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結婚新生活支援事業について調べてみたところ、「新婚夫婦に60万円」は丸ごと現金で貰えるわけではなかった

新婚夫婦に対して60万円の補助金を支給するという政策が話題となっています。全く新しい制度かと思いきや、既存制度の条件緩和の話題でした。「地域少子化対策充填推進交付金(結婚新生活支援事業)」というのがそれです。

結婚してから5年も経って初めて知りました。丸損したと思いましたが、条件が厳しくて当てはまりませんでした。条件は「夫婦の所得が340万円未満」「夫婦共に34歳以下」「住居が指定の市町村」の3つです。私の場合は東京都が対象外なので無縁の制度でした。

そしてこれは内閣府が『市町村に対して』定めた最低限の制度です。市町村によっては追加の条件等があるようです。例えば千葉市の場合は、「夫婦の双方又はいずれかが、婚姻を機に千葉市外から千葉市内へ転入していること」等の条件が付け加えられています。居住条件について静岡市は「申請時において、静岡市内で同居している」が条件です。市町村によって差があります。

現在の補助金額は上限30万円ですが、現金で丸ごと貰えるわけではありません。あくまでも「婚姻に伴う住宅取得費用又は住宅賃借費用、引越費用」の補助として支給されます。例えば片方の実家に引っ越す場合は引っ越し費用までしか出ません。賃料5万円で敷金礼金なしの物件に新たに住む場合は2ヶ月分が対象だとしても補助金額は10万円までです。

「30万円」が上限であるのも注意です。これは内閣府から市町村に対して部分的に補助する制度です。「市町村から世帯へ行う補助額のうち、半分を国が補助しますよ。ただし15万円までですよ。」という制度です。例えば新潟市は補助額の上限を20万円と定めています。文面通りだと国からの補助は10万円なのだと思います。

内閣府はこの結婚新生活支援事業の条件を緩和して上限を60万円まで引き上げるのだそうです。ここまで読んでいただいた方は色々と疑問が湧いてくると思います。各報道記事の通りに解釈すると、内閣府が60万円まで補助すると定めても、市町村がそれに足並みを揃えられなければ意味がありません。対象者が増える上に市町村が負担する補助金額が増えるとなれば、市町村の負担が極めて大きくなります。

政策の具体的な設計はこれからだと思います。国が乗り気でも、それによって市町村の負担が増えるのであれば逆に萎縮してしまう可能性すらあります。一方で考え方によっては地方自治体にとって良い機会です。現在は生活様式の変化によって都市部からの転出が増える傾向にあるようです。地方はこの制度を上手く利用すれば若い人口を増やすことができます。一時的に支出が増えますが、それと同時に将来的な税収増も見込めます。予算の使い方としては良い投資になります。

この政策の行方を見守ると同時に、あまりニュース記事の見出しに踊らされないように気をつけようと思った次第です。

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