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パートナー契約後の初回アクション施策まとめ

皆さんこんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
先週のnoteでは、「重点支援すべきパートナー企業(代理店)の選び方」について書かせていただきました。今週はパートナー契約締結後、初手として打つべきアクション施策について書かせていただこうと思います。


初回アクション施策のまとめを書く背景

※そもそものこのパートナーセールスに関するnoteを書こうと考えた背景については、最初のnoteをご参照ください。

8月8日のnoteで書かせていただいた通り、現職でのパートナー領域のチームに異動後、月間の案件数が数件といった状態からスタートし、様々な施策を打った結果、今ではパートナー領域の数字を1年で約250%伸ばすことができました(それでもまだ成功しているという状態からは程遠いですが・・・)。
※前提として、ここまで大きく事業を伸ばせたのは日々応援してくださるパートナーの皆様のおかげです。本当に感謝です!

そこまで大きく伸ばすことができた中で、まずはパートナー契約締結後の初手として絶対にやった方が良い施策というのが、自分の中である程度型化できてきました。先週のnoteでは重点支援するパートナー様の絞り込みというこれも初手の部分のお話を書かせていただいたので、先週に引き続き、今週も同じくパートナー契約後(もしくはパートナー契約締結直前くらい)の初手、その中でも初手としてやるべきことについてまとめさせていただこうと考えたというのが背景です。

そのため、今回のnoteでは私の経験をもとにした絶対に実施すべき初手施策と、加えて何社ものSaaSベンダーのパートナーセールスの皆様と情報交換させていただいた中で初手として絶対に上がってきた施策について、まとめて書かせていただきます。

パートナー契約後の初回アクション施策(初手)

1. パートナーとの定例会議の実施

パートナー企業のCP(カウンターパート・窓口の方)との定例会議を実施することを握るのは、初手において絶対に必要な施策です(ただし、毎週のようにパートナー先に常駐している等の接点量があるのであれば、稀に不要なケースもあり)。毎月なのか、隔週なのかという頻度はそのパートナー様によって変わってくるかとは思いますが、定例会議を実施させていただくことで、まずは最低限の接点を取ることが可能となるためです。定例会を実施することで、現在の案件進行状況の共有や新機能リリースの情報、個社別キャンペーンの相談や全体でのキャンペーン内容の共有などが可能となり、まずは自社のプロダクトをそのパートナー企業のCPに忘れられてしまう(第一想起されない)ということが起こりづらい環境が構築できます。

もっと欲を言えば、この定例会議を機会に、メインCPの方に加えて決裁者(社長・役員・事業部長等)にも同席してもらう、または決裁者と接点がない場合は決裁者を紹介してもらう交渉をするであったり、拡販推進担当者(通称:チャンピオン)となる営業担当にも同席してもらう、または拡販推進担当者が置かれてない場合は営業部門内に拡販推進担当者を置いていただけないか交渉するであったり、というような依頼・交渉を行い、より多くの方を巻き込めるとさらにベターです。ただし、このnoteを読まれる多くの方が想像がつくと思いますが、絶対に窓口となっている企画部門のCPへ不快感を与えないように注意してください。

なお、大手パートナー様ですと、窓口となるのは企画部門で、実際に自社のプロダクトを販売していただく営業部門とは別であるケースが多いです。そのような場合においては、企画部門の方々に加えて、現場営業部門のチャンピオンや決裁者を巻き込めると拡販が進みやすいです。
一方の中堅・中小のパートナー様ですと、営業部門のマネージャーが窓口となっているケースが多いです。その場合は営業マネージャー自身がチャンピオンになってもらうのか、それともチャンピオンが別でいる場合はそのチャンピオンも巻き込めると拡販が進みやすいです。
※肌感ではありますが、複数事業を持つパートナー様や営業人員数が30名以上くらいいるパートナー様だとだいたい営業部門と企画部門が分かれており、窓口が企画部門となるケースが多いです。

パートナーとの定例会議の実施を握るということは、どのSaaSベンダー様もほぼ実施している初手の施策でした。

2. 自社プロダクトの(商材)勉強会実施

パートナー企業の営業担当の方々へ向けた、プロダクトの(商材)勉強会実施は、初手の施策として必須の施策です。この施策についてはどのSaaSベンダー様も必須で行っている施策です。当然のことながら、パートナー企業の営業担当の方々へ自社プロダクト(商材)の勉強会を行い、サービスの内容やターゲット顧客、提案方法などのレクチャー・インストールを行わなくてはほぼ100%販売いただけることはありません。

勉強会を開催する時のポイントとして、プロダクトの内容やターゲット顧客、提案方法などの内容をお伝えするというのは大前提ですが、それに加えて私、及びほぼどのSaaSベンダーのパートナーセールスの方々も見ているポイントとしては、下記のポイントを見ております。

i)勉強会参加者のバイネーム
→特に、勉強会が「任意参加」となっている場合は、誰が参加してくれたのかをメモすることは非常に重要です。理由としては、営業担当一人一人の名前を覚えるというのはもちろんですが、「任意参加なのに参加してくれた人=少なからず自社のサービスに関心がある人」となるかと思います。ですので、まずは少しでも関心を示している、つまりはファン化する(拡販してくれる)可能性の高い営業担当の方々を可視化しておくと、後々非常に便利であるためです。

ii)質問内容の記録
→質問内容を記録する理由としては、今後別のパートナー様から同じ質問が来た際の回答に使えることはもちろん、FAQ集の作成やパートナー様からこの質問が来たらこう答えよという社内の中での仕組み化が進められるためです。
勉強会を実施すると、パートナーの営業担当の方々からの質問はだいたい似たような質問が多くなる傾向があります。例えばですが、「このサービスを導入することでの1番のメリットは何か?」「このサービスの強みと弱みは?」「競合他社のサービスとの違いは?」というような質問は本当によくいただきます。

iii)質問者の名前を記録
→勉強会の中の質疑で質問した方の名前を記録する理由としては、ファン化する(拡販してくれる)可能性の高い営業担当であるためです。「質問する=少しでも関心がある」というサインです。
さらに言えば、その質問をした背景を勉強会の後とかで個別に伺うと良いでしょう。その営業の方が提案する上で懸念に思っているポイントを吸い上げられたりするので、その懸念点を解消してあげるだけで、その営業担当の方の提案数・案件数が一気に伸びるケースも多いためです。この質問者の名前を記録するというところまでやっている他社SaaSベンダーのパートナーセールスの方(私が情報交換させていただいた方々)がおおよそ半分強くらい、後から質問の背景を個別で伺うというところまでやっているパートナーセールスの方はあまり多くはありませんでした。

3. 共同でのマーケティング施策の提案

パートナーとの共同マーケティング施策の提案についても、初手として非常に有効な手段です。これもほぼどのSaaSベンダーのパートナーセールスの方々も初手として実施している施策でした。共同で行うマーケティング施策の代表例としては、下記のような施策をやってらっしゃるSaaSベンダー様が多かったです(もちろん私も実施してます!)。

  • パートナー様のHPやカタログ等に取り扱い商品として掲載(Webについてはもちろん問い合わせフォーム付きで)

  • パートナー様の既存顧客やハウスリストへのCRM配信(メルマガ配信)
    →例えば、キャンペーン実施している時に、その情報を配信していただく等。

  • 共催セミナーの開催
    →パートナー様と共同でのウェビナー・セミナーを開催し、自社プロダクトの提案先リードを獲得する方法。

  • (パートナー様が自社メディアを保有している場合)パートナー様のメディアへの記事掲載や自社プロダクトへの導線となるテーマの記事の作成

SaaSベンダー様の中には、通常のパートナー契約(6/6のnoteに書いた、よくある一般的なパートナー契約)とは別で、「マーケティングパートナー」というパートナーの種類を別途設けているSaaSベンダーもあったりします。

また、これらのマーケティング施策を行うことで、自社プロダクトを提案するリード獲得の増加という目的に加え、必然的に(ちょっと言い方は良くないですが、半ば強制的に)パートナーの営業担当の方々が自社のプロダクトを提案する機会を創出できるため、パートナーの営業担当の方々へのプロダクトのインストール・提案慣れが進み、自社プロダクトの拡販が進むきっかけにもなったりします。

4. スプレッドシートの共有

パートナー様とスプレッドシートを相互共有できる環境を整えるという施策も必須で行うべき初手の施策かと考えています。この施策については、私が情報交換させていただいたSaaSベンダーのパートナーセールスの方々のうち、おおよそ6割くらいの方々が初手として実施している施策でした。
スプレッドシートの相互共有の環境を整える目的としては、主に

  • パートナー様経由での案件進捗の共有

  • トークスクリプトや切り返しトークなどのコンテンツの提供

というような目的で相互共有できる環境を整えているSaaSベンダーさんが大半でした。

一方で、ここまで見てるパートナーセールスの方は非常に少数でしたが、一部のパートナーセールスの方は、スプレッドシートの「アクティビティダッシュボード(ツールタブにあります)」を定期的にモニタリングしているという猛者もおりました。

私もスプレッドシートのアクティビティダッシュボードについては定期的にモニタリングをしており、私は主に下記のように利用しています。

  • 「閲覧者のトレンド」で全体の閲覧状況を週次でモニタリング
    どれくらい自社プロダクトに関心を示していただけているのかを把握する指標として、モニタリングしています。

  • 直近閲覧者の履歴
    →誰がこのスプレッドシートをよく閲覧しているのかモニタリング。「閲覧回数が多い人=自社プロダクトに少しでも関心がある人=ファン化する(拡販してくれる)可能性が高い人」という方程式が成り立つため、閲覧回数が多い方に優先的に個別アプローチを行う。

  • (余力があれば)スプレッドシートを常に開きっぱなしにしておき、今誰がログインしているのかを毎日定期チェック
    「ログインしている=何かほしい情報や使いたい情報がある」というサインになるため、今ログインしている方へ個別のフォローを行う。

これらの定期モニタリングと個別アプローチ・フォローを繰り返すと、拡販に動いていただけるパートナーの営業担当の方が少しずつ出てきます。

5. チャットツールでのチャンネル開設

パートナー様側が利用しているチャットツール内に、自社プロダクトへの相談チャンネルを設けていただき、そのチャンネル内に営業担当を全員入れていただくという施策も必須で行うべき初手の施策かと考えています。

先週のnoteでも書かせていただいた通り、パートナーの営業担当と直接コミュニケーションが取れる導線を用意しておくことは非常に重要です。パートナー企業様が自社内にチャットツールを導入している場合は、メール以上に自社のチャットツールを営業の皆さんは見ています。そのため、パートナー様側が利用しているチャットツール内にチャンネルを設けてもらうということが非常に重要です。この施策については、私が情報交換をさせていただいたSaaSベンダーのパートナーセールスのうち、おおよそ6〜7割のSaaSベンダー様が初手の施策として実施しておりました。
私の現職ではこの施策は初手の必須施策としており、実際にチャットチャンネル未開設のパートナー様よりもチャットチャンネル開設しているパートナー様の方が稼働しているというデータも出ています。

一方で、社内でチャットを使ってないレガシーな業界のパートナー様(例:創業から歴史が長い製造業系)やセキュリティが厳しい業界のパートナー様(例:金融系)が重点支援パートナー様(メイン)であるというSaaSベンダー様では、メールや電話でのコミュニケーションがメインという回答も一定ありました。

社内でチャットを使ってないレガシーな業界のパートナー様がメインとなるSaaSベンダー様の場合、

  • そもそもパートナー契約をする時の条件として、営業担当全員のメールアドレスの共有を条件として入れている

  • パートナーの営業担当向けに勉強会等を実施した際に、必ずアンケートを行って各営業担当のメールアドレスを取得する

というような方法を使って、パートナーの営業担当との個別コミュニケーションが取れる手段を確保しているというお話もありました(後者の方は、チャットツール内でのチャンネル開設がNGの先には私もやってます)。

また、地方銀行や信用金庫とのアライアンスを組まれているSaaSベンダー様も多いため既知の情報かと思いますが、地方銀行・信用金庫の一支店の営業担当ですとそもそも個人の社用メールアドレスを持っていないケースがほとんどです(保険等も同じかもしれません。保険業界のパートナー企業様とのパートナー契約経験がないためわかりませんが、、)。
そのため、そもそもメールアドレスを取得するということ自体が不可能です。そのような場合には、非常に地道で泥臭い手段ではありますが、

  • 支店の営業担当から電話が来たら、すぐに番号を登録
    →次回から個別アプローチが取れるようにする

  • 支店に常駐したり、支店の営業担当と営業同行する
    →あらかじめ常駐する日程を双方で決めて各支店に日替わり常駐して営業担当との接点を取る、場合によっては自分の名刺渡したついでに個別連絡を取れる電話番号を個別で聞いてみる(ここまでやれる人は結構強者!)
    ※これは今思い起こせば、自分が地銀時代に保険会社の代理店渉外の人がよくやってた手段です。

というような施策をやってらっしゃるSaaSベンダー様も結構いらっしゃいました。

6. パートナー企業の保有顧客リストの共有

パートナー企業様の保有顧客のリストを提供いただくという施策は、初手として効果的な施策であると考えています。理由としては、保有顧客がわかることで、主に下記のような理由です。

  • 自社プロダクトとの相性が良い顧客が何社いるかがわかる(重点支援すべきパートナーか否かが判別できる)

  • 自社プロダクトの契約有無の突合を行って展開することで、パートナーの営業担当が担当しているどの企業にアプローチすれば良いのかが可視化され、提案しやすくなる

  • 自社プロダクトの契約有無の突合を行って展開することで、どの営業担当が積極的にそのリストを元にアプローチしてくれているのかが可視化される(動いている営業担当=売ってくれようとしている、つまりは抑えるべき営業担当が誰か把握できる

が、一方で、パートナー企業様の保有顧客のリストをいただくにはかなり高い交渉力が必要で、リスト提供を嫌がられるパートナー企業様が多いという課題はあります。

そのため、私の現職ではパートナー様側に嫌われないようにすることを第一優先とし、初手としてリスト提供が可能かどうか聞いてみるというのは任意としています。

7. パートナー先への常駐

パートナー企業様のオフィス内に常駐させていただくという施策は、非常に効果的な施策であると考えています。理由としては、営業担当との直接の対面コミュニケーションが取れるのと、対面でのウェットなコミュニケーションを繰り返すことでパートナーセールスの人自身を認知していただけて、パートナーの営業担当との距離が非常に縮まるからです。
※この対面コミュニケーションによるパートナーの営業担当との距離の縮め方みたいなところはどうしても仕組み化できない、属人的にならざるを得ない領域であると考えています。

私が情報交換させていただいたSaaSベンダーのパートナーセールスの方々のうちの大半の方々が初手として交渉・実施している施策でした。中には、大手パートナー様となると全国主要都市に支店を設けていたり、地方銀行や信用金庫だと根付いている地域にいくつもの支店がありますので、各地域に拠点があるSaaSベンダーはその拠点のパートナーセールスが担当、各地域に拠点がなかったり拠点はあるがパートナーセールスを置いていない場合はその大手パートナー企業担当のパートナーセールスが全国の支社・支店を津々浦々と回っているというケースが多いです(パートナーセールスあるあるの支店行脚ってやつで、私も毎月大阪・名古屋に行ってますw)。

ただし、パートナー様の中にはオフィス内での常駐はセキュリティの観点でNGとしているパートナー様もありますので、パートナー様側に嫌われないようにすることを第一優先とし、初手として常駐できるかどうか聞いてみるというのは任意としています。
一方で、パートナー様のCPの方に依頼した結果、常駐NGと言われるケースはあっても、パートナー様の決裁者(役員以上のクラス)に依頼してみると意外と常駐OK取れたりするってケースもあったりします。
※常駐して何をすればいいのか、どんなことをやっているのかという内容については、長くなってしまうのでまた後日改めてnoteで書かせていただこうと思ってます。

まとめ

上記、7つの初手の施策を書かせていただきましたが、どの施策を必須とするのかはSaaSベンダー様の中で多少の違いはございますが、少なからず「1.パートナーとの定例会議の実施」「2.自社プロダクトの(商材)勉強会実施」「3.共同でのマーケティング施策の提案」というのはほぼどこのSaaSベンダー様でも必須の施策として実施しておりました。
※ただし、必須施策の中の、さらに細分化した具体のアクション(どこまでやるか)は多少のばらつきはあります。

私の中では上記の1.〜3.に加え、「4.スプレッドシートの共有」「5.チャットツールでのチャンネル開設」の2つも初手の施策としては必須なのではないかと考えております。
加えて、「6.パートナー企業の保有顧客リストの共有」「7.パートナー先への常駐」も実施できるようであれば、抑えるべきパートナーの営業担当も可視化できるため、よりパートナー様を動かしやすいかと考えています。


最後に。
日本にパートナー戦略における教科書がない中で、パートナーセールスの皆さんは日々何が正解なのか模索してらっしゃるかと思います。
ですので、もしパートナー戦略に関する情報交換をしたいというパートナーセールスの方がいらっしゃいましたら、是非FacebookまたはTwitterへDM、またはこのnoteへのコメントをいただけると嬉しいです!

それではまた次回の更新をお楽しみに!

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