく中でよくいただく質問の1つである、「パートナービジネスにおけるKGI/KPI」について書かせていただきます。


パートナービジネスにおけるKGI/KPIの役割

パートナービジネスは、企業の成長と市場拡大を支える重要な戦略です。

しかし、成功するためには、明確な目標設定とその達成状況を測定する指標が必要不可欠です。

ここで登場するのが、

  • KGI(Key Goal Indicator)

  • KPI(Key Performance Indicator)

です。

KGIは企業が達成すべき最終目標を示し、KPIはその目標達成に向けた具体的な進捗を測るための指標です。

本記事では、100名以上のSaaSパートナーセールスの方と情報交換させていただいてお聞きした内容も踏まえ、パートナービジネスにおけるKGIとKPIの設定について詳しく解説します。

※なお、本来であれば、パートナーとの間でKGI・KPIを設定して双方合意のもとで一緒に追っていくというのが理想です。が、パートナー契約直後やパートナーの中で自社商材の優先順位がまだ低い段階ではKGI・KPIを握り合うということがそもそも難しいです(できないことが多い)。そのため、本記事では社内で置くべきKGI/KPIというところにフォーカスを当てた記事となっています。

KGI/KPIは変化する

パートナービジネスにおけるKGI/KPIですが、結論、パートナービジネスのフェーズやパートナーセールスの担当する役割ごとに応じて、設定すべきKGI/KPIが変化します。各フェーズや役割ごとでどうKGI/KPIが変化していくのか、ここから解説していきます。

1. パートナービジネスをこれから開始するフェーズ or パートナーの契約の社数を伸ばす役割のパートナーセールス

パートナービジネスを開始するタイミングですと、まだパートナー契約社数が0社であるため、KGI:契約社数、KPI:パートナー制度提案の商談数に設定、KPIのKPIとして商談獲得するまでの活動数(架電数やリファラルでのアプローチ数等)を設定するケースが多いです。

また、パートナーセールス担当の役割が分かれており、パートナー契約の新規開拓担当がいる場合は、そのパートナーセールス担当が設定すべきKGI/KPIも上記と同様です。

また、ある程度のパートナー契約の開拓ができた後は、新規パートナー契約したパートナーのうち3ヶ月以内に商談実施できた(案件紹介した)パートナー社数をKGIに置き、KPIをパートナー契約社数、KPIのKPIにパートナー制度提案の商談数を置かれるSaaS企業もいらっしゃったりします。

2. パートナーのオンボーディング〜アクティブ化のフェーズ or パートナーを動かす役割のパートナーセールス

パートナー契約が進むと、次のステップは契約したパートナーとのリレーションを強化し、オンボーディング〜アクティブ化に向けて動いていくというフェーズに入ります。このオンボーディング〜アクティブ化のフェーズにおいては、KGI:商談実施数(案件紹介数)に設定するケースが多いです。一方のKPIについては、「パートナーとの接点数(コミュニケーション数)」に置かれるケースが多いです。

受注が生み出される前段階として、まずは商談を生み出されなければ始まりません。この「パートナーからの商談を安定的に生み出す」というところがパートナービジネスにおいて最も難しく、苦戦されているSaaSベンダーが圧倒的に多いです。そのため、まだパートナーのアクティブ化が進む前段階のフェーズでは商談実施数(案件紹介数)をKGIに置くことをおすすめします。

KPI:パートナーとの接点数(コミュニケーション数)においては、もう少し細かい粒度で、下記のような項目をKPIとして設定している企業も多いです。

  • パートナーとの定例打ち合わせの回数

  • パートナーへの勉強会の回数

  • パートナー先への常駐回数

  • パートナーの営業マンとの名刺交換数(連絡先取得数)

  • パートナーとのチャットやメール、電話の回数

  • 決裁者との接点数

  • 商談同席数(特に、パートナー経由商談をFSをパートナーセールスが対応する組織体制の場合)

  • 共催セミナーの実施回数

  • パートナーのハウスリストへのCRM配信回数

  • パートナーからの問い合わせ回数(提案可否の確認回数や提案したい先への個別相談依頼回数等)

パートナーセールス担当の役割が分かれており、パートナーのオンボーディング〜アクティブ化を担当するパートナーセールスの担当者が設定すべきKGI/KPIも上記と同様です。

また、KPIにパートナーとの接点数(コミュニケーション数)に置く場合、パートナーの営業マン全員に闇雲にアプローチするのは非常に非効率であり、非現実的です。そのため、以前に書かせていただいた「拡販してくれるパートナーの営業担当の見つけ方の前編後編」に書いた項目に当てはまる人をスコアリングし、優先度高くまずは個別アプローチをとっていくようにしましょう。

加えて、パートナーセールスのリソースも限られているケースが多いかと思います。そのため、リソースを張る(重点支援する)パートナー企業の選別軸する必要が出てきます。その選別軸については、以前書いた「パートナー戦略の立て直しから分かった、重点支援すべきパートナー企業(代理店)の選び方」のnoteをご参照ください。

3. トップパートナーが立ち上がった or トップパートナー+第2・第3のトップパートナーが立ち上がってきたフェーズ

パートナーのアクティブ化が進み、安定的に商談供給をいただけるトップパートナーが育ってきたタイミング、または第2・第3のトップパートナーまで育ってきたタイミングではKGIを商談実施数(案件紹介数)から受注数MRRに変更するケースが多いです。パートナービジネスを展開する以上、受注しなくてはベンダー側・パートナー側双方にとって意味がありません。まずは受注数をKGIに置き、受注数が積み上がってきたタイミングで、KGIをMRRに変更する企業が比較的多いです(もちろん金額ベースではなく、そのまま受注件数でKGIを置く企業もいます)。

KGIを受注数やMRRに設定する場合、KPIには2.のフェーズではKGIであった「商談実施数(案件紹介数)」を設定し、そのKPIのKPIとして「パートナーとの接点数(コミュニケーション数)」を置かれるケースが多いです。
また、SaaSである以上、パートナー経由での受注企業のチャーンレートが高くなってしまっては意味がありません。そのため、受注数が安定してきたタイミングで「パートナー経由企業の継続率(もしくはチャーンレート)」もKGIに入れるケースもあったりします。特に、パートナー側との契約上、CS業務も任せる場合や継続課金が発生する手数料モデルにしている場合には、KGIの指標に入れておいた方が良いでしょう。

また、このフェーズになると、トップパートナー群とトップパートナーの1つ下の第2群、その他というようなイメージで、パートナー企業ごとでそれぞれフェーズが異なってきます。そのため、各パートナー群ごとに設定するKGIとKPIを分けて設定している企業も多かったりします。

さらに、このフェーズになると組織としても事業部に昇格するなど大きくなっていることがケースが多いです。そのため、例えばですが、パートナーの新規開拓を担当するパートナーセールス、トップパートナー担当のパートナーセールス、第2群のパートナーを担当するパートナーセールス、それ以外のパートナーをテックタッチな取り組みで動かしていくパートナーセールス、といった形でパートナーセールスの役割も初期の立ち上げフェーズと違い、業務分掌化が進んでいることが多いです。だからこそ、その役割ごとやパートナー企業のフェーズごとに応じて目的や伸ばすポイントが異なるため、KGI・KPIを分けて設定していることが多いのです。

まとめ

パートナービジネスの成功には、各フェーズごとやパートナーセールスの役割ごとにそれぞれヒットするKGIとKPIの設定が不可欠です。加えて、KGI・KPIの設定のみならず、KPIのKPIとなる指標も設定しておくと良いでしょう。
自社のパートナービジネス戦略に基づいた具体的なKGIとKPI、KPIのKPIを設定し、定期的に評価と改善を行うことで、パートナービジネスの成果を最大化していきましょう。

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