見出し画像

リモートワークでチームの熱量を高める方法について

株式会社タイミーでスクラムマスターをやっている平岡です。
社内では下の名前からりっきーと呼ばれています。

本記事は株式会社タイミーのアドベントカレンダーになります。
アドベントカレンダーということで今年チームにあった良い変化とその仕組みを作った観点を書こうと思います。

良いチームには関係の質が必要

チームが良い結果を出すためには関係の質が重要だとダニエル・キム氏が提唱したモデルがあります。それが以下に示す循環モデルです。

ダニエル・キム氏の成功循環モデル

この図にあるように、関係の質が良くなると思考の質が良くなる、思考の質が良くなると行動の質が良くなり、行動の質が良くなると結果の質が良くなり、それにより関係の質が良くなっていくといった循環が行われることを表しています。
循環モデルですので、悪くなると隣り合った質に対しても悪影響が発生します。
スクラムマスターとしてチームを支援しているため、チームメンバー同士に良い関係を築くような仕組みを作らねばと考えていました。

どうやったら関係の質を深められるの?

関係の質を深めるにはどのようにしたらいいのか探っていると「ハーバードビジネスレビュー・チームワークの教科書」に記載されていた論文にヒントがありました。

チームの成果を左右する三つのコミュニケーション要素を特定した。 ①コミュニケーションの「熱量」 一つ目はコミュニケーションの「熱量」である。この熱量の強さは、メンバー同士のやり取りの回数と性質をもとに測定する。
〜中略〜
最も貴重なコミュニケーションは、対面での対話である。

ハーバード・ビジネス・レビュー チームワーク論文ベスト10 チームワークの教科書 / チームづくりの科学

確かに、対話によって関係が良くなるのはあきらかですし、
コミュニケーションの熱量(回数と性質)という定義は質に近いものを感じます。
また、チームがどのようなコミュニケーションをとっている方が良いのかもまとめられていました。

成功へと導いたチームワークを持つコミュニケーションの特性を探り出すことができる。
〜中略〜
①チーム全員が平等に話したり聞いたりする機会がある。また簡潔に話をすることを心がけている。 ②メンバー同士が顔を向きあわせてコミュニケーションをし、会話や身振りに熱量がある。 ③各人が、チームリーダーを通してだけではなく、他のメンバーとも直接繋がりがある。 ④秘密事項や内輪話をチーム以外に漏らさない。 ⑤折に触れてチーム活動を中断し、チーム外の情報を持ち帰ってくる。

ハーバード・ビジネス・レビュー チームワーク論文ベスト10 チームワークの教科書 / チームづくりの科学

ここでチームの構成(フルリモート・職能横断チーム)を基にふりかえると以下のようになりました。

①~③のオンライン会議の難しさや私の振る舞いが原因でチームの熱量を阻害していることがわかりました。
特に「③各人が、チームリーダーを通してだけではなく、他のメンバーとも直接繋がりがある。」では、職能横断チームならではの難しさもありました。
また、論文は対面のデータだったのでそれをどのようにフルリモート環境で適応するかを考えなければなりません。

オンライン環境でメンバー同士が平等に話せて顔を向き合わせて直接話せる環境が必要です。

オンラインでどのように熱量を高めるのか?

結論から言うと、レトロスペクティブのフレームを変更しました。
Miroというツールを使っており、 元々は以下のようなフォーマットでふりかえりをおこなっていました。

個人で付箋を出してもらい、気になる点はリアクションしつつでしたが、
基本的に私が司会をしながら進めるので、直接の会話は難しいような場を作ってしまいました。
また、最終的にまとめるのですが、チームが8名だったので深い議論も行えず、まとめていました。

メンバー同士が平等に話せて顔を向き合わせて直接話せる環境を意識して、以下のようなフレームに変更しました。
やり方としては1-2-4-allを行っています。

  • 個人

  • ペア

  • グループ(ペア同士を合体)

以上の順に話し合い、最終的にグループで話し合った結果をシェアしています。

ペアやグループで話し合うときはブレイクアウトルーム機能を使って議論に集中できるようにしたり、意図的に自分と異なる職能のメンバーと対話できるようにペアを作ったりしました。

どのような変化がチームに訪れたか

レトロスペクティブの場のフィードバックには以下のような付箋がありました。

  • 個人・ペア・グループと課題を何回も擦ることで解像度や言語化が進んだ

  • 疑問点をうまく言語化してくれる人がいることがわかって助かった

  • 積極性が上がった気がする

  • ペアで話すときに緊張した

元々の課題だった「チーム全員が平等に話す機会がある」であったり、「誰かを通さずに直接コミュニケーションをとる」をフレームに設定することで強制的に発生させました。
また、オンライン環境でも緊張するぐらいなので、顔を見合わせる環境も作ることができたのではないかと思っています。

何回かこのフレームを利用してレトロスペクティブを観察していて面白い気づきがありました。
ペア単位では異なった課題を持っているのですが、グループ(4人)になると同じような課題をピックアップして、グループごとに別々のアプローチ検討するようになってきました。
これはチームの中で対話を繰り返すことで、バックグラウンドや課題への熱量が揃ってきた結果なのかな?と思っています。

以上のことから、前よりもメンバー間の関係の質が高まったと考えています。
とはいえ、フレームの変化に柔軟に対応してくれたチームメンバーの頑張りによるものは大きかったと思っています!

昨今、フルリモートで機能横断型チームの支援をしているスクラムマスターも多いのではないかと思います。少しでもヒントになれば幸いです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?